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「文在寅統一外交政策」南北関係修復、米中と北朝鮮核・THAAD調整を最優先

登録:2017-05-10 08:48 修正:2017-05-10 11:01
太陽政策、10年ぶりに復活 
開城工業団地の条件付き再稼動 
金剛山観光・離散家族再会を再開  
 
北朝鮮核は制裁・対話を並行 
北朝鮮非核化と補償「同時行動」原則 
対話の扉はトランプとの共感帯がカギ 
 
米日本と解決しなければならない懸案 
戦時作戦権、任期内に韓国へ返還  
12・28慰安婦合意再交渉
文在寅大統領が今月10日午前ソウル弘恩洞の自宅で当選後初めての公式日程として、イ・スンジン合同参謀議長と電話で話している。文大統領は同日午前、中央選挙管理委員会で当選者の確定を受けた直後、第19代大統領として公式の任期を開始した//ハンギョレ新聞社

 文在寅(ムン・ジェイン)当選人の外交安保公約は大きく3つに要約される。保守政権9年を経て破綻した南北関係の修復や、深化した対米軍事依存度の緩和、制裁と対話を活用した北朝鮮核解決などだ。概ね過去の太陽政策路線に忠実な政策議題だ。

 文当選人は先月28日に発表した大統領選挙公約集で、2016年2月に閉鎖された開城(ケソン)工業団地の再稼働と2008年7月以降中断された金剛山(クムガンサン)観光の再開を約束した。文当選人は2月、フェイスブックに掲載した文章で「政権交代を果たせば、開城工団を3段階2千万坪まで拡張する」と積極性を見せた。しかし、先月27日の放送記者クラブ招請討論会では「(北朝鮮核の)対話の局面が造成されなければ、開城工団などの再開は難しい」とし、事実上条件付き再稼動の立場に退いた。文当選人はまた、離散家族再会や病院の建立など北朝鮮に対する人道的支援を交換するいわゆる「フライカウフ」(“自由を買う”という意味。ドイツ統一前の西ドイツが東ドイツの政治犯送還時の対価として現金・現物を支給した方式)を推進し、国軍捕虜・拉致被害者の送還など多様な解決策を講じると約束した。南北対話で北朝鮮人権問題を議題化するという考えも明らかにした。

 南北首脳間の合意などについては、国会批准同意を約束した。汎国民的共感と安定的合意の履行のためだ。また、南北間の東海圏エネルギー・資源ベルトと西海岸産業・物流ベルトなどを建設し、南北間の市場統合へと進む経済共同体推進の意思も明らかにした。文当選人は先月23日、「大胆な朝鮮半島の非核平和構想」発表の席で「南北間の経済統合が実現すれば、年平均0.8%の追加成長が可能で、毎年働き口5万件が新規創出される効果がある」と見通した。

 北朝鮮核問題の解決も約束した。これまでの対北朝鮮制裁一辺倒から脱し、制裁と対話などあらゆる手段を活用するという政策の方向性も明らかにした。また、「北朝鮮が先に(核を)放棄しなければならない」という「北朝鮮先行動論」の代わりに、北朝鮮と米国など関連当事者の段階別「同時行動」原則を提示した。同時行動原則は、北朝鮮が取るべき非核化措置とその対価として韓米などが提供する補償措置を、段階ごとに同時に推進する案であり、6カ国協議の9・19共同声明に適用されている。しかし、「今は対話をする局面ではない」とし、北朝鮮の行動を圧迫する米国と立場調整が必要になるものと思われる。文当選人は、究極的に完全な北朝鮮核廃棄と平和協定締結を包括的に推進し、相互軍備統制で戦争の可能性を根本的に除去するという青写真を示した。

 北朝鮮の軍事挑発に対しては「容認しない」とし、韓国型ミサイル防衛(KAMD)やキルチェーンなどの早期戦力化を約束した。戦時作戦統制権(戦作権)は任期内に(韓国への)移譲を公約した。戦作権は当初、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代の2012年4月に移譲することで韓米間で合意したが、李明博(イ・ミョンバク)政権が2015年12月に延期した。さらに、朴槿恵(パク・クネ)政権は「時期を固定せず条件が整えばその時転換する」とし、2020年代半ば以降に再延期した。また、兵士の月給は2020年までに最低賃金の50%になるように年次的に引き上げ、現在21カ月の服務期間は、漸進的に18カ月まで短縮すると公約した。任期内の民間人出身の国防部長官の任命、国防部と防衛事業庁の民間人補職の割合を70%に引き上げるなど、国防文民化の推進も約束した。

 早期配備強行で物議を醸したTHAAD(高高度防衛ミサイル)問題は、国会批准同意を推進すると述べた。文当選人は、THAAD配備問題の公論化と外交カードとしての活用のため、(国会の批准同意が)必要だという立場を再三示してきた。すでに慶尚北道星州(ソンジュ)に一部配備されたTHAADの撤収を念頭に置いた公約とは言い難い。2015年12月に日韓が電撃的に締結した12・28慰安婦合意については、再交渉を約束した。弾劾局面が高潮していた昨年11月に強行締結された韓日軍事秘密情報保護協定(GSOMIA)は、効用性の検討後、有効期間(1年)を延長するかどうかを決めると明らかにした。

パク・ビョンス先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/794094.html 韓国語原文入力:2017-05-10 02:48
訳M.C(2048字)

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