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[社説]旅客船沈没から千日、真実はいまだ海底だ

登録:2017-01-09 22:22 修正:2017-01-10 06:54
クムビ芸術団のダンサー、チョン・ヨンジュンさん(左)とソ・ユンシンさんが9日午後、全羅南道珍島の彭木港灯台の前で「1000日の待ち-天の踊り」を通じて未収拾者の早急な帰還を祈っている=珍島/アン・クァノク記者//ハンギョレ新聞社

 セウォル号が沈没して9日で1000日になる。僅か18歳の花のような年頃の子供たちが船室に閉じ込められて水に沈んで行く姿を手を差し出すことすらできずに見ていることしかできなった2014年4月16日、あの日の驚きと衝撃は鮮烈である。そうして見送った300の魂のうち9つはいまだに帰って来られない。あの日の真相も引き揚げられていない。子供たちのためにしなければならないことは依然として残っている。

 記憶することは残った者たちの務めである。あの日まともにさえしていれば子供たちを助けることはできたので、セウォル号は決して「事故」ではない。すべき事をしなかったために起きた惨事だ。「虐殺」といっても過言ではない。惨事から生き残った檀園高校の生徒たちは7日のろうそく集会で、「じっとしていろと言われてじっとしていた。救助しに来ると言われたからそう思っていた」と話した。生き残った子供たちはその話の通り、救助されたのではなく自ら脱出したのだ。国民の生命を守らなければならない「国家」が本来必要な時に存在しなかったのがセウォル号惨事の本質である。子供たちの明るい顔、将来の夢と共に私たちが記憶し繰り返し問うべきことは「あの日国家は、大統領は、政府は、いったい何をしていたのか」だ。

 まず答えなければならないのは朴槿恵(パク・クネ)大統領だ。危機に際して大統領はせねばならないことも多く、権限も多い立場である。軍をはじめとして動員可能なすべてを救助に注ぎ込めるのが大統領だ。朴大統領はそのようにするどころか何もしないで7時間を過ごした。それなのに今でも口を閉ざしたままだ。大統領の行動を語れる者たちは潜伏したり捜査や証言に応じていないし、そのうえ証言に出てきても知らない振りだけ繰り返している。憲法裁判所は「惨事の当日大統領は具体的にどんな業務にあたっていたのか時間帯別に明らかにしてほしい」と求めたが、大統領側はこれまで答弁書の提出をじりじりと先送りしている。

 それなのに朴大統領は1日「私がすべきことは全てしたはずだ」と話した。厚かましい。惨事の当日大統領のそばにいた大統領府のユン・ジョンチュ行政官の証言でも、大統領は報告や指示はもちろんテレビの惨事中継さえまともに見ていなかったようだ。アン・ポングン前秘書官が報告しに行ったという午前10時頃から美容師が入ってきた午後3時頃まで大統領が何をしていたのかは相変らず五里霧中である。明らかになっていることによると、空しくもあの日大統領は仕事をしていなかったようだ。その責任は特別検察官チームの捜査と憲法裁判所の審判を通じて明確にしなければならない。

 真実を明らかにすべきことは他にもたくさんある。セウォル号沈没の過程と原因はある程度推定されているが、船が初めどのように傾き始めたかはいまだに分かっていない。真相を正確に知るためにはセウォル号の引き揚げが優先だ。行方不明者のためにもこれ以上先送りすることはできない。政府与党の妨害で座礁したセウォル号惨事特別調査委員会も、情報接近権と強制調査権を補強して再び立ち上げなければならない。真実は永遠に沈没しない。私たちも決してあきらめることはできない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2017/01/08 18:12 修正:2017/01/08 18:54(1504字)

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/777849.html 原文:訳T.W

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