国定歴史教科書研究学校指定に失望して慶尚北道慶山(キョンサン)文明高校を中退した生徒が、国定歴史教科書の廃棄を指示した文在寅(ムン・ジェイン)大統領に感謝の手紙を送った。彼は現在高等学校卒業程度認定試験を準備している。
今年3月文明高校に入学し、数日後に自主退学したペク・ソンビ君(16)は、17日午後、慶尚北道慶山市玉谷洞(オクゴクドン)郵便局から文在寅大統領宛の手紙を大統領府に送った。ペク君は手書きで書いた4枚の手紙で「文在寅大統領、はじめまして。私は慶尚北道慶山市に住んでいるペク・ソンビと申します。教育界の積弊、問題の多かった国定教科書を廃止してくださって、本当にありがとうございます。私は全国唯一の国定教科書研究学校だった文明高校の元生徒でした」と自己紹介をした。
ペク君はさらに、「文明高校は研究学校を申請する前に生徒たちや保護者たちの意見も聞かず、一方的に研究学校の申請を行いました。その後、多くの生徒や父兄、先生らが反発し、署名運動や反対デモなどで反対の立場を明らかにしたにもかかわらず、学校側はこのような生徒たちと保護者たちの要求に応じず、研究学校の指定を撤回しませんでした」と書いた。
ペク君はまた、「私は国定教科書研究学校指定の申請や国定教科書研究学校の指定、国定教科書研究学校指定後の学校(校長、理事長など)と教育庁の決定、態度に深く失望し、このような学校、このような教育庁の下ではもはや学ぶものはないと思って自主退学しました。文在寅大統領、多くの問題を抱え、議論になっていた国定教科書を廃止してくださって、本当に感謝しています。そして国民のための国、住みやすい国をつくるために努力してくださって、本当にありがとうございます」と明らかにした。
ペク君は手紙に、文大統領に向けたいくつかのお願いも書いた。ペク君は「国民を守るために苦労している消防公務員を国家公務員に転換するなど、待遇を改善し、検察改革、財閥改革など改革課題もしっかり進めてくださるものと信じています。北朝鮮の挑発後、直ちに国家安全保障会議(NSC)を招集するなど、安全にも気を配ってくださってありがとうございます。いつも国民のために働く最も尊敬される大統領になられることを願っています」と付け加えた。
文明高校は今年2月20日、全国で唯一国定歴史教科書を主な教材として使用する研究学校に指定された。この事実を知らされていなかった生徒や保護者らが研究学校の申請撤回を要求したが、文明高校はこれを受け入れなかった。文明高校1年生の保護者らは今年3月2日、文明高校の研究学校の指定過程に手続き上の問題を提起し、研究学校指定処分の取り消しを求める訴訟を起こすと共に、仮処分の研究学校指定処分の効力停止申請を裁判所に提出した。
大邱(テグ)地方裁判所行政1部(裁判長ソン・ヒョンチャン)は今月3月17日、研究学校指定処分の効力停止申請に対し、「研究学校指定処分取り消し訴訟の判決確定日までその効力および後続手続きの執行を停止する」と決定した。イ・ヨンウ慶尚北道教育長がこれを不服として抗告したが、却下された。文大統領は12日、国定歴史教科書の廃棄を指示した。慶尚北道教育庁は16日、文明高校を国定歴史教科書研究学校と指定したことを撤回すると明らかにした。