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建国大の肺炎感染、原因も対応も謎だらけ

登録:2015-11-03 00:31 修正:2015-11-03 06:30
患者50人…モニタリングは1600人を超える
28日午前ソウル広津区の建国大ソウルキャンパス内の動物生命科学学部で原因不明の疾病が発生し建物が閉鎖された。 写真は29日午後閉鎖された建物前をマスクを着けて通り過ぎる学生=連合ニュース

 先月28日午前10時20分、ソウル広津(クァンジン)区の建国(コングク)大学ソウルキャンパス内の動物生命科学館に案内放送が流れた。「原因不明の感染病のために建物を閉鎖する」という内容だった。 授業中だった教授と学生はあたふたと荷物をまとめて建物から出た。 建物は午前11時から閉鎖が予定されていたが、全員が建物から抜け出したのは昼の12時頃だった。

疾病管理本部「伝染性はなさそうだ」
実験室の環境的要因と推定
建国大、集団感染を27日に初めて認知
「建物閉鎖」緊急決定したが
学長の決裁を待ち翌日に閉鎖
28日には疫学調査を開始せずに
現場保存をせずに建物全体を消毒

 韓国政府保健福祉部傘下の疾病管理本部は2日、政府ソウル庁舎でブリーフィングを開き、建国大で発生した肺炎など呼吸器疾患の原因はまだ分かっていないと明らかにした。 細菌7種、ウイルス9種に対する遺伝子検査を実施したが、特異な所見は発見されず現時点では伝染性がないものと見て、実験室の環境的要因によって発病したものと推定している。 原因不詳の肺炎など呼吸器疾患患者数はこの日5人追加され計50人になり、さらなる拡散を予防するため、大学の学生と教職員、合計1664人をモニタリング対象として管理していると疾病管理本部は付け加えた。

■学長決裁のため遅れた閉鎖

 建国大が集団感染事態を初めて認知したと明らかにしたのは先月27日。建国大生物安全委員会はこの日午後5時、緊急会議を開いて“建物閉鎖”を決めた。 だが、実際に建物閉鎖が完了したのは翌日の昼12時頃だった。 専門家は「常識的には建物閉鎖を決めたなら、その時点から人々が建物に入らないようにすることが正しい。 午前11時になってあたふたと待避させたとは理解に苦しむ」と話す。 生命安全管理責任者であるチャン・ウォンジョン教授(医学専門大学院)はこれについて「生物安全委員会には決定権がない」という理由を挙げた。 建物を閉鎖するには学長の裁可が必要で「建物閉鎖決定の会議が午後6時に終わり翌朝に決裁されるまで待った」と説明した。

■疫学調査を控えてなぜ消毒?

 建国大は先月28日午前5~8時に専門消毒業者を呼び、動物生命科学学部の建物全体を消毒した。 原因が不明である上、疾病管理本部の疫学調査も始まっていない状況で消毒をしたことも理解し難いと指摘される。 イ・ジェガプ翰林(ハンリム)大医大感染内科教授は「犯罪でも現場を保存するように、原則に従えば(感染)現場を保存して可検物の採取など基礎的な調査をした後に消毒しなければならなかった」と話した。 これに対して建国大関係者は「生物安全委員会の議論結果にもかかわらず、学校では当初は建物閉鎖を念頭に置かなかったようだ」と話した。

■建国大、知っていながら隠した?

 建国大がこの日疾病管理本部に提出した報告書によれば、最初に発病が疑われる患者が仁川聖母病院に入院したのは先月の24日のことだ。 26日には別の学生が建国大病院を訪れ診療を受け、27日になって訪問診療患者は6人に急増した。

 だが、建国大病院関係者がハンギョレに明らかにした内容はこれとは多少差がある。 肺炎症状を示す学生が建国大病院の応急室を通じて神経内科に初めて入院したのは先月の24日で、25日と26日にそれぞれ1人、2人が肺炎の症状で呼吸器内科に入院した。 建国大はこれについて「学生1、2人が入院しただけでは深刻性を認知できない」と説明した。 だが、一部の学生たちが先月26日に学校から病院に行き検査を受けるよう通知を受けたと明らかにするなど、大学側の説明と食い違う説明がされている。

 大学側が早い段階で状況を把握しておきながら隠していたのではないかという疑惑が提起されている。 一部では発病を疑われる患者が4人まで増えた先月26日、キム・ギョンヒ建国大理事長が大学の財産を流用した容疑などで裁判を受ける日だったという点に注目している。 大学側のある関係者は「(キム理事長が裁判を受けるという)敏感な時期にマスコミに(大学の)名前が出ることを負担に感じたのではないか」と話した。

ホ・スン、キム・ヤンジュン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/715608.html 韓国語原文入力:2015-11-02 20:41
訳J.S(2006字)