空軍戦闘機の作戦半径を画期的に広げる多目的空中給油機に、ヨーロッパ機種のエアバスD&SのA-330MRTTが選ばれた。
防衛事業庁が30日、ハン・ミンク国防部長官主宰で防衛事業推進委員会(防推委)を開いて決めたと明らかにした。総額1兆4881億ウォン(約1600億円)規模の今回の事業には、すでに開発が完了したA-330MRTTの他、開発が進行中の米国ボーイング社のKC-46A、イスラエル航空宇宙産業(IAI)のKC-767MMTTの3機種が参加した。大型武器事業でヨーロッパ機種が米国を破って選ばれるのは異例なことで、韓国軍の武器購入多角化が始まったとも評価される。
防衛事業庁関係者は「A-330MRTTは給油能力111トン、人員300人、貨物4万5000キロを同時に輸送でき、3機種のうち性能が最も優れていた」と明らかにした。ボーイングのKC-46Aは給油能力が96トンだ。A-330MRTTは価格面でも有利であることが分かった。同庁関係者は「エアバスの入札価格は総事業費比10%以上も少ない金額で、ユーロが最近のギリシャ事態などで切下げられた事情などが有利に作用した」と話す。実際、ドルとユーロの為替レートは事業公告当時1:1.3だったが評価時は1:1に落ちていた。
A-330MRTTは国内の米国産戦闘機との相互運用性および互換性問題でも合格判定を受けた。同庁関係者は「A-330MRTT機種は米国の同盟国である英国、オーストラリアなどでも運営中」と指摘した上で「何の問題もないと調査された」と話した。A-330MRTTは英国(14機)、フランス(12機)、オーストラリア(5機)など46機が販売され、インド、カタールとも契約交渉が進んでいることが分かった。ロールスロイスのエンジンを搭載したA330MRTTは、F-15Kを21機、KF-16を41機給油でき、最長で1万4800キロメートルを飛べる。
軍当局は空中給油機の戦力化で空軍戦闘機の作戦半径が大きく拡大すると期待している。防衛事業庁のキム・シチョル報道官は「空中給油機が導入されれば空軍戦闘機の作戦半径が独島(ドクト)、離於島(イオド)および平壌(ピョンヤン)~元山線以北地域など遠距離に拡大し、武装搭載能力向上による戦闘効率が増大するだろう」と述べた。空軍は空中給油1回でF-15Kの作戦時間は独島上空で既存の約30分から約90分に、離於島上空で既存の約20分から約80分に増えると見ている。
今年から2020年まで空中給油機4機を確保する空中給油機事業は、2013年8月に事業推進機本戦略(案)を議決して本格的に推進された。
韓国語原文入力:2015-06-30 21:42