大韓民国の国会議員300人が9日午後に「存在理由」を証明しなければならない試験台に立たされる。歴史の1ページを占めるであろう朴槿恵(パク・クネ)大統領弾劾訴追案の表決は、無記名自由投票だ。個別の国会議員が各自の良心に従った判断の総合は、民心の期待値に届くだろうか。8日に公開された「リアルメーター」世論調査で、弾劾に賛成する国民は78%(信頼水準95%に±3.0%)と表れた。国会議員300人の78%は234人だ。
政界内外の分析を総合すると、概ね弾劾案可決に必要な200票(在籍議員3分の2)は無難に突破するだろうという予想が支配的だ。ただ、8日までも自分の意思を全く示さず沈黙している議員たちが非常に多く、誰も自信を持って票決の結果を断言することはできずにいる。「最小200票、最大240票」の間だろうというゆるやかな予測があるだけだ。78%という民心を反映するためには、表決結果は現在予測の最大値に近づかなければならない。
■野党・セヌリ党非主流「220~230票」の見込み
表決で野党と無所属には大きな変数はない。民主党121人、国民の党38人、正義党6人、チョン・セギュン国会議長および無所属7人の計172票を握っている彼らのすべてが弾劾に積極的に賛成している。本会議に出席しない議員もおらず、「弾劾列車」から飛びおりる可能性のある議員もほぼいない。野党指導部は220~230票の間を期待している。ただ、与党の参加を最大限に引き出すべき野党としてはセヌリ党議員らを刺激しないために表決結果予想値を対外的には言及していない。むしろ「可決の可能性は50対50」、「安心できない」などの悲観的な展望を打ち出し、「内部取締まり」と「外部訴え」に重点を置いているようすだ。
弾劾のカギを握っているセヌリ党非朴系の予測も同様だ。非朴系が主軸の非常時局委員会のファン・ヨンチョル代弁人は8日「可決ラインを超えること自体には問題ない」と明らかにした。彼は前日「少なくとも222票」という展望値を提示したことと関連しても「可能性がある」と見込んだ。セヌリ党のチャン・ジェウォン議員もこの日CBSラジオに出演し、「220~230票と言うとあまりにも断定的だが、200票はかなり超過するだろうという考え」だと自ら話した。ただし、非朴系では表決が迫り「セウォル号惨事の7時間」を弾劾案に入れるかどうかを巡って膨らんだ与野党の意見の食い違いが表決に影響を及ぼすかに神経を尖らせている。ファン・ヨンチョル代弁人は「もし(野党が『7時間』を弾劾案に入れた)問題で立場を変える議員が出て、そのために結果が変わったらどうするのか、極めて遺憾だ」とし、240票を超える「圧倒的可決」には悲観的な見通しを示した。
■親朴系は「200票前後」…「確実な賛成」集計も201票
弾劾案決死阻止に出たセヌリ党主流の親朴系は、「200票内外」という見込みを示している。ある親朴系重鎮議員は「弾劾に賛成といいつつ反対に転じた非朴系議員が6~7名ほどいると把握している。投票直前まで説得すればその規模がさらに増える可能性がある」と話した。
ハンギョレが8日までに把握した「確実な弾劾賛成」議員の数も201人水準である。野党・無所属172人に、非朴系を率いる金武星(キム・ムソン)、柳承敏(ユ・スンミン)、ファン・ヨンチョル、チョン・ビョングク、キム・ヨンウ、ハ・テギョン議員など計29人が確実な賛成の意思を表明したことが確認された。反対の意志が明確な議員はイ・ジョンヒョン代表を含めチョ・ウォンジン、イ・ジャンウ、ソ・チョンウォン、チェ・ギョンファン、ホン・ムンジョン議員など親朴系の核心13人程度だ。実際、ハンギョレが中立的な態度を示しているセヌリ党議員らと接触した結果、意思表示をしないのではなく、まだ賛否を決めていない議員もかなりいると把握された。意思表示をしなかったり、まだ決定できていない議員が86人に達すると集計された。この日までに民主党のピョ・チャンウォン議員や外部市民団体などが把握した弾劾に賛成のセヌリ党議員数も30人水準であり、セヌリ党非朴系の非常時局委員会が自主的に把握した「確実な賛成票」も35票ほどだ。野党・無所属の172票と合わせれば、202~207票であり、これもやはり弾劾案が辛うじて通過する数値に該当する。
■隠れた「シャイ弾劾派」が加勢すると意外な結果が出る可能性も
与党の内外ではいわゆる「シャイ弾劾派」が相当数いるだろうという分析も説得力を持つ。「シャイ弾劾派」とは、弾劾に賛成するのが「裏切り」と映るのが負担であったり、今後党内の権力構図がどのように再編されるか分からず、対外的に賛成意思を明らかにすることができない人々を言う。しかし結局、彼らもセヌリ党が生き残り、再び政治的活路を模索するためには、今回の弾劾案が可決されなければならないと考えるだけに、予想を上回る結果が出る可能性もあるとみられる。弾劾に賛成しているセヌリ党のある重鎮議員は「野党の賛成票の合計はすでに決まっている。表決結果によって、セヌリ党議員らがどのような選択をしたかがそっくり明らかにならざるを得ず、所属議員たちもその点をよく知っているはず」とし、「ふたを開けてみれば、思ったよりも賛成票が多く出る可能性もある」と見込んだ。非主流のまた別の議員も「親朴系議員の中でも弾劾案が可決されてこそ国政も安定し、党が早く収拾の道に進むだろうということに共感する議員が多い。否決されたら、その状況をどう耐えることができるのかという声もたくさん出ている」と空気を伝えた。
一方、親朴系の間では「シャイ弾劾派」ではなく、「シャイ朴槿恵」がもっと多いだろうという正反対の主張を展開する人もいる。朴大統領を支持して弾劾に反対するが、現在の批判的な雰囲気でそのような意見を外に出しにくいという論理だ。
このような雰囲気のためか、終日一丸となってセヌリ党を圧迫する野党と異なり、セヌリ党は8日にも薄氷を踏むように危うい空気が醸し出された。親朴系は表決を控えて、あらゆる手段を動員して中間地帯の議員らの説得に乗り出し、非朴系の非常時局委員会は「親朴系の中心人物たちが個別に議員に接触し、権力と威圧を活用して議員の所信ある投票を妨害するようなことが起きないことを願う」と警告するなど、つばぜり合いを繰り広げた。