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国家賠償金、払った後に返還要求…「国家が独裁政権時代の姿に戻っている」

登録:2017-02-21 00:02 修正:2017-02-21 08:04
2審まで賠償訴訟に勝ち賠償金を受け取ったが 
2011年最高裁「利子過多」返還判決 
10人余りが「苦痛の代価の筈なのに…」拒否 
相当額は国家暴力治癒のために寄付も 
 
利子20%ずつ増え返還金は“雪だるま” 
「自宅競売」裁判所通知書に憤怒 
「再び独裁政権時期に戻った」抗議
1975年4月8日、学生運動組織「民青学連」の背後とされ拘束されたいわゆる「人民革命党事件」の最高裁上告審公判で、ミン・ボクギ最高裁長官が8人に死刑・9人に無期懲役の確定判決文を読み上げている。イ・スビョンなど8人は翌朝電撃的に死刑となった=報道写真年鑑//ハンギョレ新聞社

 5億9054万5940ウォン(今月10日基準計算額、約5800万円)。「人民革命党再建委員会事件」の被害者故ナ・ギョンイル氏(2010年死亡)の遺族であるウンジュさん(63)が“大韓民国”に返さなければならない金額だ。14日、彼女の唯一の財産である大邱(テグ)泛魚洞(ポモドン)の115平方メートル(35坪)の自宅を競売処分するという裁判所からの通知書が彼女のもとに舞い込んだ。翌日、執行官が押しかけて来て「家の市価は3億ウォンあまり」と伝えた。「30年以上暮らしてきた家です。父が監獄にいる間、家庭教師の仕事や食堂の仕事をして私と母が一緒に貯めて用意した唯一の財産です」。ウンジュさんは国家が持っていくという“家”を説明して「手がぶるぶる震える。どうしたら良いか分からない」と話し泣き続けた。ウンジュさんの父親ナ・ギョンイル氏は、人民革命党事件で拷問の末にスパイの汚名を着せられ無期懲役刑を宣告され8年間服役した。人民革命党事件の被害者が逆に国家にお金を返さなければならないこの状況は、2011年に遡る。

 2009年、ウンジュさんなど人民革命党被害者家族は、国家を相手に損害賠償請求訴訟を提起した。1審裁判所は国家暴力による被害の事実を認め、事件被害者と家族77人に賠償金総額(元金と遅延利子)の65%を先に支払うよう決定した。ウンジュさんはこの時、4億5000万ウォンあまりを受け取った。このうちの相当額を国家暴力被害者のための財団設立のために寄付した。2審まで維持された決定は大法院(最高裁)で覆った。2011年、大法院は被害事実を認めながらも「遅延利子が過大」として、2009年からの遅延利子のみを賠償金に含めた。30余年分の利子が賠償金からなくなった。3億ウォン(約3000万円)あまりだった。ウンジュさんは「常識的に話にならない判決」とし「30余年分の利子」を返還しなかった。「お父さんの苦痛の時間の代価として受け取ったお金を返すことはできません」。ウンジュさんたちが抵抗すると、2013年7月に大韓民国は「過度に払った仮支給金を返してほしい」として不当利得金返還請求訴訟を起こした。4ケ月後、大韓民国は勝訴した。アン・ギョンホ4・9財団事務局長は「正確な数は把握していないが、被害者とその家族10人あまりが今も『不当な判決には屈服できない』としてお金を返却していないと推定する」と話した。

 国家が「払って再び返してほしい」とした金銭は毎年20%ずつ増えて4年で3億1200万ウォンから5億9054万5940ウォンになった。当初国家が払った賠償金4億5000万ウォンをかるく超える金額だ。大韓民国は弟のジョンスさんが運営中の出版社の口座まで差し押さえた。「今も金額が増えています。こういうやり方で財産をもれなく持っていくでしょう」。ウンジュさんは深いため息を吐いた。

 アン・ギョンホ局長は「『遅延利子が過大』という大法院判決が下された後、しばらくは特別なことはなかった。朴槿恵(パク・クネ)政権が始まった後に返還訴訟が始まり、財産の差押えまで行われた」として「過去事真相調査委員会などを通じて、かろうじて名誉を回復した国家暴力被害者に対し、国家が再び独裁政権時代の姿に戻って金銭を武器に被害者を圧迫している」と話した。

パン・ジュノ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/783441.html 韓国語原文入力:2017-02-20 20:59
訳J.S(1687字)

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