本文に移動

[記者手帳] 誰がポスコを揺さぶろうとするのか

登録:2015-05-15 22:26 修正:2015-05-16 07:05
クォン・オジュン ポスコ会長が12日、4機操業に入った浦項製鉄所2高炉に火入れをしている =ポスコ提供//ハンギョレ新聞社

 最近ポスコではクォン・オジュン会長の「自主辞意表明説」騒動が起こった。事実無根とする会社の積極的な釈明で事態は一段落したが、後味が悪い。

 数年前に前任者のイ・グテク、チョン・ジュンヤン会長も辞退説を強く否認して、いくらも経たずに自退している。イ会長は2009年1月に任期1年を残して電撃辞任した。 李明博(イ・ミョンバク)政権の辞退圧力に耐えて、検察の個人不正関連押収捜索説が出回るとすぐに白旗を揚げた。後任のチョン会長も2013年11月に任期を1年半残して突然退いた。 チョン会長は、一部メディアが大統領府の早期辞退要求により辞任意思を明らかにしたと報道すると、強く否認さえした。辞任の10日程前に国税庁が電撃的に税務調査に着手し、辞退圧迫用という観測もあった。 2件の辞任の共通点は、前の政権で再任に成功したポスコの会長が、政権交替とともに任期中に中途下車し、その過程に国税庁・検察などいわゆる司正機関が動員されたことだ。

 クォン会長は昨年初めに就任し、今ようやく1年が過ぎたという点で、前任者らとは差がある。また、その間に政権交替がなかったという点も異なる。 だが、「火のない所に煙は立たない」と言われるように、1カ月前からクォン会長の去就問題が取りざたされているという話が政界に出回った。 さらに、大統領府側からもクォン会長に対する評価が否定的という話が聞こえるという。 経済界のある要人は「大統領府高官が、最近1年間ポスコ正常化のための見える成果が極めて不十分だと指摘したという話がある」と伝えた。

 果たしてこの時点でクォン会長を揺さぶることが、誰にとって利益になるだろうか? 任期3年のうち、ちょうど1年が過ぎた時点で、経営陣の進退問題が議論されるのは性急だという指摘が多い。 クォン会長は鉄鋼技術の専門家出身であり、自分の色の経営をするには多少時間がかかるのは当然だ。それを承知の上でクォン会長を選択した大統領府が、せっかちな態度を見せるならば当初の選択が誤りであったことを認めることに他ならない。 また辞意表明説の背景には、政界の一部でかつてのチョン・ジュンヤン会長時期のように私欲を得ようとする不純な意図が作用しているという分析もある。 ポスコ関係者は「クォン会長は就任以後、政界の面談要請が来てもできるかぎり避けてきた。 このことから(請託を聞き入れないことに対して)不満を持つ人々がポスコを意図的に揺さぶっているようだ」と耳打ちした。

 もちろん、クォン会長はかつてのチョン・ジュンヤン会長時の放漫・不良経営を迅速に正常化する課題を抱えている。 実際、スタート直後に国内外の非核心資産売却、不良系列会社構造調整、ポスコ建設などの上場を通した財務構造改善など種々の措置を約束した。 一部で成果があるが、全般的にはまだ期待に達していないという評価が多い。 特に、特恵吸収疑惑に苦しめられたポスコ・プランテック(旧ソンジンジオテック)は、2900億ウォンの追加支援(増資)があったが、わずか4カ月後に経営難に耐えられずワークアウトと法定管理の岐路に立っている。

 ポスコは14日、大々的な経営刷新のために非常経営刷新委員会をスタートさせ、クォン会長が委員長を務めることにした。 また、社内理事と系列会社代表全員が辞表を出して、正常化に失敗すれば退くという背水の陣を敷いた。 クォン会長の進退問題はこの結果を見守って判断するのが当然な道理と見える。 最高経営者が外圧により中途交替される悪循環を断ち切らなくては、ポスコの正常化は約束されない。

 朴槿恵(パク・クネ)大統領は“ソンワンジョン・スキャンダル”後も不正腐敗根絶意志を強調した。 だが、2010年のソンジンジオテク特恵吸収と関連して、多くの疑惑が提起されたが、検察は5年間手をこまねいていた。 朴大統領の意志が本物であるなら、このような検察から正し、李明博政権の実力者を含め不正腐敗疑惑を聖域なく明らかにしなければならないとする指摘が多い。

クァク・ジョンス経済部先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/691417.html 韓国語原文入力:2015-05-15 18:15
訳J.S(1959字)

関連記事