想像したことがすべて現実になっている。映画をドキュメンタリーにしてしまう大韓民国0.1%の素顔が連日のように明らかになっている。一握りの倫理すら脱ぎ捨ててしまった財閥と権力者の姿に、市民は怒りを越えて韓国社会とその未来に責任を負うべき人々の現実の水準に虚脱感すら感じるほどだ。
22日、サムスン電子のイ・ゴンヒ会長が、過去にソウル・江南(カンナム)の自宅と高級マンションで女性たちと性売買行為をしたと推定される隠し撮り動画が公開されると、残りの99.9%の現実が沸き立った。「映画『インサイダーズ/内部者たち』の実態調査版が今ここに」というコメントがモバイル空間を熱くした。
ハンギョレホームページに連載されたウェブ漫画が原作の映画「インサイダーズ/内部者たち」は、財閥、政治家、大統領府民政首席、検事、マスコミ、チンピラが絡み合った、金と権力への欲望の泥仕合を余すところなく描いた。特に、贈賄企業と権力者が秘密の別荘で行うセックスパーティーと、それを隠し撮りする映画の中の設定に、観客たちは「いくらなんでもまさか…」と、韓国社会の主流を形成する人々の水準に対して一抹の希望は残していた。しかし、何者かが金目当てで撮ったイ会長の隠れ家の性売買動画が公開されると、「映画が現実だった」として、虚しさを感じる人々が続出した。
それだけではない。公的権限を私的に乱用したり、駆け引きに使う映画の中の大統領府民政首席と検事が、現実では各種の疑惑に包まれたウ・ビョンウ民政首席とチン・ギョンジュン検事長が代役でなく直接出演した格好になった。「どうせ大衆は犬や豚」という映画の中の0.1%のセリフは「エリート高位官僚」だった前教育部政策企画官ナ・ヒャンウクが言い放って現実にした。あるネチズンは「芸能人の性的暴行や性売買事件については大見出しで報道したマスコミが、巨大企業会長の買春は報道すらしない」と書き、「インサイダーズ/内部者たち」で権力と癒着した「祖国日報」の姿を現実から読み取った。
さらに、4・13総選挙を控えて大統領府政務首席と親朴槿恵(パククネ)系の有力政治家らが大統領の意を呈して脅迫に近い公認の闇取引をする録音ファイルが公開され、「前官待遇」を利用した弁護活動を通じて100戸を超える不動産を買い入れた元検事(ホン・マンピョ弁護士)の実状まで、映画がとうてい追いつけないほどの超現実的な状況が繰り返されている。
市民とネチズンは「0.1%の韓国支配勢力が、残りの99.9%の犬や豚よりマシなものが何があるんだ」と問い詰めた。聖公会大社会科学部のキム・ドンチュン教授は「保守政権になって不正腐敗が頻繁になり、社会的に要求される道徳的基準も低下した」と腐敗と怒りの慢性化を指摘した。西江大社会学科のチョン・サンジン教授は「相次いで明らかになっている社会権力層の不正疑惑を見て、国民が感じる虚脱感と冷笑主義が強まるおそれがある」と憂慮した。