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韓国最高裁、ストライキで営業損失なければ労組員の賠償責任なし

登録:2015-09-03 22:54 修正:2015-09-04 22:18
2011年8月16日、大邱地方雇用労働庁前でサンシンブレーキ解雇労働者2人が、会社が彼らを相手に10億ウォンの損害賠償請求訴訟を起こしたのに抗議し、中央労働委員会が決めた通り復職させることを求め剃髪している//ハンギョレ新聞社

サンシンブレーキの10億ウォン損賠訴訟を棄却
「代替人力投入…費用も少ない」
市民団体「労組弾圧に悪用、制度を変えるべき」

 大法院(最高裁)1部(主審 イ・インボク大法院判事)は、自動車部品会社サンシンブレーキがストライキを主導した労組員5人を相手に「ストライキによる損害10億ウォン(約1億円)を賠償せよ」として提起した訴訟で、会社の請求を棄却した原審を確定したと1日明らかにした。

 全国金属労組は2010年2月、労組専従者の数と処遇を既存水準どおりに維持することを求めて会社に特別団体協約を要求したが断られた。 以後、大邱(テグ)支部は賛否投票を経て同年6月、争議行為を決意し、サンシンブレーキ支会は6月25日~7月27日にストライキを行なった。 イ・ドク支会長など労組幹部は、工場増設などの問題を労組と合議しようという要求を会社が拒否すると、7月末から約3週間の2次ストライキも行なった。

 会社はスト期間には代替人力を投入し、二カ月程の職場閉鎖期間には労組員の工場占拠を阻むためにガードマンを雇った。 会社はその後、イ支会長などを相手に営業損失、代替人力投入費、ガードマン雇用費などの名目で10億ウォン(約1億円)の損害賠償を請求した。

 大法院は「会社は争議行為期間に事務職と日雇い労働者を代替投入し、生産量と販売量の減少はなく、代替投入費用もスト参加者に対する未払い賃金より少なかったので、実際の営業損失は被っていない」として、労組幹部には損害賠償責任がないと判断した。 ただし、ストにより会社の名誉と信用が毀損された点に対して慰謝料500万ウォン(約50万円)を支払えと判決した。

 市民団体「手に手を取って」(訳注:正式名称は「損賠仮差押を捕まえよう!手に手を取って」)は声明を出して「大法院判決により、会社が実際の損失がないにも拘らず上告を繰り返して労組を弾圧して来たことが明らかになった。労組弾圧の道具として悪用される損害賠償及び仮差押制度を改善するために、労働組合及び労働関係調整法が早急に改正されねばならない」と明らかにした。

 これまで労組が団体行動を行えば、会社は損害賠償請求訴訟を起こして労組を圧迫するケースが多く、労働基本権が毀損されているという批判が多かった。 新政治民主連合のウン・スミ議員は今年4月、損害賠償責任が免除される要件として、団体交渉及び争議行為に加えて労組活動まで含む労組法改正案(別名「黄色い封筒法」)(訳注:2014年双龍自動車の労働者に対する47億ウォンの損害賠償金が社会的問題になり、ある市民が47000ウォンを黄色い封筒に入れて送ってきたのが反響を呼んで始まった47000ウォンずつの募金運動にちなんで「黄色い封筒法」と呼ばれる)を発議した。

イ・ギョンミ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/706958.html 韓国語原文入力:2015-09-01 21:40
訳A.K(1300字)

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