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手帳にはゴマ粒文字びっしりと…話し方・ユーモア‘天性の演説家’

原文入力:2009-08-18午後03:04:54
秘書陣にぞんざいな態度をとらず
気さくで本当に多くのカリスマ
完ぺき主義性格で論理的
“政治をしなかったとすれば教育者になっただろう”

ソン・ヨンチョル記者

←金大中前大統領が(2006年11月)24日ソウル,龍山区の白凡記念館で開かれた国家人権委設立5周年記念式で激励辞を述べている。キム・ジンス記者jsk@hani.co.kr / 2006.11.24

金大中前大統領は<新しい始まりのために>という本で自分自身について「政治をしていなければおそらく教育者になっただろう」と話した。「持っている考えや知識をよく整理して、わかりやすく伝達する能力があるという言葉をとても幼い時から聞いてきたし、自らも生まれつきの性格が非常に論理的だと感じる」ということだ。

彼の論理的で現実的な様子はたびたび他の大統領らと比較される。1980年代中盤、民主化推進協議会を結成し金泳三前大統領と共同議長で活動した時のエピソードだ。民主化署名作業の目標について金大中前大統領は‘現実的’目標に100万人を提示した。すると金泳三前大統領は「誰が数字を数えてみるか」として1000万人を主張したという。ユ・ジョンピル国会図書館長は「金前大統領の演説文にはいつも‘最初に,二番目,三番目’が入る」として「盧武鉉前大統領が演繹式ならば金前大統領は帰納式」と話す。

こういう面を後押しするのは完ぺき主義に近い几帳面さと慎重さだ。彼が常に持っている手帳とメモ紙にはいつもゴマ粒のような文字がキチンとびっしりと記されている。60年代民主党スポークスマン時期、1分に過ぎない声明を準備するのに5時間をかけたという話もある。彼は「私は完ぺき主義者の気質が多少あって、何の仕事でも完全にしなければならないから緻密な構想と十分な準備なしに仕事をしてみたことが殆どない」(<私の人生 私の道>)で話した。

下の人々を扱う方式も独特だ。彼のそばには「秘書はいるが参謀はいない」という話が多かった。秘書は各々一部だけを知っていて全体は金前大統領一人だけ知っていることだ。金前大統領があまりにも徹底して論理的に全てのことを準備するので、下ではしろといわれた仕事だけをすることになるということだ。

ペルノ ペニヒ ドイツ ベルリン自由大学教授は6・15首脳会談5周年記念国際学術大会で「金前大統領は相手方をよく配慮し好感を与え豊富なユーモア感覚を持っているが厳格なスタイルを保った」として「彼が最終的に発言をすればこれ以上文句をつけることができないという」と話した。カリスマが強いという話だ。

慎重で論理的な彼の性格はしばしば過度に計算的だとか、疑いが多い方という否定的評価につながったりもする。金前大統領は政治資金を直接管理したし、党役員らに“酒を飲みなさい”としてお金を与える時も皆が見る前で紙幣をいちいち数えて渡すほどだったという。

そうであるかと思えば、秘書らにもぞんざいな言い方をすることは殆どなかったし、特に勤勉な人を非常に大切にしたという。ハン・サンジン ソウル大教授は金前大統領の性分が「気さくで情が多い父親のような人」として、彼の全羅道弁とユーモア感覚で気さくさを感じる場合が多いといった。

金前大統領は死刑宣告を受けた当時の記憶をこのように打ち明けたりした。「事実死ぬのは怖かった。しばらく悩んでから正しく生きようと決心した。大声は出したが事実は生きたくて法廷で裁判官の口だけ穴があくほど見ていた。無期懲役を受けられさえすればと思った。‘無’と言えば口が突き出て‘死’といえば口が裂けるように見えるではないか。」人生最悪の瞬間を‘人の話’でもするように打ち明ける余裕に周辺では爆笑した。

彼はものすごい大食漢で動物ビデオを好んで見た。<獄中書信>では家族に対してでなくとも、家で育てていた犬が見たいとしばしば書いた。監獄と英国では花を楽しんで育てた。その理由を「花の正直さを信じていて精を尽くせば尽くしただけ美しい姿を保つその正直さにほれるから」と説明した。

ソン・ヨンチョル記者sychee@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/371792.html 訳J.S