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英国労働党、自党路線に反対してきた“万年アウトサイダー”が代表に

登録:2015-09-14 23:47 修正:2015-09-15 06:32
12日、英国ロンドンで労働党の新しい代表に選出されたジェレミー・コービン氏が支持者に手を振っている=ロンドン/AP連合ニュース

“エンジニアの息子”ジェレミー・コービン当選
60%得票、有力候補のバンハムは19%
1983年下院初当選 8選、万年反主流
緊縮反対・鉄道など再国有化を主張
2013年「反緊縮民衆会議」を組織
草の根運動で代表選挙に勝利
党役員辞退など党内反発も

 英国の野党、労働党が強硬左派議員ジェレミー・コービン氏(66)を党代表に選出したことから、英国政界に衝撃が走っている。

 12日に発表された党代表選挙でコービン議員は59.5%を得票し、相手候補を圧倒して党代表に選出された。 党内の万年アウトサイダーであったコービン氏は、緊縮反対、鉄道の再公営化などを主張して、今回の選挙で突風を起こした。 彼の登場はトニー・ブレア元首相以後に中道路線に転換した労働党と、社会福祉の縮小などを推進する現保守党政権に対する大きな挑戦になっている。

■マイカーも持たない万年アウトサイダー

 イングランド中部のウィルトシャーでエンジニアの父親と数学教師の母親との間に生まれたコービン氏は、高等学校を卒業してジャマイカで奉仕活動をした後、ロンドンに戻って労働党との縁を結び始めた。 彼は全国公務員労組と織物労働者労組で常勤職、ロンドン地方議員として仕事をした後、1983年に下院議員に初当選した。その後8選し32年間にわたり労働党内の代表的反主流、強硬左派議員として位置を占めた。1980年代マーガレット・サッチャー保守党政権以後もともすれば右傾化する労働党の主流路線に対抗し、院内投票で500回も党の路線に反する投票をした。 彼の質素なことは英国議会でも有名だ。 歩いたり自転車に乗って出勤する彼は、自動車を所有したことがない。

■左派の浮上とコービンの突風

 3カ月前、コービンの党代表選出はおろか党代表選出馬さえも予想する人はいなかった。 だが、今年5月の総選挙で労働党が予想外の惨敗を喫し、保守党に単独過半数を許した党内外の状況は、左派の浮上と彼の突風を準備した。 2008年の金融危機を体験し、労働党外の進歩的草の根運動が活性化し、エド・ミリバンド前代表下の労働党もこれを吸収しようと党改革を断行した。

 労組、共産党、コービン議員らが後援して、2013年に発足した反緊縮民衆会議は英国全域での行進や集会で多くの群衆を集めた。 コービンはこのような草の根運動と集会を通して党内外の進歩勢力の関心を自身に集中させた。 今回の選挙に参加した投票者の70%は、2010年以後に労働党に加入した人々だ。 労働党はこのような新興草の根進歩運動力量を吸収するため、2014年に党代表選挙改革を断行した。 労組の影響力を縮小する意図もあった。 3ポンドを納めれば党代表選挙に参加できる権利を与えた。 保守党員の逆選択のおそれも憂慮されたが、約20万人が今回の党代表選挙にこのような方式で参加した。 コービンはこの制度を積極的に活用して、自分たちの支持者を今回の党大会に参加させた。

 だが、コービンは党代表選挙への参加がほとんど不可能だった。 党代表選挙登録に必要な最低35人の議員支持を万年アウトサイダーである彼は確保できなかった。 候補届出締切の直前、選挙で「討論の幅を広げる」必要性を感じた議員20人が彼を支持はしないものの彼の候補登録議員になった。党代表の競選が始まり数週後、これらの登録議員は驚いた。コービンが反緊縮、英国核兵器撤廃などの反転メッセージで圧倒的に先頭に立ったためだ。 投票の結果、当初有力候補であったアンディ・バンハムは19%、イベット・クーパーは17%、トニー・ブレアの後継者を自認するリッツ・ケンダルは4%に留まった。

■党革新か分裂か

 彼を支持した議員は232人中の15人に過ぎないという事実は、党主流既成勢力と彼を支持した草の根勢力との断絶を示す。当選演説でコービンは「私たちは不公平ではいけない、社会は公正になり、全ては変わることができるし、また変わるだろう」と労働党の“反撃”を唱えた。 その一方で、彼は党の団結に尽くすと約束した。

 彼の当選直後、労働党の予備内閣の議員と党役員が直ちに辞退するなど、労働党は荒波に揉まれた。「戦後労働党史上、最もまぬけな選択」という驚きの声が溢れ、トニー・ブレア路線を受け継いだ党現代化論者は「私たちはこのような映画を前にも見たし、どのように終わるのかを知っている」という反応を示したと英紙フィナンシャルタイムズは伝えた。 1980年代サッチャー政権の執権以後、左派路線を堅持して没落した党の歴史を想起させたのだ。 だが、彼が圧倒的票差で党代表に当選した以上、彼を支えて党戦列を整備しなければならないという声が高まっている。 ミリバンド前代表は、コービン指導部を助けると明らかにした。 フィナンシャルタイムズとインタビューした党重鎮も、彼の圧倒的当選を勘案すれば中期的に彼の指導力が定着するだろうと見通した。

 保守党内でも憂慮と警戒の声が入り交じっている。デビッド・キャメロン首相はコービンの当選が労働党の自己破壊的談論の二番煎じと信じるとし、保守党所属議員に彼の当選を深刻に受け止めるなと指示したとファイナンシャルタイムズが報道した。 だが、保守党次期代表として有力なジョージ・オズボーン議員は、コービンの労働党に対抗して保守党を真の“働く人々の党”として中道路線を定着させなければならないと話した。

チョン・ウイギル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/europe/708681.html 韓国語原文入力:2015-09-14 13:57
訳J.S(2455字)