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韓国軍、「大量反撃報復」概念を電撃公開…実際の効果には疑問

登録:2016-09-11 23:35 修正:2016-09-12 06:51
指揮部直接狙い特殊部隊を運営するなど 
「兆候を捉えたら先制攻撃」概念を盛り込む 

米国との協調問題や韓国の情報レベルから 
専門家、実現可能性を疑問視 
「徒に北朝鮮を刺激し軍事緊張を招くだけ」
黄教安首相が11日午後、仁川広域市江華郡の海兵2師団砲兵中隊「自主砲隊」を訪問し、部隊を視察している/聯合ニュース

 韓国軍が北朝鮮の5回目の核実験に対する軍事的対応として「韓国型大量反撃報復作戦」(KMPR)を掲げたが、北朝鮮の核に対する抑止力としてどれほどの実効性を持つかについては、疑問視する声が多い。

 イム・ホヨン合同参謀本部戦略企画本部長が9日、記者団に直接説明した大量反撃報復とは「北朝鮮が核兵器で危害を加えた場合、北朝鮮の戦争指導本部を含む指揮部を直接狙って反撃・報復する体系」だ。多量で精密打撃が可能なミサイルなどの攻撃戦力と同時に精鋭特殊作戦部隊なども運営される。この作戦概念は「兆候」が捉えられ次第、攻撃を敢行するということから、「先制攻撃」概念が盛り込まれている。この大量反撃報復は「キルチェーン」(韓米連合先制打撃防衛システム)型ミサイル防衛(KAMD)と共に、対北朝鮮抑止力の「3本柱」の一つとして紹介された。これは核兵器使用の兆候が捉えられた場合、金正恩(キムジョンウン)労働党委員長をはじめとする北朝鮮指導部のある区域を直接狙い、ヒョンム(玄武)2(弾道ミサイル)、ヒョンム3(巡航ミサイル)ミサイルで焦土化すると共に、専門特殊部隊を動員するという意味だ。

 これに対し、国防安保フォーラムのヤン・ウク首席研究委員は11日、「軍が公式に大量反撃報復作戦に言及したのは今回が初めて」として、「これまでの作戦概念が守勢的なものに近かったとすれば、これは攻勢的な内容が含まれたものとみられる」と話した。さらに、「ただし、作戦概念が実効性を持つためには、特殊戦司令部が陸軍だけに設置されているため、陸・海・空合同特殊戦組織を作る必要があり、浸透過程で利用する戦略資産を米軍に依存している限界も乗り越えなければならない」と指摘した。

 しかし、この作戦概念が、昨年軍関係者が言及して波紋を呼んだいわゆる「斬首作戦」とあまり変わらないという指摘もある。北朝鮮を感情的に刺激し、南北間の軍事的緊張が高まる恐れがあるということだ。

 自主国防ネットワークのシン・インギュン代表は「北朝鮮指導部を目標とするという点で、韓国軍の意志を明確にすると同時に、国民の不安を解消する側面がある」としながらも、「感情的な争いが相乗作用を起こし、軍事的緊張が高まる可能性もある」と指摘した。 さらに、「ただし、恐怖の均衡レベルからして、実際に衝突する可能性が高まるとは考えにくい」と付け加えた。

 作戦概念の設計における欠陥も指摘されている。軍事専門家のキム・ジョンデ正義党議員は「大量反撃報復という概念は、米国のアイゼンハワー時代からあるもので、目新しいものではない。ただし、韓国型大量反撃報復の概念は、大量報復という目的と指導部を直接攻撃するという目標が矛盾する概念」だとして、「指導部に対する報復が究極の目標なら『大量』ではなく『正確性』や『精密性』に重点が置かれなければならない」と話した。彼は「核実験の動向すら把握できない韓国軍のレベルから見て、有事の際に指導部の位置の把握など、作戦が実行可能かどうかも疑わしい」と指摘した。

ハ・オヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2016-09-11 20:57

https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/760983.html 訳H.J

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