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韓国文化芸術委が創作支援で圧力、政府に批判的な作品を排除

 創作支援を32人減らし
 今年は名簿未公開
キム・ジョンドク文化体育観光部長官が11日午後、政府世宗庁舎で開かれた文化体育観光部国政監査で議員の質問を聞いている=世宗/イ・ジョンア記者//ハンギョレ新聞社

「大統領の父親を取り上げている…」
「第5共和国でもあるまいし」
野党議員が芸術委役員・審議委員対話録を公開
「委員会が政府から独立していれば可能だが…」
創作支援選定名簿、今年だけ公開せず疑念深める

 

 文化体育観光部(文体部)傘下の韓国文化芸術委員会(芸術委)が、文学創作基金と創作産室演劇部門の選定過程に介入し、政府に批判的な特定芸術家を支援対象から排除した事実が確認され“事前検閲”問題が国政監査の争点に浮び上がった。釈然としない今回の選定過程に対する追加の疑惑が提起される中、文化界の反発も強まっている。

 11日、政府世宗(セジョン)庁舎で開かれた文体部と傘下機関の国政監査でト・ジョンファン新政治民主連合議員は、6月18日の芸術委の役員級職員と演劇支援創作産室審議委員との対話の録音内容を公開し、演出家のパク・グニョン氏の2年前の演劇『カエル』が朴槿恵(パク・クネ)大統領を風刺したため支援対象から外されたと主張した。公開された録音内容によれば、芸術委職員は審議委員が選んだ8編に含まれたパク・グニョン氏演出の新作『すべての軍人は哀れだ』を外すことを求めた。芸術委職員が「大統領の父親を直接取り上げて論じている問題であるため、特殊に(特に指定して要求するように)なった」、「委員会が政府から独立した機関ならそのままうまく発表もできると思うが、現実的にはそうした決定をするのが難しそうで…」等の発言がされている。これに対し審議委員が「私たちはそうあってはならないのではないか。第5共和国時代でもあるまいし」と反発する。

 ト議員はまた、文学創作基金戯曲部門で100点の最優先順位にあった作家イ・ユンテク氏の『花を捧げる時間』が脱落し、最終選定作も70編に縮小されたことを「政府支援事業が政権次元で文化芸術界を手懐けようと変質している」と指摘した。キム・ジョンドク文体部長官はこれに対し、「何度も芸術委支援を受け

たイ(ユンテク)作家の脱落は政治的に決定されたものではないと承知している」と答え、逆に「文化芸術界の中でも政治的イシュー化に没頭する人がいるのは問題」と主張した。

審査委員は102人選んだが
藝術委が70人に減らす
文体部長官は文化界に責任転嫁
「政治イシュー化に没頭する人が
文化芸術界の中にいて問題」
ト議員が公開した録音に
藝術委職員「大統領の父親を…」

 キム長官の主張にもかかわらず、芸術委の今回の支援事業選定は様々な面で異例だった事実が明らかになっている。

ト・ジョンファン新政治民主連合議員が政権次元の文化芸術界の手懐けを提起する間、スクリーンに韓国文化芸術委員会職員と審議委員間対話録の内容が映し出されている=世宗/イ・ジョンア記者

 まず芸術委は、昨年まで文学創作支援基金の全選定名簿をホームページに公開してきたが、今年は応募者がログインを通じて自分の結果しか確認できないようした。芸術委は「脱落団体(芸術家)の不満が多く、支援金決定額が少ない団体も否定的意見を表明してきた」とし「不必要な不満の余地をなくそうと全内訳を公開しない個別結果確認手続きに変更した」と釈明したが、すべての新春文芸や文学賞の選定作が公開されているのと比較される。

 11月に応募し2月までに審議を終えるはずの日程が7月まで先延ばしされ、支援対象が減った過程も釈然としない。3次審議委員は審査合格者102人の名簿(予備候補含む)を芸術委に提出したが、慣行上の追認機関に過ぎない芸術委理事会がその中から32人を抜いた70人を最終支援対象に決めた。審査に参加したある審議委員は「初めて審査の依頼を受けた時は、確かに例年と同じように100人に1000万ウォン(約100万円)ずつ10億ウォン(約1億円)の予算が確保されたと聞いた」とし「権限も疑わしい理事会が最終脱落者を決めた上、政治的理由にともなう脱落を薄めようと全体の支援規模を縮小したのではないかという疑いを持っている」と語った。理事会の決定で脱落した32人のうちの1人というある作家は、この日、ハンギョレに電話をかけてきて「選定の有無が発表される時までは他に応募したり発表することもできず、財産権が封じられたのと変わらない状態」であるとし、「政府が飴で作家を弄んでいたのが今になって分かった」と憤慨した。

 ソウル演劇協会はこの日、声明で「ウワサでは聞いていたいわゆる政治検閲が現実であるのを示している」とし、政府の立場の表明と芸術委の解体を求めた。演劇評論家のキム・ソヨン氏はフェイスブックを通じて「生意気だから、気に入らないから消えろということです。それも巧妙な術策を使うわけでもなく、ただお前はだめだから消えろ、というのです」と批判した。韓国作家会のイ・シヨン理事長はツイッターで「朴正熙(パク・チョンヒ)時代には、反政府的な詩を書いたら中情(中央情報部)に捕まり苛酷な調査を受けた。全斗煥(チョン・ドゥファン)新軍部は戒厳が解除された後も文化観光部に『刊行物審議室』を設置し、すべての刊行図書の“事前検閲”をした。今はアルコ(芸術委)を通じて意に染まない作家を排除している」と皮肉った。文学評論家のファン・ヒョンサン高麗大名誉教授は「民主主義も公正性も、異なるものを受け入れることができる能力、すなわち寛容から始まる」とツイッターに書き残した。

ソン・ジュンヒョン、ノ・ヒョンソク記者、チェ・ジェボン先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-09-11 22:15

https://www.hani.co.kr/arti/culture/culture_general/708585.html 訳Y.B

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