新聞法施行令改定案、昨年末施行
ネット新聞の登録要件を
「5人以上常時雇用」と大幅強化
既存媒体も11月までに要件充足を要求
昨年末にインターネット新聞の登録要件が「3人以上の取材・編集人員」から「5人以上常時雇用人員」に強化された後、小規模インターネット媒体の悩みが深まっている。既に登録済みのインターネット新聞の場合、今年11月までに新しい登録要件を満たさねばならないが、財政が限られた代案媒体の場合、常時雇用人員を増やすことは容易でないのが実情だ。実際に廃刊する媒体も出始めている。
文化体育観光部は去年11月「えせメディア行為を規制する」なる名目を掲げ、インターネット新聞の登録要件を強化する内容の新聞法施行令改正案を国務会議で通過させた。既存の登録媒体には新しい登録要件を満たすための1年間の猶予期間が与えられたが、言論の自由を侵害するとの反発が相次いだ。
忠清道地域に基盤を置くインターネット代案媒体「メディア忠清」は5月30日、ホームページを通して廃刊の事実を知らせた。2007年創刊のこの媒体は、柳成(ユソン)企業、甲乙オートテクなど忠清地域の労働懸案だけでなく、2009年の双龍(サンヨン)自動車占拠ストライキ、2011年の済州海軍基地建設反対闘争など全国的事案に対しても現場を訪ねて報道してきた。同媒体のチョン・ジェウン記者は「主流メディアが目を向けようとしない社会的弱者及び労働者たちのスト現場に常駐し、その声を国民に生き生きと伝えた」として、2011年に民主言論市民連合の「民主市民言論賞」も受賞している。メディア忠清は廃刊前まで3人の取材・編集人員がいたが、登録要件強化が廃刊の直接的な契機になったものと見られる。
インターネット媒体、次々登録取消しの危機
「メディア忠清」ホームページで廃刊の知らせ
「言論・出版の自由侵害」と憲法訴願提起
第20代国会が代替立法などに乗り出すべき
メディア忠清は昨年末から今年の初めにかけ、労働問題専門媒体の「チャムセサン」、障害問題専門媒体の「Beマイナー」、慶尚北道地域に基盤を置く「ニュース民」、全羅北道地域に基盤を置く「チャムソリ」などインターネット代案媒体と共同対応を論議してきた。力を合わせて全く新しい媒体を作る方案など多様な検討を試みたが、各媒体の現実、地域的・物理的限界などを超えることができなかったという。
現在小規模の代案媒体はそれぞれ各自の方式で「ネット新聞登録要件強化」に対抗している。今年の初めに週刊誌『ワーカーズ』を創刊したチャムセサンは、「5人以上の常時雇用」の壁を辛うじて乗り切った。現在常時雇用人員が4人のBeマイナーとニュース民は、猶予期間内に1人増員する計画だ。これらの媒体の多くが、広告でなく会員の後援金に依存しており、深刻な「出血」を受け入れるしかない。ニュース民の場合、常時雇用人員を1人増やす費用が現在の財政規模の25%に迫るほどだ。チャムソリなど規模がさらに小さな媒体には、これといった代案がない。
ニュース民のチョン・ヨンギル編集長は「地方自治体や官公署から広告をもらって記事を書いている媒体の方がむしろ、組織を合併するなど生存のために一層足早に動いている。このまま行けば「えせメディア行為」とはほど遠い、罪もない代案メディアだけが消えていく」と憂慮した。
小規模ネット媒体は昨年末、正義党の「草の根インターネットを守るセンター」や言論改革市民連帯などとともに、「新聞法と新聞法施行令が憲法の保障する言論・出版の自由等を侵害している」として、憲法訴願と当該法律の効力停止仮処分申請を出した。しかし今年11月の猶予期限まで憲法裁判所の決定をただ待っているわけにはいかないとも指摘されている。韓国インターネット記者協会のト・ヒョンネ事務総長は「大規模な登録取り消し事態を阻むためには、猶予期間が終わる前に国会が新聞法自体を改正するなど代替立法に乗り出なければならない。第20代国会への関心は切実だ」と述べた。昨年末の国会でインターネット新聞の登録基準などを「大統領令」で規定する条項の削除を主要内容とする新聞法改正案が発議されたが、第19代国会の任期が終わるとともに自動廃棄された。
韓国語原文入力: 2016-06-13 23:06