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信念に基づく兵役拒否を忌避者と同一処罰…法曹界でも「憲法の精神に反す」

登録:2015-07-13 09:15 修正:2015-07-14 16:50
八つの裁判所で違憲法律審判請求
最近10年間の兵役拒否者数//ハンギョレ新聞社

「代替服務など規定なく」
「憲法裁は果敢に違憲宣言すべき」
兵役法88条で3度目の審判

 「教えと良心に従って軍隊に行くことができず(有罪を宣告する)裁判所を恨まないとまで言うのだから、内心ではこうした人たちを監獄に入れるべきなのか悩む」

 刑事裁判所での勤務経験がある判事の言葉だ。良心的兵役拒否者を処罰するのは裁判官の良心に反するが、現実的に有罪を宣告するほかない苦しさを吐露したものだ。結局ほとんどの判事が良心的兵役拒否者に、再入営対象にならない最も低い処罰となる懲役1年6カ月の規定通りの判決を下している。

 より積極的な判事は、良心的兵役拒否者を処罰する兵役法第88条に違憲の余地があるとして、憲法裁判所に違憲法律審判を推薦している。2007~2013年に八つの裁判所が憲法裁判所に出した推薦文を読むと、信念に基づく兵役拒否者を一般兵役忌避者と同一に処罰するのは憲法精神に反するという点を最初に指摘している。

 2010年に大邱(テグ)地裁金泉(キムチョン)支院のチャン・スンヒョク判事は違憲審判推薦文で、「良心的兵役拒否者はずっと懲役刑の処罰を受けてきたが、良心的兵役拒否は今も続いている」と指摘し、「犯罪予防という刑罰の目的から見る時(彼らの処罰を)正当化することはできない」とした。 2013年のソウル北部地裁カン・ヨンフン判事も推薦文で「兵務当局が良心的兵役拒否者と一般兵役忌避者を選別するのが容易でないという理由から、不利益を良心的兵役拒否者に課すことはできない。彼らを処罰して得る国家的利益より、刑事処罰で彼らの基本権が侵害される状況がより深刻だ」と明らかにした。

 このような違憲的状況を放置している政府や国会の問題点も指摘されている。2009年に大田(テジョン)地裁天安(チョナン)支院のパク・ミンジョン判事は「立法者が良心的兵役拒否者などに対し、最小限のいかなる考慮を残した痕跡も探すことはできず、非戦闘要員服務や代替服務に関し、何の規定を設けぬまま刑事処罰だけしているが、これは立法目的を達成するために必要な措置の範囲を越える過度な制限」と指摘した。2007年に蔚山(ウルサン)地裁のソン・スンヨン判事も「2004年の憲法裁判所違憲決定後2年7カ月が過ぎた現在まで、多数意見の勧告といった立法的補完努力の成果物が事実上ない」とし「(憲法裁判所は)果敢に違憲宣言をしなければならないだろう」と述べた。

 5月、光州(クァンジュ)地裁刑事5単独チェ・チャンソク部長判事は、良心的兵役拒否者のキム氏(21)に無罪を宣告し、「代替服務制のように、国防義務の本質と兵役法の立法目的を傷つけずとも比較的容易に良心の自由を保障できる方法がある限り、良心的兵役拒否は兵役法で規定した『正当な理由』と解釈するのは当然だ」として大法院(最高裁)判例に正面から対抗することもした。

 結局、関心は“刀の柄”を握った憲法裁判所に集まることになるが、李明博(イ・ミョンバク)・朴槿恵(パク・クネ)政権を通してより一層保守化された憲法裁判所に、前向きな結論を期待するのは難しそうだ。憲法裁判所は2004年と2011年に兵役法第88条を合憲と決めたことがある。

 ソウル大法学専門大学院のハン・インソプ教授は9日の公開弁論で「国連自由権規約委員会が良心的兵役拒否を認める勧告決定を出し続けているのに、国会と政府は動かずにいる。長期的人権侵害が累積した状況で憲法裁判所が断固たる決定をしなければならない」と話した。

イ・ギョンミ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-07-12

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/699935.html 訳Y.B

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