日本軍「慰安婦」の性格を巡り「軍人と同志的関係」 「自発的な売春婦」などと表現し物議をかもした『帝国の慰安婦』著者の朴裕河(パクユハ)世宗大教授(日本文学科)が慰安婦被害者に9千万ウォン(約880万円)の賠償金支払いを命じる判決が下された。
ソウル東部地裁民事14部(裁判長パク・チャンニョル)は13日、イ・オクソンさん(87)など日本軍慰安婦被害者9人が朴教授を相手に起こした損害賠償請求訴訟で「朴教授の著書『帝国の慰安婦』が被害者の名誉と人格権を深刻に侵害した」として「原告1人当り1000万ウォン(約98万円)ずつ合計9000万ウォンを賠償せよ」と原告の一部勝訴判決を下した。
イさんたちは2013年8月に出版された帝国の慰安婦が「慰安婦被害者を『自発的売春婦』 『日本軍協力者』などと表現し名誉を傷つけた」として、2014年6月に出版・販売禁止仮処分申請と共に1人当り3千万ウォンの損害賠償を請求する訴訟を起こした。
「自発的売春婦」などの表現が問題に
慰安婦被害者9人が訴訟提起
「被害者の名誉と人格権を侵害」判決
「歴史的人物が生存している場合
学問の自由より人格権が優先」
朴教授は控訴する意向を表明
裁判所は判決文で「朴教授の著書が、日本軍慰安婦は自発的に売春行為をしたと暗示し(これが)日本に対する愛国行為に該当するとした表現は、原告にとって否定的で衝撃的な意味であり(原告)の名誉と人格権を深刻に侵害する」と明らかにした。 また、裁判所は「日本軍慰安婦が自発的売春行為をしたとか、日本に対する愛国行為をしたという事実を裏付ける十分な資料が提示されたとは見難い」と付け加えた。 事件を引き受けたナヌムの家のパク・ソンア顧問弁護士は「今回の判決は司法が事実審で『慰安婦』ハルモニ(お婆さん)の被害者性を詳細に分析し、それを事実として認めた初の事例という点で意味が大きい」と話した。
イさんたちは民事訴訟とは別に朴教授を出版物による名誉毀損の疑いで告訴しており、検察は昨年11月、朴教授を在宅起訴した。 検察の起訴に対して先月、小説家のチャン・ジョンイル氏、キム・チョル延世大教授、クム・デソプ弁護士など韓国の知識人約190人が「学問と表現の自由が萎縮することを憂慮する」と反対声明を出すなど問題になった。
裁判所はこうした議論を意識したように「歴史的人物が生存している場合には、人格権に対する保護が学問の自由に対する保護より相対的に重視される。 著者が大学教授なので読者が信頼する可能性が高いため、一般的な学問研究結果よりさらに大きな責任と慎重さが要求される」と明らかにした。
ナヌムの家のアン・シングォン所長は「被害者たちは当然に出てくるべき結果だとして満足した。 被害者たちは朴教授が今からでも被害者に謝罪して本を回収すれば、許して刑事告訴を取り下げる用意がある」と被害者たちの反応を伝えた。 朴裕河教授はハンギョレに「本の内容は全体的に日本を批判する内容であり、国家と一部運動団体の人質になった被害者ハルモニのために書いた本だ。一部だけを抜き出して問題にしてはならない」として控訴する意向を明らかにした。