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[寄稿]F-35A導入で創設以来最大の危機に直面する韓国空軍(上)

登録:2015-10-03 12:07 修正:2015-10-05 07:17
韓国型戦闘機開発事業「KF-X」破綻の内幕
米国テキサス州のフォートワースにあるロッキードマーティンの工場で製作されたばかりのF-35Aが試験飛行をしている。防衛事業庁と空軍は昨年9月、米国の技術移転が事実上困難なのを知りながら40機の購入契約を締結した=聯合ニュース

 ブルネイで開かれた第2回アセアン拡大国防長官会議(ADMM+)に出席中のキム・グァンジン国防長官がチャック・ヘーゲル米国防長官と会ったのは2013年8月28日のことだった。マスコミはこの日の会談について、両国国防長官が戦時作戦権移管時期の再延期問題を議論したものの一部で異見があったと報じた。しかし、この日の会議には知らされなかった事実がある。予定された日程を1日操り上げ29日に帰国したキム長官は、事前に各軍参謀総長とイ・ヨンデ国防部戦力資源管理室長を招集してあった。日程を操り上げ総長らと協議する事案があり、そこへ戦力資源管理室長が同席したとなると、明らかに防衛事業推進委員会(防推委)の案件との関連が察せられる出来事だった。ちょうど米国ボーイング社のF-15SEが次期戦闘機(FX)事業の価格入札に単独で通過し、有力候補機種として事実上固まろうとしていた時期だった。

■ 予想だにしない驚くべき反転

 キム長官がチャック・ヘーゲル長官に会ったその日、歴代空軍総長の15人はこれに反対し、「選定作業を再び始めるべきだ」との趣旨の建議文を大統領府に出した。歴代総長からは「事業費を8兆3000億ウォン(約8300億円)に制限せず10兆ウォン(約1兆円)以上に増額できる道を開くべきだ」という主張までされた。これに大統領国家安保諮問団所属の予備役将軍まで加勢し、F-15SEに対する全方位的な揺さぶりをかけると、朴槿恵(パク・クネ)大統領は「政府がすることになぜ歴代空軍総長まで名乗り出て批判するのだ」と不快感を露わにする。十分な予算のない朴槿恵政権は、8兆3000億ウォンの事業費を超える戦闘機に対し「絶対受け入れられない」と背水の陣を敷いて事業を推進してきたため、入札結果が覆る可能性はほとんどなかった。

 9月になると雰囲気は一層悪くなる。8月に米国防長官が直接キム長官を圧迫しだし、ウィリアム・コーエン元国防長官がロッキードマーティンの顧問社の代表として戦闘機販売に介入する兆しが見えた。そこへカート・キャンベル元国務省次官補まで加勢し、戦闘機事業は濃い霧の中に入り込む。なによりキム長官が何も決断を下せない姿を露呈させてしまう。9月13日に朴大統領は防衛事業庁(防事庁)の業務報告を受け、同席したキム長官に「(次期戦闘機は)国家安保を総合的に考慮して防衛事業推進委員会で決めるように」と命じた。大統領府は予算だけ握り、機種決定にこれ以上関与しないので、決定はキム長官の判断に任せるという意味に捉えられた。

 9月15日からはイ・ヨンデ戦力資源管理室長が各軍総長をはじめとした防推委委員らと個別的な接触を持つ情況も相次いで明らかになり始めた。次期戦闘機の最終機種決定の前日となる9月23日夕、ソウル・南山のハイアットホテル1階のバーでは、米ボーイング社の本社と韓国支社の関係者ら5、6人ほどが酒席を設けた。翌日に予定される国防部長官主催の防推委が、自社のF-15SEに機種決定することは確実視されていた。過去2年間の戦闘機競争で最終的な勝利者になったボーイングは、最後の最終宣言式だけを残すことになり、それまでの努力を互いに労った。彼らは翌日に起きる予想もしない反転に気づかぬまま甘いワインの香りに酔っていた。

キム・ジョンデ軍事専門誌「ディフェンス21プラス」編集長(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-10-02 21:56

https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/711189.html 訳Y.B