「特別なキャンペーンに胸を打たれた。多くの外国人と英国人たちも署名をしたが、彼らも皆感動した様子だった」
トラファルガー広場でのキャンペーンが終わった後、インタビューに応じたアンドリュー・ジェンセンさんの顔は上気していた。ジェンセンさんは「慰安婦のための正義・英国グループ」を初めて提案し、潘基文(パンギムン)国連事務総長の講演場で1人デモなどを行ってきた人物だ。昨年、韓国と日本政府の間で、被害者のハルモニ(おばあさん)たちの意思をすべて無視したまま「合意」が行われたことに憤慨し、会を作ったという。
彼は自分を「アン(ドリュー)ソバン(韓国語で妻の親族が婿を呼ぶときの呼称)」と紹介した。夫人のデビー・キムさんは韓国人だ。その影響もあったかもしれないが、それより歴史的にも現実にも様々な苦しみを抱えている韓国について、知れば知るほど愛着を感じるようになった。その中の一つが日本軍「慰安婦」問題だった。韓国を訪れて水曜集会に参加するなど、(思いを)行動に移してきた。江汀(カンジョン)村海軍基地問題を知るようになり、セウォル号事件に対しては怒りと悲しみを同時に覚えた。
ジェンセンさん夫妻は「12.28合意」以降、ヨーロッパの多くの都市で合意を糾弾するデモがあったのに、ロンドンでは開かれなかったことをインターネットの検索を通じて知り、恥ずかしく思った。さらに、英国を代表する「ガーディアン」や「タイム」も、その実像を伝えず、韓日両国政府が広報した内容をそのまま報じているのを見て、すぐに行動に移した。インターネットやSNSなどで「同志」を集めた。そして、被害者ハルモ二の意思を裏切り蹂躙した韓国政府に対する抗議として、駐ロンドン韓国大使館前でデモを行った。この日、行動を共にしてきた「同志」たちと共に立ち上げたのが「慰安婦の正義のための英国グループ」だった。英国グループは、1月27日、日本大使館前でも抗議デモを行った。
彼らは12 .28合意に対し「朴槿恵(パククネ)大統領の勇断」と称えた潘基文・国連事務総長が2月5日、英国ロンドンで講演するというニュースを聞いて憤慨した。ジェンセンさんの評価は、国連人権委員会の調査結果や結論、日本政府への勧告までをも無視したものだった。
ジェンセンさん夫妻が先頭に立つことにした。英国国連協会とチャタムハウスが共同主催した講演場は2千人の聴衆で埋め尽くされた。潘事務総長は演説するために講壇に立つと、ジェンセンさんは潘総長の前に立ちはだかり、「慰安婦のための正義」と書かれたプラカードを掲げた。警護員たちに制止されるまでわずか30秒に過ぎなかったが、この映像は全世界に打電され、12.28合意の誤りと潘総長の日和見主義的な態度が国際的な注目を集めるきっかけとなった。デビー・キムさんは講演場の前で「生きている少女像」のデモを行った。彼らと行動を共にした人たちは「日本は恥を知れ」「私たちは公式の謝罪を要求する」という内容のプラカードを掲げた。
「英国人は人権に敏感と言われるが、昨年12月28日に韓日間の合意が行われるまで、日本軍性奴隷事件があったという事実はほとんど知られていなかった。無知だったからこそ、英国の正論紙とされるメディアまでもが合意を高く評価する報道を行った。だから、市民がこの問題を正しく理解できる機会はなかった」
合意直後、挺対協関係者が反論する記者会見を開いたが、いわゆる正論紙や放送はどこもこの事実を報じなかった。アイルランド系の小さな新聞だけこれを伝えただけだ。結局、潘事務総長のとんでもないお世辞が「英国グループ」の行動を呼び、それが英国に正しい情報と判断を可能にするきっかけとなった。
「日本軍慰安婦問題は、韓国だけの問題でもなく、アジアだけの問題でもない。韓国とアジアを越えて全世界の問題であり、歴史的な問題だ。今そのような人権侵害は、地球のあちこちで行われている。世界の人々が自分の問題として考えて関心を持つことが重要だ」
ジェンセンさんは再びキャンペーンに対する感動と感謝の気持ちを伝えた。「12.28合意以降、韓国で少女像を守るために大学生たちが極寒の中で座り込みを続けていることにとても感銘を受けたが、彼らに今日会えてとてもうれしい。さらに、このような素敵なキャンペーンまでしてくれるなんて。私たちもそのようなキャンペーンを行ってみたい」
「英国グループ」はこれまでロンドン大学で慰安婦問題をテーマにマキ・キムラ博士の講演を開き、慰安婦関連映画や映像上映会も開催してきた。今後も1人デモ、水曜連帯集会を続ける計画だという。
韓国語原文入力:2016-06-30 19:31