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まるで宗教団体のような国家情報院…ハッキング資料提出せず「すべて信じてくれ」

登録:2015-07-27 23:24 修正:2015-07-28 06:53
 野党議員が伝える懸案報告がされた国会情報委員会の雰囲気
 イ・ビョンホ国家情報院長「職をかけて不法査察なかった」と言うだけ
 削除データ51件のリストのみ公開...国内実験用31件含め
 「海外だけで使用」とした釈明と異なる
イ・ビョンホ国家情報院長が27日午後、国会情報委員会全体会議に出席して、国家情報院によるハッキングプログラムの購入と、国内の民間人査察疑惑をめぐる議論に対する懸案報告資料を見ている=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 今月18日、自ら命を絶った国家情報院職員イム氏(45)が削除した国家情報院ハッキング資料は、対北朝鮮・テロ対策のために実施した10件と国内実験用31件、そして工作中に失敗した10件など、合わせて51件だったと国家情報院が27日、国会情報委員会の懸案報告で明らかにした。このうち、実験用の31件は国内を対象としたもので、ハッキングソフトウェアは海外でのみ使用されたというイ・ビョンホ国家情報院長の説明とも食い違っており、実験用なのにイム氏が削除した理由などに対する疑惑が持ち上がっている。また、対北朝鮮・テロ対策用10件と失敗した10件についても、なぜ削除したのか、対象は誰なのか、疑惑は膨らむ状況にある。国家情報院は51件の具体的な対象は明らかにしなかった。

 セヌリ党のイ・チョルウ情報委員会与党幹事は同日、情報委員会全体会議中に退席し、「死亡したイム氏が削除した資料は51件だが、対北朝鮮・テロ対策用が10件と(ハッキングプログラムを)植え付けたが失敗したのが10件、国内実験用が31件だった」と明らかにした。国家情報院は、回復した資料のリストのみを与野党の情報委員会に公開したことが分かった。野党情報委員は「国家情報院は51件の資料リストだけを見せたが、名前や内容が明記されておらず、具体的にどんなデータなのか把握できなかった」と伝えた。

 与野党の合意で、国家情報院がイタリアの会社から購入したハッキングプログラムのRCSを通じた国内民間人査察(監視)疑惑の真相を究明するため、同日開かれた情報委員会で、イ・ビョンホ国家情報院長は野党が提出を求めた36件の資料はもちろん、疑惑を解消する根拠も明らかにせず、「職をかけて不法査察した事実はない」と訴えたと、参加した情報委員は伝えた。イ・ビョンホ国家情報院長はまた、RCSを通じた「カカオトークの盗聴や傍受は不可能だ」と発言したと伝えられた。野党のある情報委員は「(国家情報院長が)『国内査察はなかった』『カカオトーク盗聴は不可能だ』としながら(証拠は出さずに)すべて信じてくれ言っている。教会みたいな雰囲気だ」と首を傾げた。

 シン・ギョンミン情報委員会野党幹事(新政治民主連合)は、「私たちは36件の資料を要求したのに、(資料の提出条件が)『該当無』という数件の回答のほか、提出された資料はなかった」とし「23日、与野党の院内代表が真相究明のために合意した内容を国家情報院が守らなかった」と批判した。野党が要求したログ記録(使用記録)もまた国家情報院は、「提出不可」を貫いており、国家情報院の現場調査で説明するという立場を固守したことが分かった。

 これに対し、安哲秀(アン・チョルス)新政治民主連合議員は記者懇談会を開き、ログファイルの資料の提出▽ログファイル分析のための5人以上の専門家の調査への参加と、国会内における調査スペースの設置▽ファイルの分析に必要な少なくとも1カ月の期間の確保の三つの条件が満たされる場合は、情報委員として参加する意向を表明し、必要ならばアンラボの保有株式を白紙信託するという立場を明らかにした。

 一方、チェ・ヤンヒ未来創造科学部長官は同日、国会未来創造科学放送通信委員会の全体会議に出席し、国家情報院がRCSを導入する際、通信秘密保護法(通秘法)上必要とされる未来部の事前認可を受けていないことが違法ではないかという野党議員の指摘に対し、「傍受設備に該当しないという意見が優勢だ」とし、「ソフトウェアで傍受設備の認可を申請した事例がない」として、違法ではないと答えた。

 これに対して専門家たちは、異なる見解を明らかにした。ハッキングプログラムをコンピュータなどの装置にインストールすると傍受が可能な物理的な装置になるため、ソフトウェアも傍受の設備として制限を受けなければならないということだ。イム・ガンビン順天郷大学教授(情報保護学科)は、「一般的なコンピュータは傍受設備ではないが、傍受プログラムをインストールすると傍受設備になるだけに、ソフトウェアもインターフェースによって傍受設備となり得る」とし、「ソフトウェアが物理的な装置ではないといって、傍受設備に該当しないという主張は理解できない」と指摘した。カン・シンミョン警察庁長官も14日、記者懇談会で「裁判所の令状を発行してもらって行う一般的な傍受とハッキングプログラムは最初から概念が違う」とし「もし国家機関がそのような装置を使用した場合は、明らかに実定法に違反するもの」だと述べた。

イ・スンジュン、キム・ギョンウク記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015-07-27 19:59

https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/701989.html  訳H.J

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