政府が最近韓国に入国したと17日に発表したテ・ヨンホ英国駐在北朝鮮大使館公使の夫人のオさんが、「抗日パルチザン」として活動した呉白龍(オベクリョン)元朝鮮人民革命軍指揮官(1984年死亡)の姻戚と伝えられた。抗日パルチザン一家は、北朝鮮で最高の名門家として知られる。呉白龍は、人民軍総参謀部副参謀長(人民軍大将)のオ・クムチョルの父親である。
複数の高位層脱北者は18日、「テ公使の夫人呉氏は、(金日成<キムイルソン>主席と共に活動した)抗日パルチザンである呉白龍の親戚」だとし、「ただし、遠い親戚に当たるものと聞いている」と話した。
抗日パルチザンの子孫の脱北と韓国入国は異例ではあるが、一部メディアの報道とは異なり、最初ではない。アフリカのザンビアの北朝鮮大使館で書記官として勤務していた1996年に脱北したヒョン・ソンイル国家安保戦略研究院上席研究委員は、父方の祖父が抗日パルチザン出身で、ヒョン・チョル朝鮮人民軍元帥兼労働党中央委員を叔父に持つ。
「聯合ニュース」など一部のメディアは「北朝鮮事情に詳しい対北朝鮮消息筋」を引用し、「テ公使の父は金日成(主席の)伝令兵として活動した抗日パルチザン1世代の太炳烈(テビョンリョル)」と報じた。太炳烈は、人民軍の大将まで務めた抗日パルチザン1世代で1997年に死亡した。しかし、複数の高位層脱北者は「テ公社は太炳烈の息子ではない。 誤った報道」と指摘した。彼らは「テ公使は、北朝鮮の特権層ではなく、平凡な家柄の出身」だと付け加えた。
これに対し、統一部当局者はテ公社と夫人の呉氏の家族関係について、「家族関係などは公式的に把握していない。身元は公開できない」として、事実関係の確認を拒否した。
多数のマスコミがテ公使家族の脱北の動機を国連安全保障理事会決議2270号など国際社会の対北朝鮮制裁によるものと報じていることと関連し、統一部当局者は「テ公使が脱北の動機と関連し、(対北朝鮮)制裁の話はしていないものと聞いている」と伝えた。同当局者は「テ公使は、脱北の動機として金正恩(キムジョンウン)体制に対する反感や大韓民国の社会と自由民主主義体制に対する憧れ、子供の将来などを挙げたと聞いている」と付け加えた。
ただし、彼は「テ公使が外部の情報にたくさん接しており、南北を比較できる目を持っていたと思われる。金正恩体制に希望がなく、限界を克服できないと感じて、(脱北を)決意したものとみられる」としたうえで、「金正恩体制の内部結束にヒビが入るきっかけの一つになれるのではと思っている」と話した。
英国メディアは、テ公使の脱北が子どもの将来のためだった可能性を指摘した。英国の「ガーディアン」はテ公使の19歳の次男が、成績優秀な秀才として知られ、ロンドン・インペリアルカレッジへの入学を控えていたと伝えた。「ガーディアン」はテ公使がいつ北朝鮮当局に召喚されてもおかしくない状況であり、この場合、次男の学業が危機を迎える恐れがあると報じた。英国のBBC放送の韓国通信員のスティーブ・エバンス氏はテ公使と知り合いで、テ公使の息子(長男)が英国大学で公共医療経済と関連した学位を取得したとして、学位論文の内容は、平壌(ピョンヤン)が世界的な都市になるためには、障害者専用の駐車空間を拡充しなければならないというものだったと伝えた。
一方、統一部当局者は、政府がテ公使家族の入国について異例の公式発表を行った背景をめぐり様々な憶測が飛び交っていることを受け、「テ公使家族が第3国に行くとする国内外メディアの報道が相次いでおり、それは(事実では)ないと正すために公開した」と説明した。
イ・ジェフン、キム・ジンチョル、チョ・ギウォン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
韓国語原文入力:2016-08-18 13:28