現職の高校韓国史教師が日本軍「慰安婦」被害者の証言を基に作られた映画『鬼郷』(チョ・ジョンネ監督)の無料観覧イベントを準備した。 私費をはたいてハンギョレ読者などのために映画館を借り切ったソウル大光高校のチェ・テソン教師(46)がその主人公だ。
チェ氏は24日、「歴史の教師として慰安婦被害者にしてあげられることは、その方々を忘れずに記憶することだけと考え、一人でも多くの人が『鬼郷』を観てくれればという思いで始めた」とイベントの趣旨を説明した。 さらに「封切りを前にして『鬼郷』が上映館の確保に困っているという新聞記事を見てイベントを準備した」として「封切り(今月24日)が迫ってきて、映画に対する反応がますます熱くなるのを見て、全く余計な心配だったことが分かった」と苦笑した。 この日午前9時、映画館入場券統合コンピュータ・ネットワーク基準で『鬼郷』の前売り率は27.5%で、リアルタイム前売り率1位だ。 チェ氏は1カ月分の給料をはるかに上回る私費を投じて、26日夜のソウル江南(カンナム)のあるマルチプレックス映画館のうち5館(434席)を借り切った。 学校で慰安婦問題を教える教師として、自ら進んで決めたことだったが周囲からはこれを政治的に解釈して心配されることもあった。 チェ氏は「慰安婦問題は学校で習い、大学修学能力試験にも多く出題される私たちの歴史」として「私たちがいつからか慰安婦問題を考えることを自己検閲するようになったようで当惑した」と話した。
チェ氏は「(慰安婦問題に対する韓日両政府間の12・28合意と関連して)国家としてそれぞれに悩みがあることは分かる」として「それとは別にその方々を記憶することは私たちの当然の義務」と話した。 さらに「子供たちに日帝強制占領期間を教える上で映像資料として活用できる良い映画が作られたと感じ個人的にも感謝している」と付け加えた。 ハンギョレはチェ氏の後援によりこの日午前、SNSを通じて先着50人に2枚ずつ映画のチケットを配ると公示した。 公示を出すと午前中には締め切りになり、当選した50人のうち33人が10代後半から20代始めの1990年代生まれだった。