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「朴正煕はもっと早く殺すべきだった」と歪曲報道されたハン・ホング教授が反論

登録:2015-10-16 15:19 修正:2015-10-16 16:25
「総合編成チャンネルが事実確認もせずに悪意的歪曲」 無責任な報道には法的対応を取る
ハン・ホング聖公会大教養学部教授=資料写真//ハンギョレ新聞社

 朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領と朴槿恵(パク・クネ)大統領を呪うような発言が含まれた映像が、高校の授業時間に堂々と上映されたという報道が総合編成チャンネルを中心に相次いでいる。ソウル・江南(カンナム)区のある高校の先生がハン・ホング聖公会大教養学部教授(56)の講演映像を教室で上映したのだが、あたかもハン教授が「朴正煕元大統領を早く殺すべだあった」と呪ったかのように報道された。 国定教科書論議に対する保守メディアの反撃だ。

 これに対して映像の主人公であるハン教授が「このような報道内容は歪曲」と強く反論した。 ハン教授は「『TV朝鮮』をはじめ数10件に及ぶ報道は、事実確認もせずに悪意的に歪曲されたもの」とし、「(報道を)無責任に転載することに対しては法的に対応する」と明らかにした。 彼は本人の実際の発言をありのままに紹介し、大多数のマスコミの誤りを指摘した。 ハンギョレはハン教授が立場を表明した文の全文を以下に載せる。

■最近の歪曲報道に対するハン・ホングの立場

 2015年10月13日夜、TV朝鮮は「江南の高校で『朴正煕をもっと早く殺すべきだった』授業…生徒が反発」というタイトルの“独占報道”をしました。この報道を皮切りに10月14日は終日、そして今日10月15日朝までに数十件の報道が相次ぎました。

 連合ニュースは10月14日午前0時19分に送稿された記事で、本文では動画を確認し私がした話を比較的正確に引用しているにも関わらず、副題には「映像に『朴正煕もっと早く殺すべきだった』」と私がしてもいない話を悪意的に付けました。 10月14日午後(入力:2015-10-14 13:28)に放映された『韓国経済TV』の「ハン・ホング『李承晩(イ・スンマン)はセウォル号パク・ジュンソク船長と同じ』動画を見たら驚愕」として、私の講演動画を見て報じたが、ここでも「特に朴槿恵大統領が生まれる前に朴正煕元大統領を『殺害すべきだった』という極端な発言までが生徒たちにそのまま伝えられた」と報道しました。

 2014年11月28日、文化多様性フォーラムの招請講演で私がした該当部分の実際の発言は次のとおりです。

 「あいつ(キム・チャンニョン)は本当に多くの人を殺しました。ところで、その時殺してもかまわない人を一人助けました。 南労党が韓国軍部に浸透させた最高位の偽装活動家だったので、その当時の基準では殺すにしても何度も殺さなければならない罪だったのに、そいつを満州で一緒に遊んだ奴だからと。 そいつが捕えられると『キム・チャンニョンに会わせてほしい』『キム兄さん、私を助けて下さい』と言いました。すると、ちゃんと助けました。 その時しっかり殺してしまっていたら我が国の歴史も少しは変わったでしょう。大統領が二桁は変わっているでしょう。朴正煕だから。朴正煕をその時殺してしまっていたら大統領にはなれません。うちの姉がまだ生まれる前の事です。生まれてもいないのに助けてあげました。 今日の朴槿恵がいるようにした、こうした人々の恩恵があるんです」

 南労党が韓国軍部に浸透させた最高位偽装活動家であった朴正煕が、1948年麗水(ヨス)順天(スンチョン)反乱事件以後に繰り広げられた粛軍事業で逮捕され、死の危機に置かれたというのはすでに広く知られ確認された歴史的事実です。 麗水順天反乱事件の関連者が数十人ずつ大量銃殺された時期であり、朴正煕クラスならば生き残れない筈ですね。 しかし朴正煕は生き残ることができました。

 もしこの時、粛軍責任者キム・チャンニョンが朴正煕の愁訴や朴正煕の満州軍における先輩であるウォン・ヨンドク、ペク・ソンヨプ、チョン・イルグォンらの救命要求を受け入れなかったとすれば、朴正煕は大統領にはなれなかっただろうし、朴槿恵は生まれることもなかった筈だということを想起させただけです。 この話がどうして朴正煕を殺すべきだったと聞こえるのか理解できません。 学校で動画を観た幼い高校生がそんな風に誤解したとしても、記者ならば当然に動画を観て実際の発言内容を確認しなければならないのではないでしょうか?

 この問題を最初に報道したTV朝鮮は「イシューターミネーター ・パク隊長」という番組で「金の匙(を咥えた)左派、ハン・ホングの精神世界」という17分31秒の長い特集を放送しました(登録2015.10.14 19:25)。この番組で進行者は、私が「朴正煕が早く死ぬべきだった」と話し始め、『月刊朝鮮』の記者クォン・セジンは、私の講演内容について李承晩(イ・スンマン)をセウォル号船長に例えて「金日成がどれほど立派な独立活動家だったか、このような内容が中心になっている」と発言しました。

 しかし、二時間の動画の中心どころかどこにも金日成の独立運動に対する言及さえありません。 また弁護士のチョン・テウォンは、「私の母方の祖父を取り上げて『ユ・ジンオ博士は私たちの理解によれば大韓民国憲法の父」と言って「今日の我が大韓民国憲法を否認するならば、母方の祖父を否認」することだと話しました。

 しかし、問題のキム・チャンニョン関連発言以後、約15分後に私は制憲憲法に対して長く説明したことが『ファクトTV』の動画に出ています。 動画は1部と2部に編集する過程で私の発言が編集されましたが、残っている分量だけでも15分、切られた分量を合わせれば約25分間にわたり制憲憲法の意味と内容について詳細に説明しました。 大韓民国の国家アイデンティティを反映する制憲憲法の内容を国民が忘れていることが残念で、講演全体の4分の1近くを割いて紹介しました。

 私は大韓民国憲法を否認しません。 それどころか大韓民国憲法を破壊し蹂躪した者の行為を歴史に残すために、最近「反憲法行為者列伝」の編纂事業を始めるのに微力を尽くしています。 私は約1年前にした講演が今になって新たに問題になるのは、多数の国民とほとんど全ての歴史学者が反対している歴史教科書国定化問題をごまかすための手段だと考えます。

 記者の皆さんにお願いします。 記者ならば事実確認という基本を守ってください。 してもいない話で人格殺人する行為を中断し、歪曲報道に対する謝罪と訂正を強く促します。 11カ月前の講演を今になって事実確認もせずに悪意的に歪曲報道し、無責任に転載したことに対しては法的に対応するでしょう。

2015年10月15日 ハン・ホング

ノ・ヒョンウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/713130.html 韓国語原文入力:2015-10-15 23:11
訳J.S(2903字)