原文入力:2009-01-06午前07:32:43
執筆基準 突然変更…北韓叙述大幅修正
教師・執筆者 “統一教育放棄,安保教育回帰”
キム・ソヨン記者
教育科学技術部が2010年から中学生らが使う新しい道徳教科書から‘平和教育’部分を削除するようにするなど‘執筆基準’を突然変えて執筆者らと出版社に送った。道徳教師たちと執筆者らは「民族統合と統一を強調する教育をあきらめ過去の冷戦時代の安保教育に戻ろうとしている」と反発している。
5日教科部と道徳教師たちの話を総合すれば、教科部は既存の‘中学校道徳教科書執筆基準からで「平和の価値と葛藤解決態度および技術を中心に平和教育を統一教育に接続させる」などの内容を削除した‘執筆基準修正案’を先月新しくして出版社などに送った。既存の道徳教科書執筆基準は過去の教育部が教師と関連学会などの意見を聞いて2007年8月最終確定したものだ。道徳教科書は2007年2月7次教育過程改正により国定から検定に変わり、検定教科書は教科部の検定を通過しようとすれば‘執筆基準’に従わなければならない。
執筆基準修正案によれば、北韓人権問題と関連して「北韓の社会文化的特性を十分に考慮するものの」という部分を削除した。また当初基準で‘セトミン’(*)と‘北韓離脱住民’という用語を区分して使うようにしたのを‘北韓離脱住民’だけを使うようにした。
北韓に対する叙述基準も大幅修正された。当初執筆基準には「南北韓間体制の差異と経済的優越性」を区分して「客観的事実を基礎に北韓の否定的な側面だけを過度に浮び上がらせるよりは肯定的側面も含めてバランスが取れるように記述」とし「北韓の変化する社会像を反映することができるように教科書内容体制を構成する」とされていたが、こういう題目が大部分削除された。代わりに修正案は「南北韓間の差異と北韓社会に対して客観的事実を基礎に均衡的に記述」して「生徒の水準に合わせて統一環境の変化に対して述べ統一対応課題を現実的な観点で記述」するようにした。金日成抗日武装闘争と主体思想の場合、当初基準では歴史的証拠資料が確認されれば言及することができるようにしていたが修正案では最初から扱わないようにした。
現在、中学校1学年道徳教科書は出版社別にすでに執筆が終わり検定手続きに入っており中学校2~3学年用は最近執筆が始まった。
チン・ヨンヒョ全国道徳教師の会会長(ソウル,上岩中)は「教科書が冷戦時代に北朝鮮を眺めた観点に戻り統一教育が安保教育に変わるようだ」として「南北体制の差異を認めた民族統合的統一でなく体制の優越性を強調した吸収統一を強調するニューライト系列のイデオロギー攻勢が道徳教科書執筆基準に影響を与えたと見られる」と批判した。
教科部関係者は「教科書が理念的・政治的論理に振り回されないように‘見解’を排除したまま事実関係中心に記述しようという意見があり修正案を作った」と語った。 キム・ソヨン記者 dandy@hani.co.kr
(*訳者注)セトミン=韓国政府による脱北者の新名称。脱北者への差別を解消する目的で2005 年に使用開始。〔「新しい土地の民」を意味する造語〕