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韓国政府批判する芸術家「ブラックリスト」の存在を確認…「リストは膨大」証言

登録:2016-10-11 00:02 修正:2016-10-11 07:19
「芸術家ブラックリスト」が事実に 
演出家パク・クンヒョン、作家イ・ユンテクまで 
昨年「標的検閲」主張したが 
政府文書で確認されたのは初めて 
文化界ブラックリスト、反発強まる
ト・ジョンファン議員がハンギョレに公開した韓国文化芸術委員会の2015年5月29日会議録//ハンギョレ新聞社

 政府に「文化芸術家ブラックリスト」が存在するという噂は数年前から出回っていた。しかし公式的な最初の問題提起は昨年9月18日、国会教育文化体育観光委員会国政監査で指摘された。当時の新政治民主連合のユ・ギホン議員は「芸術委が1月に多元芸術創作支援事業において審議委員に要求し、演劇「安山巡礼道」を選定作から除外した」とし、文化芸術家に対する広範囲なブラックリストが存在する可能性を主張した。

 ユ議員は「(芸術委職員が)審査の席で『セウォル号と関連し困るので抜いてほしい。上が(演出家の)ユン・ハンソルを政治的人物と考えているため中間では大変だ』といった」というある審議委員の携帯メッセージの内容を伝えた。該当作品は芸術委が主管する多元芸術創作支援事業で1次審査を通過した状態だったが、「上部」の政治的な反対のために排除されたことを示唆したものだ。これまで噂が飛び交っていた「文化芸術家ブラックリスト」が水面に浮上した瞬間だった。

 10日、共に民主党のト・ジョンファン議員が公開した芸術委会議録は「ブラックリスト」の存在を政府文書で初めて確認したものだ。もはや「ブラックリスト」の波紋は政治検閲に象徴される現政府の文化芸術政策の雷管に触れることになった。

 この日ト議員が公開した2015年5月29日の芸術委会議録を見ると、ブラックリストによる文化芸術家飼い馴らしの試みは一層明確だ。会議録によるとクォン・ヨンビン芸術委員長(当時)は「(基金支援の)責任審議委員を選定してみたところ、いろいろな問題の中で支援できないと判断できるリストがあるのだが、そこについて誰も責任を負わないということです」と発言した。

 現政府の元高位関係者もブラックリストの存在を提起していた。昨年、同関係者はハンギョレに対して文化芸術界など各界を網羅した「ブラックリスト」の存在について言及した。彼は「リストの名簿は1万人以上だと聞いた。ある文化体育観光部の幹部は、このリストに照らし合わせながら仕事したが、上部を言い訳にしているという話が出て、先日傘下団体に回されたと聞いている」と明らかにした。彼は「これほどのリストなら引っかからない人はいない」とし、ブラックリストの規模が膨大であると伝えた。

 ブラックリストと政治検閲はお互いに鋸歯のようにかみ合っている。リストに上がった文化芸術家は政治性向を理由に芸術委の支援対象から排除される不利益を被ったからだ。

 今まで明らかになった芸術委の支援対象に対する政治的排除は驚くべき水準だ。演出家のパク・クンヒョン氏の演劇「すべての軍人はかわいそうだ」は、台本の公募の支援、優秀作品制作支援事業などにすでに選定された作品であるにもかかわらず、支援事業から排除され、芸術委職員から支援金を放棄するよう直接求められた。演劇界はパク氏が前作で朴正熙(パク・チョンヒ)元大統領を卑下したため、標的検閲を受けたと主張する。

 また、作家・演出家のイ・ユンテク氏は「アルコ文学創作基金」の戯曲分野の審査で、作品「花を捧げる時間」が100点を取り1位を記録しながらも選定対象から脱落した。審査委員らが反発すると、文芸委は直接審査委員が選定した支援対象102人を約70人に大幅に減らして発表した。作家イ・ユンテク氏は、昨年の大統領選挙で高校の同窓である文在寅(ムン・ジェイン)候補の支持演説を行った。

 昨年、国政監査でト議員は芸術界の政治検閲問題を内部証言の録音を通じて暴露した経緯がある。支援事業の選定過程で政府に批判的な芸術界の関係者が選定されても脱落することが繰り返し起きたことを公開した。今回ブラックリストの存在が政府の文書によって確認され、「文化界ブラックリスト」の波紋が次々と広がることになった。

ソン・ジュンヒョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/culture/music/765033.html 韓国語原文入力:2016-10-10 23:23
訳M.C

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