ロシアの要求で3項目変更
石炭・航空燃料禁輸に例外条項追加
中国、過去にも3~6カ月だけ“誠意”
今回も同様の行動が予測される
国連安全保障理事会(安保理)は2日(韓国時間3日)、北朝鮮の4回目の核実験とロケット発射に対応した新たな北朝鮮制裁決議を公式に採択した。北朝鮮が1月6日に4回目の核実験をしてから57日ぶりだ。韓米と中ロとの意見の食い違いを解消し、文案を折衷させるため、これまでの北朝鮮制裁決議の中で最も長い時間がかかった。
米中両国は2月25日の決議案草案に合意し、安保理理事国に回覧させたが、ロシアが一部修正を要求し、採択が一週間近く見送られた。安保理は当初、1日午後に新決議を採択しようとしたが、「決議草案(ブルーテキスト)回覧24時間経過してから票決」の慣行を守ろうとするロシア政府の要求により、全体会議を延ばした。
新決議は専門12項目(安保理の基本認識)、本文52項目(制裁措置と履行計画など)、4つの付属書からなる。中国政府の要求で、北朝鮮核問題の平和的・外交的解決の原則および国連加盟国の6カ国協議支持再確認も盛り込まれた。韓国外交部は「70年の国連史上、非軍事的措置としては最も強力で実効的な制裁決議」と評価した。外交部当局者は「制裁措置の52項目の過半数に『決定(decide)』と明示されるほど制裁履行の法的義務が強化された」と述べた。
だが内外の専門家の間では、北朝鮮と1500キロに及ぶ国境で接し、北朝鮮の対外貿易の90%前後を占める中国政府の「履行の意志」が北朝鮮制裁決議の実効性を左右するということに異論はない。安保理がこれまで行った4回の北朝鮮制裁決議の履行過程で、中国政府は3~6カ月ほど“誠意”を見せ、その後は「融通性を発揮した」というのが専門家らの指摘だ。中国政府は今回も以前と質的に異なる動きを見せないとする見方が強い。すべての国連加盟国は決議採択後、90日以内に制裁移行経過と計画を盛り込んだ国家別履行報告書を安保理に提出しなければならない。
■ロシアの要求で変わった3項目
米中合意案にあった朝鮮鉱業開発貿易会社ロシア代表のチャン・ソンチョルは制裁対象から外された。拒否権を持つ常任理事国のロシアが「認められない」と反対したためだ。北朝鮮への航空燃料販売・供給の禁止でも「北朝鮮民間航空機の平壌(ピョンヤン)帰還用給油の許容」が例外条項として追加された。北朝鮮の高麗(コリョ)航空旅客機がモスクワに到着した後、平壌に戻るには給油が避けられないというロシアの指摘による調整だ。高麗航空は中ロにだけ就航しているが、この例外条項も航空燃料禁輸の“穴”になりかねない。ロシアは北朝鮮産の石炭禁輸措置と関連し、第三国産石炭の北朝鮮の羅津(ラジン)港を通じた輸出も、安保理制裁委員会に申告して承認を受ける条件で例外を認められた。韓国、北朝鮮、ロシアの3国協力事業「羅津・ハサン・プロジェクト」に対するロシアの強い関心を反映しているとも評価される。ロシアのこうした修正要求をめぐり「嫌がらせ」とする評価もされるが、自国の経済的利害を考慮した実務的調整に近いものと見られる。
■北朝鮮の国際金融ネットワークの活用封鎖
新決議は、北朝鮮の銀行の国外支店の新規開設禁止、従来の国外支店の90日以内の閉鎖を義務化した。国連加盟国の金融機関の北朝鮮内の事務所・銀行口座の開設も禁止した。国際的な人道的支援団体や国連機構の北朝鮮内での活動に必要な送金業務だけを例外で認めた。韓国外交部は「(2005年の)バンコ・デルタ・アジア(BDA)式の金融制裁(マネーロンダリング憂慮指定)のレベルをはるかに上回る直接的で強力な打撃を与えた金融制裁措置」と評価した。しかし、北朝鮮はBDA事態後、国際金融網を活用した正常的な金融取引を回避している上、数10カ所あることが知られる北朝鮮の国外金融機関の大半が中国に集まっているばかりか、偽装の看板を掲げ送金業務などを処理するところも多く、実効性がどれほど高いか意見は分かれる。
■鉱物・兵器取引の禁輸、貨物検査・追放
北朝鮮の鉱物の輸出禁止、航空油販売・供給の禁止、北朝鮮を出入りする貨物の「義務検査」、不法行為関連の北朝鮮外交官・政府代表と第三国人の追放、軍事転用が可能なすべての物品の輸出統制(「キャッチオール」制度の強化)などは、米中合意案が最終決議にそのまま反映された。鉱物の禁輸と貨物検査も中国の履行の意志がカギとなる。民生用(livelihood purpose)の石炭、鉄(鉱石)輸出の例外的許容が、別の“穴”になることも考えられる。
■北朝鮮の国外労働者派遣と人権侵害を巡る議論
新決議は前文で「北朝鮮住民が置かれた深刻な苦難に対し深い憂慮」を表明した。安保理の北朝鮮制裁決議としては初めて、北朝鮮の人権問題を取り上げたわけだが、韓国外交部は「国際社会が北朝鮮の人権問題に対し制裁措置をとる根拠として活用される見通し」と述べた。尹炳世(ユンビョンセ)外交部長官は2日(現地時間)、スイスのジュネーブで行われた国連人権理事会で、国外派遣の北朝鮮労働者の人権侵害問題を提起したという。北朝鮮の主要外貨収入源とされる国外派遣労働者は、中国とロシアを中心に少なくとも5万人から最大20万人になるとされる。北朝鮮の労働者国外派遣遮断問題は、今回の決議の制裁対象に含まれていない。
韓国語原文入力:2016-03-03 00:25