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中国、韓国のTHAAD配備に深い憂慮

登録:2016-02-11 08:00 修正:2016-02-11 09:10
北朝鮮のロケットは間接的脅威、THAADは直接的な脅威
朝鮮半島に配備されるTHAADレーダーの中国ICBM探知概念図。MIT大シオドア・ポストル教授、コーネル大ジョージ・ルイス主任研究員提供の資料から//ハンギョレ新聞社

中国政府、メディア、専門家
「THAADは韓国防衛の役に立たない」
「中国にとり重大な問題はTHHAD」
「北朝鮮核の対立を米中葛藤に転換」

ロシアも公式に反対表明
初めて韓国大使呼び“懸念”

 「外交部声明の語感から、中国が北朝鮮の長距離ロケット発射と韓国の高高度防衛ミサイル(THAAD)のいずれを切迫したものと感じているか読み取れるだろう」。時殷弘・中国人民大教授は10日、ハンギョレとの電話インタビューで「今の中国により重大な問題は韓国のTHAAD配備」と話した。中国外交部は7日、北朝鮮の長距離ロケット発射後に出した声明で、「中国の原則的な立場を表明した。遺憾だ」とした。しかし同日、韓国のTHAAD協議の発表には「中国の厳正な立場を表明した。深い憂慮を表する」とした。続く説明でも、ロケット発射については「関連各方(各国)の冷静で慎重な対応と対話」を求めた。一方、THAAD問題には「域内の緊張をエスカレートさせ平和安定に不利」と述べた。中国は同日、キム・ジャンス駐中韓国大使とチ・ジェリョン駐中北朝鮮大使を呼び抗議したが、北朝鮮のロケット発射より韓国のサード配備により鋭い反応を示した。

 官営メディアもTHAAD問題に注目している。新華社通信は8日、論評で「北朝鮮のミサイル発射で周辺諸国が漁夫の利を得ようとしてはならない」と韓米のTHAAD配備を念頭に指摘した。環球時報も「THAAD配備は戦略的短見」と批判した。中国は昨年初め、THAAD配備に対する批判が起きたときから「一つの国が安全を図る際は他の国の利益を毀損してはならない」との態度を明らかにしてきた。

 中国はTHAADが北朝鮮の核・ロケットよりはるかに直接的な脅威だと判断している。金景一・北京大教授は「北朝鮮の核・ロケット問題が間接的な脅威であるなら、THAADは即時的な脅威」と話した。金教授は、北朝鮮の核・ロケットは中国を狙う可能性が低いとした上で、「THAADは韓国に配備される瞬間から、米国と韓国が北京や上海をはじめとする中国の主要地域を手にとれるようになる」と話した。

 強い警戒心の根源には、米国がTHAAD問題の首謀者だという認識がある。金燦栄・人民大教授は「北朝鮮を狙っているというTHAADは、北朝鮮の対南攻撃の主力兵器である短距離の長射程砲の防御には役に立たない」、「これは韓国の利益より、米国の西太平洋地域戦略構図によって配備されるという意味だ。米国の戦略は中国封鎖だ」と述べた。中国はTHAADが配備されれば、東風シリーズなどの長距離ミサイル発射後、飛行経路が露出することも憂慮している。

 韓国国防部がTHAADレーダーの探知距離を600~800キロで運用するとしたのも、中国は疑っているようだ。検証手段がないうえ、プログラムの操作を通じすぐに探知範囲の拡大が可能と考える。

 一部では「北朝鮮の核保有や開発はすでに防ぐことができず、こうした状況では北朝鮮を敵対国にしない路線を選択しなければならない」という、いわゆる現実認定論が中国の対外政策に影響を及ぼしているという分析もされる。金景一教授は「北朝鮮の核問題はすでに米中大国間の対立に転換している。核問題だけでなく、北東アジアの秩序全体に関する両国の真摯な対話が必要だ」と話した。

 ロシアも朝鮮半島へのTHAAD配備に公式に憂慮を表明した。ロシア外務省は9日(現地時間)、「イーゴリ・モルグロフ外務次官がパク・ノビョク駐ロシア韓国大使を呼び、朝鮮半島と北東アジア情勢で面談した」、「韓米両国がTHAADの韓国配備に関する交渉を開始することを決定したというニュースに憂慮を表明した」と明らかにした。ロシアがロシア駐在の韓国大使を呼び反対の態度を伝えたのは初めてだ。ロシアはこれまで「THAAD配備は北東アジアの戦略的均衡を崩し軍備競争を招くことになる」と明らかにしてきた。

北京/ソン・ヨンチョル特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-02-10 21:59

https://www.hani.co.kr/arti/international/china/729856.html 訳Y.B

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