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ポスコ捜査を拡大させる韓国検察に現政権の思惑

登録:2015-03-16 10:10 修正:2015-03-16 14:30
秘密資金、脱税、不良M&A…問題多いポスコを一網打尽
チョン・ジュンヤン前ポスコ会長 //ハンギョレ新聞社

 13日にポスコ(POSCO)建設を家宅捜索した検察は、早ければ週初めから秘密資金に関与した同社の協力業者役職員を召還して調査する予定だ。捜査の1次目標は100億ウォン台の秘密資金の性格と使い道の糾明にあるが、検察周辺ではポスコグループ全般への捜査拡大を既成事実化させている。15日、検察はポスコグループのチョン・ジュンヤン前会長を出国禁止措置にした。チョン前会長を中心に系列会社の運営実態と前政権のロビー実態を捜査する戦線拡大の意志を明らかにしている。

■ 5年間積み重なった疑惑

 昨年の自主監査で107億ウォン(約11億円)の秘密資金を造成した疑いが発覚したポスコ建設事件は、すでにソウル地方警察庁知能犯罪捜査隊が捜査に着手し、検察の求めでソウル中央地検特捜2部(部長チョ・サンジュン)が捜査を引き継いだ。ポスコ建設はこの秘密資金がベトナム現地発注処への慣行的な一種のリベートだと説明する。しかし検察が入手した情報では、非正常な資金の規模はこれよりかなり多いものとみられる。また、ポスコ建設が韓国の下請け業者H社に支給したように見せかけた秘密資金が 個人的に引き出されたという疑惑も提起された。検察はポスコ建設東南アジア事業団長だったパク氏とH社のイ会長に対し秘密資金造成の経緯と使い道を調査する方針だ。

ポスコ建設100億秘密資金疑惑
役職員早ければ今週初め召還
P&S、プランテックなど系列社を内偵
迎浦ラインなどMB政権に疑惑集中
前政権の関連人物を洗い出し
現政権による「飼い馴らし」との解釈も

 この他にもポスコには捜査機関が気になる疑惑が絶えなかった。まず検察が国税庁告発を受けて捜査に着手あるいは内偵中の系列2社だ。ポスコP&Sは系列社間インサイダー取り引きから1300億ウォン(約143億円)にのぼる脱税をした疑いがもたれ、ポスコプランテックは毎年数百億から数千億ウォンの損失を出し、チョン・ジュンヤン前会長が無理に推進した買収合併(M&A)の代表的な失敗例と評価される。しかもチョン前会長は李明博(イ・ミョンバク)前大統領の側近と知らて、不良企業の買収や秘密資金の造成に前政権の実力者が関わっていると語られている。

 前政権で中心をなす「迎浦(ヨンポ:慶尚北道の迎日・浦項)ライン」に関連した人事でも雑音が聞こえてくる。チョン前会長は選任過程でパク・ヨンジュン元知識経済部2次官と浦項経済人のイ氏の面接を経ていたことが明らかになっている。

■ 前政権の「洗い出し」とポスコの「飼い馴らし」

 大統領府と検察の立場からすれば高度な捜査対象にポスコを選ぶ理由は充分にある。ポスコには主がなく、歴代政権の影響を受けてきたが、朴槿恵政権ではまだこれといった“人事”が行われてこなかった。クォン・オジュン現会長はポスコの社長から社内で会長に抜擢された人物だ。

 民営化されても相変らず政府の影響から自由でない財界7位の企業集団に対する現政権の“飼い馴らし”という側面から、今回の捜査を見る向きもある。ポスコグループは産業銀行が提案した東部製鉄の唐津(タンジン)・仁川(インチョン)工場のパッケージ買収を拒否し、東部グループの構造調整を事実上指揮した大統領府と企画財政部に苦々しい思いをさせた。また、クォン会長は昨年5月の「新経営戦略」説明会で、主力産業の鉄鋼部門投資を縮小させ内実を備えると宣言している。大企業の投資拡大で景気を回復させる経済政策の基調に歩調を揃えなかったことになる。捜査が前政権の「洗い出し」と大企業に対する「警告」という二つのの目的を持つと言われる所以だ。

 検察はポスコグループの家宅捜索も検討したと伝わる。最高検察庁中央捜査部は2012年のパイシティ事業許認可のロビー事件を捜査し、ポスコグループ周辺の様々な情報を確保した模様だ。これらの情報をもとに比較的容易に大企業の捜査をすることができる状況にある。イ前大統領に影響があったチェ・シジュン元放送通信委員長、イ前大統領の最側近と呼ばれたパク・ヨンジュン元次官が許認可請託と共にそれぞれ6億ウォン(約6600万円)と1億6000万ウォン(約1700万円)を受け取った事実が明らかになり処罰を受けた。ポスコ建設はパイシティ事業施工者に選ばれていた。

ノ・ヒョンウン、ジョン・ファンボン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015.03.15 22:15

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/682338.html 訳Y.B

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