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中国人観光客と化粧品だけの明洞、“好況中の不況”に危機感

登録:2015-05-07 01:05 修正:2015-05-07 05:28
 化粧品店のみ7年間で6〜7倍急増
 衣類は東大門、アクセサリは弘大
 洋品店、マッサージショップなど客足遠のく
 レストランも韓国料理以外は以前ほどではない
 「梨泰院・三清洞のように変えよう」と今月末「商圏多様化」討論会
6日午後、ソウルの中区明洞を訪れた中国人観光客が中国語の看板が並ぶ明洞の街を見ながら歩いている=タク・ギヒョン先任記者//ハンギョレ新聞社

 ソウル・明洞(ミョンドン)で30年間衣料品店を運営するイ氏(50)は、「遊客(ヨウカー、中国人観光客)特需」を他人事だと話した。中国の労働節連休を迎えて10万人のヨウカーが韓国を訪れ、このうちの相当数は定番コースである明洞に足を運んだ。 5日広々とした店内で客を待っていたイ氏は「中国人は服をあまり買わない」と話した。

 日本の観光客が明洞を席巻していた3〜4年前はそうではなかったという。 「日本人は焼肉を食べて、ネイルアートやマッサージをして、服も買うなど、明洞の隅々まで歩き回りました。だから、すべての業種が繁盛したのです。ところが、明洞を訪れる観光客が中国人中心になってからは、化粧品売り場だけ売り上げを伸ばしています。ガイドの案内通り、衣類は東大門(トンデムン)、アクセサリーは弘大(ホンデ)、化粧品は明洞という公式に従っているようです」

 明洞の業種別観光客の集中現象は「メニュー」にも現れる。韓国料理屋ではないレストランで中国人を見つけるのは難しい。今月1日午後、イタリアンレストランのコププレート明洞店には中国人が一人も見当たらなかった。この会社のキム・スジ理事は「明洞では中国人を相手に営業をしなければならないのに、韓国料理ではないため、予想よりお客さんが少ない」と話した。 30年の歴史を誇っていたバーガーキング明洞店は、先月閉店した。

 明洞の“顔”は、化粧品だ。明洞だけで5つの店舗が並ぶ化粧品ブランドで6年間働いている店長は「以前は100万ウォン(約11万8千円)を使っていた中国人たちが、最近では50万ウォン(約5万5400円)だけ使う。明洞でたくさんのお金を使わないようだ」とし、「客単価が数万ウォンの韓国人よりも、一度に数十万ウォンずつ買い上げる中国人観光客が歓迎されるのは仕方ない」と話した。

 過去「ファッション1番地」と呼ばれていた明洞が「化粧品1番地」に変わったのは統計でも確認される。ソウル・中区庁の事業調査報告書によると、2007年730カ所だった衣服関連の小売店は、2010年に477カ所、2013年には331カ所に大幅に減った。一方、明洞の店主たちが調査した化粧品店の数は、2008年21カ所から2015年1月には134カ所に急増した。明洞に並ぶ建物が586個なのに、4個のうち1個の割合で化粧品店があるわけだ。特に家賃の上昇をリードしているとされる明洞路(ヌンスクエア〜カトリック会館)や忠武(チュンム)路(大然閣ビル前道路)、1番路(ユネスコ会館〜漢成華僑小学校)、中央路(ミリオレ建物〜乙支(ウルジ)路)、3番路(外換銀行本店〜明洞駅)など、主要な商圏の大通りには化粧品店がずらりと立ち並ぶ。 66平方メートルのお店で賃貸料だけで毎月1500万ウォン(約166万2200円)を出すというあるドーナツ店の店長は、「賃貸料が高いメインストリートは、化粧品店や大手の有名ブランドだけが入店する。他の業種は自然に路地裏に追いやられる」と話した。

 中国簡体字が入った赤・金色チラシ覆われた明洞の街の「主」たちが「ヨウカーだけが訪れる街」から抜け出すための方策を模索し始めた。化粧品や居酒屋などに極端に集中してしまう「商圏単極化」への危機感からだ。

 明洞にある建物の所有者と商人たちが参加する明洞観光特区協議会は、先月9日、観光の専門家を招へいし明洞の現在と未来を考える懇談会を開いた。イ・ドンヒ協議会局長は「もし国際情勢や為替レートの変動により韓国を訪れる中国人観光客が減少すれば、商圏空洞化が発生するほど、明洞はすでにバランス感覚を失った」と診断した。イ局長は「商人たちの間では、梨泰院(イテウォン)や三清(サムチョン)洞のように、韓国人と様々な国籍の外国人が気軽に訪れるような場所に、明洞が変わらなければならないという意見が出ている。明洞の個性を見つけるべきだと」と話した。明洞の商人たちは、今月末に明洞の未来を一緒に考える商人討論会も開くことにした。

 ソウル市もヨウカーの集中現象を心配している。ソウル市観光政策と観光事業支援チームの関係者は、「明洞だけでなく、観光地の多くに中国人だけが集まったことで発生する問題がある。これに対応する総合観光対策を検討している」と述べた。ソウル市は10日まで開催する「外国人観光客おもてなし週間」の広報に中国人が好きな赤や金色ではなく、様々な国籍の外国人を歓迎するという意味でピンクを使用した。

 キム・ヨンジュン韓国文化観光研究院産業研究室長は「地理的利点のために、中国人観光客の集中現象はこれからも数年は続くと思われる。化粧品ショッピングに集中する観光文化を、多様な文化商品の開発と質の高い観光サービスの提供を通じて、変えていく必要がある」と指摘した。

チェ・ウリ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015-05-06 19:44

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/690041.html 訳H.J

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