ファン首相の乗ったバスを止め5時間以上対峙
「星州でもどこでもTHAADは必要ない」と激しく反発
星州地域の小中高生800人余が早退し集会に参加
「俺たちは畜生で、お前らだけが国民か?」、「首相も星州に孫や息子を連れて転入してみろ」、「アメリカと北朝鮮が戦争するのに、どうしてここにTHAADを配備するんだ?」。
15日正午、慶尚北道星州(ソンジュ)郡星州邑の星州郡庁前の広場では、怒った住民の叫び声があふれていた。その片隅ではファン・ギョアン首相とハン・ミング国防長官らが乗っているマイクロバスが動けずに停まっていた。住民500人余がバスを取り囲み、ファン首相とハン長官にバスから降りてTHAAD配備決定の撤回を約束するよう要求した。
この日午前11時、ファン首相とハン長官、行政自治部のキム・ソンニョル次官らは住民を説得するために星州に到着した。星州郡庁前では午前10時から住民3000人余(警察推定)が「THAAD絶対反対」と書かれた赤い鉢巻きをしてTHAAD配備反対集会を行っていた。星州地域の小中高生800人余も学校を早退して集会に参加した。
郡庁の玄関前に立ったファン首相は、住民に向かって「皆さんにあらかじめ話せなかったことを改めて申し訳なく思う」と謝った。さらに「北朝鮮が毎日のように核の挑発をしている。国家の安全が脅かされ、国民の生命と身体が危険な状況であり、国としてはこれに対する備えをせざるをえなかった」として安保論を持ち出した。
だが、この話が逆に住民達の怒りを煽ることになる。住民らは生卵やペットボトルを投げて叫んだ。ある住民は「ファン・ギョアン首相とハン・ミング国防長官は、息子や孫を連れてTHAADが配備される星山前に来て一緒に住んでみろ。俺が家を建ててやるから。それならお前を認めてやる」と叫んだ。卵を投げつけられたファン首相やハン長官らは、あわてて庁舎内に身を避けた。ファン首相一行はその後、庁舎の横のドアから出て行こうとしたが住民に見つかった。
住民のベ・チョルホ氏(64・星州邑)は「インターネットを見れば、星州チャメ(マクワウリ)はすでに『THAADチャメ』、『電磁波チャメ』と言われている。町を滅ぼすつもりなのか。政府が山岳地域にTHAADを配備するという話は聞いたが、まさかここ星州市内の丘に配備するとは思わなかった。撤回とか再考と言うまではここから絶対に出させない」と声を荒げた。住民のキム・ハクチョン氏(55・草田面)は「一言の説明もせずに突然星州にTHAADを配備すると発表しておいて、星州に来たかと思えばマスコミに出ている話をオウムのように繰り返している。私たちをあまりに愚弄している。星州であれ、どこであれ、THAADは絶対来させない」と批判した。
住民らはこの日午後1時30分頃、トラクター2台を前面に立て、ファン首相が乗ったバスの前を塞いだ。そしてTHAADの星州配備の再検討を約束するよう要求した。キム・ハンゴン星州郡守と地元選出の国会議員のイ・ワンヨン議員が仲裁に乗り出したが、逆に住民たちの非難を受けて戻った。
住民のキム・ソンドク氏(51・星州邑)は「首都圏防衛はできず、在韓米軍部隊の防衛しかできないTHAADは、結局韓国のためでなくアメリカのためのものだ。レーダーで中国やロシアを監視するためのものであることは誰の目にも明らかなのに、THAADをここに持って来て、私たちが被害を受けなければならないいわれはない」と話した。さらに「在韓米軍によるTHAAD韓国配備で中国とロシアが反発しているが、今後韓国がこれらの国から経済的な不利益を受ければどうするつもりだ。星州住民だけの問題ではなく、星州であれ、どこであれ韓国にTHAADは必要ない」と付け加えた。ファン首相一行はこの日午後5時35分頃、警護員の護衛を受けバスから降りてどこかに消えた。