大統領府が国家機密などを理由に検察のアン・ジョンボム政策調整首席事務室などに対する捜索を拒否したのは、「公務執行妨害罪」に当たるという声が法曹界からあがっている。
検察は今年29日、アン・ジョンボム首席とチョン・ホソン秘書官の大統領府事務室の家宅捜索を任意提出の形で進めていたが、大統領府が「意味のない資料だけを提出」しているとして、これらの事務室に対する強制捜索を試みた。しかし、大統領府が国家機密などを理由に不承認事由書を提出したことで、(捜査官は)事務室に入れず、撤収した。
大統領府は、軍事上の秘密に該当する場所は責任者の承諾なく家宅捜索できない(刑事訴訟法第110条)との理由を挙げて、検察の強制捜査を阻止した。しかし、この場合、家宅捜索が国家の重大な利益を損なう理由を明示しなければならない。大統領府は、国家機密に言及しただけで、具体的な理由は明らかにしなかった。ある検事長出身の弁護士は「大統領府の特性を考慮しても、建物全体が軍事上の秘密に該当するということは納得し難い。大統領府は、アン首席秘書官とチョン秘書官の事務室が機密場所であることを具体的に示さなければならない。大統領府の論理に従えば、大統領府全体に対する家宅捜索が不可能になる」と指摘した。
さらに、検察が確保しようとする資料は、機密資料ではなく、アン首席らの「不正に関する資料」でる。ある検事は「アン首席がSKやロッテなど大手企業に圧力をかけて資金を集めたという疑惑と関連した資料は、機密資料とはいえない。むしろ今、大統領府が検察の家宅捜索を拒否することが国家の重大な利益を損なうもの」だと指摘した。今回検察が家宅捜索を実施するのは、大統領の演説文などがどのようにして外部に流れたかを確認するためだが、大統領の演説文や行政機関で遂行した政策資料はほとんど外部に公表された資料である。
大統領府が検察の家宅捜索を阻止したことは、公務執行妨害に当たるいう指摘もある。ある部長判事は「家宅捜索の目的物は令状に表示されているが、中には抽象的な場合もある。結局、大統領府が、家宅捜索の過程で他の資料が出るか、他の捜査の手がかりが見つかることを懸念して、捜査官の進入を阻止したと思われる」と話した。また、別の判事も「大統領府は法律を根拠に強制捜査を拒否しているが、その理由は納得し難い。大統領府が検察の強制捜査に立ちはだかったのは、公務執行妨害に当たると言える」と明らかにした。