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「成果年俸制の分水嶺」 … コレイル労-使、退路なき代理戦

登録:2016-10-06 16:16 修正:2016-10-07 09:00
政府・コレイルの強硬対応は何故?
9月30日、ソウル市汝矣島駅に地下鉄の正常運行関連の案内文が表示されている。ソウル市営地下鉄はこの日から正常運行されたが、コレイルが運営する1号線、3号線、4号線と盆唐線、京議中央線、京春線ではストが続いており、当分の間不便な状況が続くと思われる/聨合ニュース

政府、公共機関の賃金ピーク制導入成功後
余勢を駆って成果年俸制を強行
雇用労働部長官、「不法スト」と無理な規定
コレイル、スト参加者にケータイで脅迫メール

鉄道労組、政府の一方通行方式にストで ブレーキ
制度導入時の民間大企業への波及を憂慮

 コレイル(韓国鉄道公社)のホン・スンマン社長が鉄道労組のストと関連して社会的対話への参加を拒否するなど強硬な立場を固守しているのは、鉄道労組のストが単にコレイルだけの労使関係を越えて、政府と労働界の代理戦的性格を帯びているためと見られる。鉄道労組は公共部門労組の中で戦闘力が最も大きい労組で、これまで政府の政策に正面から対立してきた。 政府は鉄道労組に押された場合、公共部門の成果年俸制全面拡大と低成果者退出という政府の政策方向が揺らぎかねないと見ている。

■「労組に物乞いする必要ない」

9月29日午後、ソウルの汝矣島公園で「労働改悪阻止、成果退出制粉砕、全面スト闘争勝利のための公共運輸労組スト総力闘争大会」が開かれ、全国から上京した公共運輸労組員らが成果主義に反対するスローガンを叫んでいる=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 ハンギョレが入手したコレイルの「スト対策会議の経営陣発言要約」を見れば、ホン社長はこの2日「今回のストは政治日程に合わせた政治ストだ」と規定した上で「組合側は 10月4日の政界の動きに期待をかけているようだが、そんなこと(社会的機構を通しての解決法)は絶対に不可能だろうし、またそのような社会的統合機構にコレイルは絶対に参加しない考えだ」と発言している。先月30日に「共に民主党」のチュ・ミエ代表が二大労総の要求を受け入れて提案した 「社会的対話機構」を通しての労使葛藤解決を事前に遮断したわけだ。

 先月29日にソウル地下鉄などソウル市の投資機関の労使が成果年俸制関連交渉において電撃的に妥結した(訳注:成果年俸制導入は労使間の合意により決定し、低成果者退出制は施行しないことで合意)時も、ホン社長は幹部ビデオ会議を開き「幹部として物乞いする必要はない」として労組と話し合う意思のないことを明らかにした。 先月27日に鉄道労組とともにストライキを始めたソウル地下鉄労組は、ソウル市との合意でこの日ストを撤回した。 ホン社長は「(ストが) 1~2カ月かかっても、3年に一度ずつ散歩にでも出かけるようにやっているストの慣行を改めなければならない。1000人から最大3000人まで期間制、日雇い (代替人員)の採用を準備するなど長期戦に備えている。代替人員は新規職員採用時に加点を与える方案を検討」すると発言した。 実際、コレイルは先月30日からストの長期化に対する非常対応策として職員1000人を公開募集し299人を採用した。またストを主導した労組幹部145人を職位解除し労組執行部 9人を業務妨害罪で警察に告発した。

 ストに参加した職員にも“警告”のメッセージを相次いで送っている。先月30日には鉄道労組幹部の一部に「職位解除されれば職場を去ることにもなり得るという先例を作る」という内容の携帯メールを発送し、この2日にはスト参加者の自宅に内容証明を発送して警告した。ホン社長の名前で送ったこの内容証明は「不法ストライキはその過程よりストライキ終了後に大きな困難が始まります。その程度が違うだけで参加者全員に対して不法による責任を問わざるを得ないからです」と書かれている。 3日現在、鉄道労組の組合員7471名がストに参加している。

■大統領府の意思が反映されたものか

 労組側では「会社側が『大統領府など外部から注視している目が多くて、我々の考え通りにすることができない』と言った」として、コレイルのこのような対応の背後に大統領府と政府がいると疑っている。賃金ピーク制・成果年俸制・低成果者退出制は朴槿恵(パク・クネ)政権が推進する公共部門改革の「3点セット」だ。 経営評価、賃金差別支給などの手段を通して去年公共機関の賃金ピーク制導入に成功した政府は、今年に入って成果年俸制を同じような方式で強行している。 今年1月に政府が成果年俸制導入方針を発表してから 5カ月が経った6月、120の公共機関において成果年俸制拡大導入を完了した。公共部門で成果年俸制と低成果者退出制度が全面導入されれば、当然民間の大企業にも影響を与えることになる。

 政府が一方的に推し進めている成果年俸制にブレーキをかけたのが、先月22日から始まった労働界の連鎖ストライキだ。雇用労働部は鉄道労組のストを翌日に控えた先月26日、突然鉄道労組のストを「不法」と規定してかかった。 成果年俸制関連の葛藤は労使間の「利益紛争」ではなく司法部の判断が必要な「権利紛争」なので、訴訟を通して解決すべき問題だというのが雇用部の主張だ。 しかしこのような雇用部の「不法ストライキ」という立場は先月20日の雇用部長官のブリーフィングの時にも言及されなかった“新しい理論”だ。先月30日に国会で開かれた環境労働委員会の国政監査において中央労働委員会側は「(鉄道労組のストライキも) 正当な調整対象であった。他と同様に調整を完了した」として「合法スト」という判断に軍配を上げた発言をしている。

 鉄道労組の関係者は「労組は政府と国会に対し社会的対話機構など事態解決のための対話を一貫して主張しているが、政府とコレイルの拒否によりストライキが長期化している」と批判した。

チョン・ウンジュ、キム・ソヨン記者  (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2016-10-04 05:01

https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/763972.html  訳A.K

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