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潘前総長「慰安婦問題は終わっていない」としながら再交渉には沈黙…依然として矛盾

登録:2017-01-21 05:00 修正:2017-01-21 07:33
潘基文前国連事務総長の慰安婦発言による波紋 
潘基文前国連総長が17日午前、慶尚南道金海市進永邑峰で盧武鉉元大統領の墓に参拝に行く途中、盧武鉉元大統領支持者たちから抗議を受けている=金海/カン・チャングヮン記者//ハンギョレ新聞社

「12・28合意は勇断…歓迎する」から 
「合意の過ち…拠出金返すべき」まで 
二転三転する発言に真意は曖昧…
 
18日には「12・28の合意で基礎はできた…
これからは答えない」

 潘基文(パン・ギムン)前国連事務総長が日本軍「慰安婦」被害者問題に関する韓日政府の12・28合意をめぐり、(発言が)二転三転して、依然として曖昧な態度を示している。

 潘前総長は19日、大田(テジョン)にあるカイストでの講演後、「慰安婦問題について最後に一言」を求める取材陣に、「昨日私が長く答えたから、それで(十分ではないか)」とし、不快感を滲ませた後、車に乗り込み会場を後にした。潘前総長は18日、「慰安婦問題がついに、(12・28合意を通じて日本)首相が謝罪し、政府予算で(10億円を拠出)すると言った。ある程度基礎はできたと言える」としたうえで、「完全に終わった? そのような意味ではないじゃないか」と話した。これは、2015年12月28日、韓日両国政府が12・28合意を発表した直後、国連事務総長として“歓迎声明”を発表し、2016年1月1日には朴槿恵(パク・クネ)大統領に電話をかけて「朴大統領がビジョンをもって正しい勇断を下したことについて、歴史が高く評価するだろう」とした発言をめぐって波紋が広がったことに対し、重ねて行った“釈明”である。

 しかし、潘前総長の18日の発言は「首相の謝罪+日本政府予算からの拠出」を高く評価している点で、韓日政府の公式評価と一脈相通じる。ただ、「慰安婦」被害者問題が12・28合意によって「最終的かつ不可逆的に解決」されたとしない点で異なる。潘前総長は12日に行った帰国会見で「究極的かつ完璧な合意はハルモニ(おばあさん)たちが怨念を晴らせるレベルのものにしなければならない」と強調した。その一方で、潘前総長は、次期大統領選挙の有力候補たちが与野党を問わず再交渉または合意無効化を主張するのとは異なり、これまで一度も「無効化」はもちろん「再交渉」にも言及したことがない。

 12・28の合意と関連した潘前総長の“真意”が何かは、依然として判断が難しい。12・28合意の直後に発表した“歓迎声明”をめぐって波紋が広がったことを受け、彼は昨年3月11日、ニューヨークの国連本部で「慰安婦」被害者であるキル・ウォンオクさんらと面談し、「世界各地で起きている多くの問題を国連が取り上げているが、この過程で出される小さな合意でも、国連はこれを歓迎・奨励する。そこで使う用語や表現レベルから歓迎声明を理解してもらいたい」と釈明した。“紛争当事国間の合意”自体を歓迎しただけで、“内容”について(歓迎)したわけではない」ということだ。「基礎はできた」という18日の12・28合意の評価とは食い違っている。

 内容面でも彼は11日、帰国する航空機内で行った「中央日報」など一部メディアとのインタビューで「(日本政府が拠出した)10億円が少女像の撤去と関連したものであれば、むしろそのお金を返すべきだ。話にならない」と強く批判した。「油うなぎ」と呼ばれるほど、外交的レトリックに長けた彼のこの発言は“ろうそく集会の民心”を意識し、再交渉を主張する側に方向を転換しようとする“メッセージ”と見られた。

 このような事情から、メディアがこれから潘前総長に12・28合意関連の見解をあらためて問うのは避けられないものと見られる。しかし、潘前総長は「慰安婦問題について私が歴史的な過ちを犯したかのように言っているが、絶対そうではない」とし、関連質問をした記者たちを「悪い奴ら」と非難すると共に、「これからは慰安婦問題についても答えない」と述べるなど、言及を避けている。

イ・ジェフン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/779547.html 韓国語原文入力:2017-01-19 21:52
訳H.J(1745字)

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