元の所有者である浮石寺(プソクサ)側に引き渡せとの判決が出た金銅観音菩薩座像(金銅菩薩像)が、当分の間、故郷の寺へ行けなくなった。
判決が確定する前でも検察が保管している金銅菩薩像を浮石寺側に引き渡せとの内容の仮執行を許容した1審裁判所の判断とは異なり、別の裁判所が仮執行を見合わせてくれという検察の申請を受け入れたためだ。
大田(テジョン)地方裁判所は1日、先月31日に検察が出した「金銅菩薩像引き渡し仮執行に対する強制執行停止」申請を認容したと明らかにした。
先月26日に大田地方裁判所民事12部(裁判長ムン・ポギョン)が「金銅菩薩像はK氏(74)ら文化財窃盗団が2012年に日本の対馬にある観音寺から盗んで韓国国内に密搬入したものではあるが、腹藏遺物から見る時、この仏像が(日本に)正常に移転されたものではなく盗難や略奪された可能性が高いので、元来の所有者として記録されている浮石寺に引き渡すことが妥当だ。浮石寺は金銅菩薩像を保管する能力が充分にあるので、直ちに引き渡せ」と判決を下した。これに対して韓国検察は、控訴すると同時に仮執行は見合わせてくれという申請を出した。
大田高等検察庁は「控訴審と大法院(最高裁)において原審と異なる判決を下す場合、金銅菩薩像を円滑に回収し、き損を防止するために仮執行の停止申請をした。今回の決定により控訴審判決時までこの仏像は国家が保管することになる」と説明した。
これに対して円牛(ウォンウ)浮石寺住職は1日、「これまで司法府の判断を尊重して日本側が所蔵の経緯を説明するならば(仏像が)戻ることに反対しないと幾度も明らかにしてきた。ところが1審裁判所が1年余り熟考して判決を下した同じ裁判所が『大法院(最高裁)で判決が翻されれば、仏像を還収できない危険性がある』として認容したことは遺憾だ。法的対応の可能性を検討している」と明らかにした。
この金銅菩薩像は、背丈50.5センチ、重さ38.6キログラムで、1973年に日本の有形文化財に指定された。日本の観音寺は2012年、K氏(74)ら韓国人文化財窃盗団が金銅菩薩像を盗んだとし返還を要求したが、浮石寺側は遠い昔に略奪されたものであるため、当初の所有主に返さなければならないとして対抗し、韓日間で議論になった。1審裁判所が原告である浮石寺を仏像の元所有者として判断すると、日本政府はこれに反発して還収を繰り返し主張している。