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F-35A導入決定後に大統領府が“再検討”を指摘

 昨年5月のKFX諮問会議で
 米技術移転不可など幅広く議論
米国テキサス州のフォートワースにあるロッキードマーティンの工場で製作されたばかりのF-35Aが試験飛行をしている。防衛事業庁と空軍は昨年9月、米国の技術移転が事実上困難なのを知りながら40機の購入契約を締結した=聯合ニュース

 昨年5月10日のチュ・チョルギ大統領府外交安保首席主宰で開かれた韓国型戦闘機事業(KF-Xポラメ<鷹>事業)対策会議は、大統領府が当初からこの事業に関心を持って推進状況を指揮していたことを伺わせる。「チュ・チョルギ責任論」が提起される主要な根拠になる会議だ。

 この日の会議は、当時のキム・グァンジン国防部長官が昨年3月に防衛事業推進委員会を主宰し、次期戦闘機(F-X)で米国のロッキードマーティン社のF-35Aを40機購入することを決めて2カ月後に開かれた。当時の事情をよく知る人物の話では、ソウルのホテルで開かれた会議はチュ首席が直接主宰し、空軍と防衛事業庁(防事庁)関係者、民間専門家、マスコミ関係者などが参加したという。

 この日の会議では、次期戦闘機事業者に選ばれたロッキードマーティンの主要技術移転問題を巡り、参加者の間で「難しい」とする意見と「大きな問題はない」とする意見に割れたと伝えられた。否定的見解を示した側は「能動電子注射式地位配列(AESA)レーダー、赤外線探索追跡装備(IRST)、電子光学標的追跡装備(EOTGP)など主要な技術は米国政府の輸出承認(EL)不許可品目」と指摘した。実際、これら装備のシステム統合技術4件は、今回米国政府の輸出承認を得れず技術移転が不可能であるのが明らかになった。また「米国政府の技術保護政策の変化は期待しにくいばかりか、次期戦闘機事業は随意契約で転換され韓国の交渉力が喪失された」と指摘し、「ロッキードマーティンとの交渉力を向上するため『次期戦闘機事業を原点に戻す』という背水の陣も必要だ」とまで語られていたと伝えられた。

 事業推進力を高めるため大統領府が直接、韓国型戦闘機事業を指揮すべきだとする意見も提示された。大統領府は同事業を未来国家戦略事業に指定し、主な関係機関の利害関係を調整しなければ事業は効率的に運用できないということだ。しかし、こうした提案は受け入れられなかった。この日の会議は諮問会議の性格なので、結論はなにも出されなかったという。とはいえチュ首席がこうした会議を主宰したのは、それだけ大統領府の事業への関心が高く、直接関わってきたことを示す事例と解釈される。

 防事庁は同会議で警告が出されていたにもかかわらず、4カ月後にロッキードマーティンと折衝交易合意覚書を締結した。25項目を技術移転するものの、レーダーシステム統合技術など4件は米国政府の輸出承認を前提に技術移転をするという内容だった。結局、防事庁は今年4月、ロッキードマーティンから「米国政府が問題の4件に対し輸出承認を認めなかった」という内容の書簡を受けとる。

 政府は遅れて米国に協力を要請した。7月、米国政府と韓国型戦闘機技術移転協力会議を開き、8月には国防部長官と空軍参謀総長名義の協力要請書簡を米国に送った。しかし米国が決定を覆す可能性は少ない。

パク・ビョンス先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-10-07 01:23

https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/711772.html 訳Y.B

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