ハン・ミング国防部長官が12日、在韓米軍の高高度防衛ミサイル(THAAD<サード>)配備と関連して、「THAADは砲兵1個中隊」と発言した。中国との外交摩擦や地域軋轢など、国内外に大きな波紋を起こした重大事案であることを無視した責任回避の強引な屁理屈と批判されている。
ハン長官はこの日、国会予算決算特別委員会で共に民主党のイ・サンミン議員が「THAAD配備に対してなぜ国会の同意を得ようとしないのか」と質すと、「THAADについて韓国では過度に大げさに考えているが、砲兵1個中隊だ。迎撃できる防空砲兵中隊だ。厳密に言えば、在韓米軍から韓国軍に通知があれば協議するもの」と答えた。ハン長官は「これは単純に在韓米軍がTHAAD1個砲隊を大韓民国に展開し配備する問題と見ている」とも話した。
しかしこの発言は、国家安全保障会議(NSC)を開き政府の方針を定めただけに、THAAD配備決定以後には経済界を中心に中国の報復可能性などに対する憂慮が強く、THAAD配備候補地域の世論状況を無視したものだ。THAADの配備に国会の同意は必要ないことを強調するための発言だが、たいしたことでない問題を過剰に騒ぎ立てているという意味に聞こえる。事実上、国内外での論議の責任をTHAAD配備決定を憂慮する側に押し付けるものだ。
イ・サンミン議員はこれに対して「1個砲隊とは、世の中が大騒ぎになっているのに、それは幻を見て騒いでいるだけだと言うのか」と叱責した。ハン長官は「軍の編成概念で砲兵中隊規模と話したまで」と釈明しながら「周辺国では過度な戦略的意味を付与して問題を大きくしていると考える」として、当初の発言の意図を撤回しようとはしなかった。
軍事技術的な意味だけで言っても、ハン長官の発言は行き過ぎだ。THAADの1個砲隊を運用する兵力は概略200名を超えないと推定される。しかしTHAADを防護する警戒兵力や行政、軍需などの支援兵力を合わせばはるかに多くならざるをえない。
ハン長官は、THAAD配備の国会同意要否と関連して「戦時作戦統制権返還のような、これよりはるかに重大な問題でも国会の同意なしに政府が決定した」として「韓米相互防衛条約とSOFA(駐屯軍地位協定)、在韓米軍戦力運用通知および協議手続き法規などにより国会同意などの手続きは全く必要ないと判断した」とこれまでの見解を繰り返した。
ハン長官はTHAADの危害性有無については「米軍が二度にわたり環境影響評価を実施した。それを通じて確認した。資料を通じてシミュレーション評価をした」として「そうした評価を経て危害性に問題がないという結論を下した」と答えた。ただし「韓国にTHAADがまだ展開していないので、直接調査したことはない」と念を押した。