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「黒幕」と目された北朝鮮「韓国による陰謀策動」…居直り攻勢

登録:2017-02-24 01:12 修正:2017-02-24 07:14
北朝鮮、金正男氏殺害の10日後に初の公式反応 
朝鮮法律家委員会談話として報道  
金正男氏の名前を出す代わりに「共和国公民ショック死」 
マレーシアの司法解剖には「自主権の侵害」と非難  
捜査の公正性、客観性に損なう狙い
今月13日にマレーシアで殺害された金正男氏(左)と金正恩北朝鮮労働党委員長=資料写真//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)労働党総書記の異母兄の金正男(キム・ジョンナム)氏殺害事件に対し、沈黙を守ってきた平壌(ピョンヤン)の北朝鮮当局が23日、初の公式反応を示した。事件発生から10日後のことだ。事件の実体的真実究明の過程で、“泥仕合”も辞さない世論戦に本格的に乗り出すというメッセージと見られる。

 北朝鮮は事件に色濃く表れた(関与の)疑いには知らぬ存ぜぬで一貫し、「南朝鮮(韓国)による陰謀策動」にマレーシア当局が同調していると非難した。また、国際法を前面に掲げ、マレーシア当局の捜査過程に問題があると指摘し、捜査内容の信頼度を損ねる主張を並べた。

 北朝鮮の「朝鮮中央通信」は同日午前、「朝鮮法律家委員会代弁人談話」とこれを解説した記事を相次いで掲載した。これまで北朝鮮のカン・チョル駐マレーシア大使の2回(17・20日)の記者会見と報道資料(22日)を通じて主張した内容を、まとめたものとみられる。前面に出た北朝鮮法律家委員会は、北朝鮮最高人民会議常任委員会傘下の非常設組織として、2002年10月設立されており、北朝鮮当局の主張の法的論理を支えてきた団体だ。

 同団体の代弁人は、談話で「2月13日にマレーシアで外交パスポート所持した共和国公民が飛行機の搭乗を控えて、急にショック状態に陥り、病院に移送される途中死亡したのは予期せぬ不幸な出来事」だと事件の性格を規定した。死亡者が「金正男」ということと、毒殺疑惑を無視したまま、事件を「共和国公民のショック死」と規定したのだ。談話はまた、「我が国の大使館では心臓ショックによる死亡という結論を下しただけに、司法解剖の必要がなく、死亡者が外交パスポート所持者として治外法権の対象であることから、絶対に解剖してはならないことを明らかにした」と強調した。さらに、マレーシア当局の司法解剖の実施を「自主権に対する露骨な侵害であり、人権に対する乱暴な蹂躙」だと激しく非難した。

 しかし、マレーシア当局は自国領土内で「外国人が疑問の死を遂げたため、死因を明らかにする責務がある」という態度を重ねて強調してきた。解剖結果を発表した際も「心臓麻痺はなかった」として、自然死ではないことを強調した。北朝鮮側の主張と関連して「外交関係に関するウィーン条約」によると、特権・免除を受ける権利を持った公館員などについては駐在国の外交部などに通知することになっている。金正男氏がマレーシア政府に登録された外交官ではない以上、「治外法権の対象」ではないということだ。

 北朝鮮はマレーシア当局が自分たちと協議・立ち会いなしに解剖を行ったと非難している。しかし、関連業務に詳しい韓国外交部関係者は「司法解剖は捜査の領域であり、捜査は駐在国の当局の主権事項」だとし、「駐在国に捜査への参加などを要請することはできるが、決定権は駐在国政府にある」と説明した。

 また、北朝鮮は「南朝鮮の保守マスコミが“毒殺”を主張して間もなく、マレーシアの秘密警察が介入して遺体の解剖問題を提起した」として、「南朝鮮当局が今回の事件をすでに予見しており、その筋書きまで用意しておいたことを示している」と主張した。現地警察の捜査を通じて「北朝鮮黒幕説」の信ぴょう性が高まったことに対し、明確な根拠も提示しないまま「韓国黒幕説」で対抗しようとしたのだ。

 法律家委員会の代弁人はまた、死因を心臓ショックから毒殺に変えた点▽被害者が毒殺されのに犯人は何ともなかった点▽事件の現場に居合わせてから出国した北朝鮮人を、明確な証拠もなしに容疑者と目した点などが、「法律的見地から弱点と矛盾だらけ」だと主張した。今後、捜査を通じて明らかにしなければならない事案であるにもかかわらず、あらかじめ「矛盾点」だと主張し、現地の捜査当局の“客観性”と“公正性”を損ねようとしたのだ。

 これはマレーシア政府がすでに拒否した「共同捜査」の必要性を重ねて提起したことと関連した主張と見られる。実際、北朝鮮は談話で「法律家代表団を直接現地に送って殺人容疑者らに会って、彼らの供述も聞いてみて、彼らが誰の指示を受けたか確認し、逮捕された共和国公民にも会ってみて、事件現場と映像資料などを具体的に調査し、事件の捜査を公正に結束しよう」と提案した。韓国政府当局者は「北朝鮮が国際社会に波紋を広げようとして『法律家代表団』のマレーシア入国を推進する可能性も排除できない」との見通しを示した。

チョン・インファン、キム・ジウン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/784012.html 韓国語原文入力:2017-02-23 21:34
訳H.J(2193字)

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