早ければ今年9月中に現場作業に着手
引き揚げ完了までに1年〜18カ月かかる見通し
特調委活動期限は来年9月初めまで
船体調査作業だけで数カ月必要
家族協「引き揚げ着手時期早めるべき」
政府が全羅南道珍島(チンド)郡孟骨(メンゴル)水道海域の水心44メートルに沈んでいるセウォル号船体の引き揚げを最終決定した。しかし、4・16セウォル号惨事特別調査委員会(特調委)の活動期限内に引き揚げが行われない可能性もあり、特調委が惨事の原因を究明するために不可欠なセウォル号の船体調査を着手できない恐れがあるという懸念も出ている。
政府は22日午前、ソウル・鍾路区の政府ソウル庁舎で、国民安全処など、17カ省庁が参加する中央災難安全対策本部(中対本)会議を開き、海洋水産部が提出したセウォル号船体引き揚げ決定案を審議し、船体を引き揚げすることに最終的な結論を下した。
パク・イニョン中対本部長(国民安全処長官)は、「様々なリスクや不確実性があるが、技術的に引き揚げが可能である技術の検討結果と遺族と国民の熱望を考慮し、引き揚げを決めた」と述べた。
政府はまず、経験豊富な国内外の企業からの技術提案書を提出してもらい、引き揚げ業者の選定手続きに入る予定だ。選ばれた引き揚げ業者は、約3カ月に亘って、どのように船体を引き揚げるのかについて具体的な方案を設計する「引き揚げ設計」作業を行うことになる。その後、海上作業基地の設置と船体に残っている油類除去作業などの現場作業は、可能な限り9月中に着手するというのが政府の目標だ。
現場で難航が予想されるのは、潜水士が水中に入って船体に93個の穴をあけ、鎖とワイヤを繋げる作業だ。 潜水士3人が一組になって一つの穴をあけるのに3日かかる。ユ・ギジュン海洋水産部長官は、「船体を引き揚げるためには、引き揚げ業者の選定作業に入ってから、1年から1年6カ月程度かかる」と説明した。早ければ、来年5〜6月、遅ければ来年12月以降、ようやくセウォル号引き揚げが行われる可能性もあるというのだ。
問題は、特調委が重要な証拠の一つであるセウォル号の船体の調査に着手することなく、任期を終える可能性があるという点にある。セウォル号特別法によると、特調委は、組織した日から1年以内に活動を完了する必要があり、6カ月以内に限り、活動期間を延長できる。常任委員が任命状を受け取った今年3月初めを基準にすると、来年9月上旬までが活動時限だ。
クォン・ヨンビン特調委常任委員は「まだ特調委活動の開始時点をいつにするかは確定していない」とし、セウォル号の船体を隅から隅まで調査する十分な時間がないかもしれないと懸念した。彼は「船の中に復元できるデータがあるのかを確認し、(事故当時)救助が可能だったのかをシミュレートするためには、数カ月は必要だ」と指摘した。イ・ソクテ特調委委員長は「真相を究明しなければならなので、主要な証拠である船体は(特調委が)調査活動を行えるように、早期に引き揚げることが重要である」と述べた。
これに対してパク・ジュングォン海洋水産部港湾局長は、「特調委が調査するかどうかは、私たちとは関係がなく、私たちは技術検討を行うだけだ。特調委を考慮してそのように(引き揚げ決定を)したわけではない」と述べた。
4・16家族協議会は、政府の引き揚げ発表後、「引き上げ決定と真相究明特別法施行令案廃棄は直接関係ない」という立場を示した。チョン・ミョンソン4・16家族協議会代表は、「引き上げの決定は下されたが、施行令案が廃棄されるまで、遺族は光化門(クァンファムン)で座り込みを続ける」と明らかにした。
韓国語原文入力: 2015-04-22 19:54