政府の公式な否定にもかかわらず、慶尚北道の星州(ソンジュ)に配備される予定の高高度防衛ミサイル(THAAD<サード>)は、中国とロシアを狙った米国のミサイル防衛(MD)システムの一部として機能せざるを得ないものと見られている。
正義党のキム・ジョンデ議員は19日、国会で開かれた「THAAD配備に対する緊急懸案質問」で、2015年に米議会傘下の会計監査局(GAO)が発行したミサイル防衛に関する報告書と、2017年の米政府予算案資料などを根拠に、「星州に配備される在韓米軍のTHAADは1.0バージョンであり、2025年まで(米国の)すべてのミサイル防衛資産と連動される2.0バージョンにアップグレードが完了する予定」としたうえで、「こうなると朝鮮半島における在韓米軍のTHAADは(米国が運用するMDシステムの)端末機に過ぎないことになる」と述べた。キム議員が公開した資料によると、米軍はハードウェア中心の現行THAAD(1.0)をパトリオットやイージスなど、全世界のMDシステムと連動するソフトウェア中心の2.0バージョンにアップグレードする作業を進めている。アップグレードが終われば、世界各地に配備されたTHAADは一つのシステムに統合され、単一MDシステムで運用されるが、結局、星州に配備される在韓米軍サードも統合されたMDの一部として機能するようになるということだ。
これに対しハン・ミング国防部長官は、朝鮮半島のTHAADが米国のMDとは無関係の、北朝鮮を抑止するための戦力という従来の立場を繰り返した。ハン長官は「THAADは米国が運営する多数のミサイル防衛システムの一つ」としたうえで、「(星州に配備されるTHAADを)グローバルなレベルの米国MDというのは言い過ぎだ」と答えた。ハン長官は、また「一般的には政府間に了解覚書(MOU)を結んで、ミサイルの生産・配備・運用・教育訓練全般を完全に(共有)することをMDへの参加というが、そのような計画はない」と強調した。
キム議員はその後、ハンギョレの電話インタビューに「米報告書によると、星州に配備される在韓米軍のTHAADは、米国の中央統制センターに連結され、米本土を防衛するTHAADと一つのシステムに統合されることになっている。だから、中国とロシアが星州へのTHAAD配備に強く反対するのだ」と指摘した。
韓国語原文入力:2016-07-19 22:05