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慶尚南道知事の無償給食廃止に怒った父母が生徒に昼食を提供

登録:2015-04-01 21:12 修正:2015-04-02 05:05
智水小学校父母会、学校裏庭で鶏野菜粥給食
慶尚南道晋州の智水小学校の児童たちが、学校裏庭に設置されたテントで昼食を食べている。学校の父母らは「慶尚南道発の無償給食の中断事態」初日の1日、中断に抗議して自分たちが調理して児童たちに昼食を提供した 晋州/チェ・サンウォン記者//ハンギョレ新聞社

サムスンのイ・ビョンチョル会長 、LGのク・インフェ会長
GSのホ・ジョング会長が卒業した学校の父母
「両親の財産多寡で子供の給食を差別するのは誤り」

「あー! すっごくおいしい」

「子供たち! たくさんあるからもっと食べて」

「はい、感謝していただきます」

「よ~し!」

 「慶尚南道発の無償給食中断事態」の初日である1日、晋州(チンジュ)市の智水小学校の児童たちは学校の裏庭のテントで父母が直接調理した鶏野菜粥で昼食をとった。

 智水小学校の父母会が無償給食中断に抗議するため、1日と2日の2日間、自分たちで昼食を作って児童たちに昼食を提供することを先月31日の父母会総会で決めたためだ。 父母たちは自主給食、弁当提供、自宅に呼んでご飯を食べる、などの無償給食中断に抗議する意を表わす色々な方案を議論した結果、自主給食を行うことを決めた。これに伴い、父母の約10人は1日の朝9時から学校の裏庭に大釜3個を持ち込み子供たちに食べさせる昼食を心を込めて準備した。

晋州市智水小学校の父母らが1日朝、学校に集まって子供たちに食べさせる昼食を準備している。学校の父母らは「慶尚南道発の無償給食中断事態」初日であるこの日、無償給食の中断に抗議して自分たちが調理して児童たちに昼食を提供した 晋州/チェ・サンウォン記者//ハンギョレ新聞社

 智水小学校は1921年に開校し、サムスンのイ・ビョンチョル、LGのク・インフェ、GSのホ・ジョング会長など、韓国を代表する企業創業者を輩出した学校だ。 だが、今は全校児童49人に過ぎない農村の小さな学校だ。 一時は廃校の危機に陥りもしたが、住民と卒業生の努力で命脈をつないでいる。

 4年と5年の息子を持つイ・ミスク父母会長(45)は「勉強も大切だが、子供たちには食べることがもっと重要だ。両親の財産の多寡で子供たちの給食まで差別するのは誤りだと思う。無償給食の中断に腹が立った母親たちが、自分たちの意思を示せるのは子供たちに自主給食をするのが一番と考えてこの方法を選択した」と話した。

 1日の昼食メニューは鶏野菜粥だった。 鶏肉工場に勤めるある父母が生の鶏肉40羽分を準備した。 残りのすべての材料も父母たちが各自の自宅で準備した。 食卓10脚も女性農民会から持ってきた。学校に負担をかけないように場所だけを提供してもらうことにしたためだ。

 2日にはチャジャン飯(肉そぼろご飯)を準備する計画だが、基本材料は中華料理店を営む父母が準備して、他の材料は残りの父母が分担して準備することにした。

 この日、学校の裏庭で鶏野菜粥を食べた子供たちは、智水小学校の在学生49人と併設幼稚園生5人、近隣の智水中学校の生徒25人など合計79人だった。 智水中学校には自主給食施設がないので、普段から智水小学校の給食室で作った料理で昼食をとっている。

 1年、3年、4年の3人の子供を持つイ・ヒョンハンさん(41)は「この学校の子供たちは、生まれた時から同じ村で一緒に育っているので、言わなくても誰が給食費を出し、誰が給食費を出さなかったか自然に分かってしまうだろう。子供たちには分からないと考えるのは大人たちの錯覚だ。 子供たちにお金の問題だけは教えたくない。 今日のことも子供たちには両親が学校にきて食事の仕度をした楽しい日だったと、良い思い出だけを残したい」と話した。

智水小学校の児童たちが、学校裏庭の臨時給食所に列をつくって父母からお昼ご飯を受け取っている。学校の父母らは「慶尚南道発の無償給食中断事態」初日であるこの日、無償給食の中断に抗議して自分たちが調理して児童たちに昼食を提供した 晋州/チェ・サンウォン記者//ハンギョレ新聞社

 共稼ぎの弟夫婦に代わって、甥のお昼の仕度をしにきたというチェ・ミエさん(51)は「隣の家の子供が『お金がなくても給食費だけは払ってください。その代わり、家では夕飯を食べないから』と母親に言ったそうだ。子供たちはすでに心に傷を受けている。純粋に子供たちの食事を守ろうとする両親に向かって、“従北左派”だと慶尚南道が言ったとは本当に情けない。どうすればそのような発想ができるのか理解できない。 無償給食を中断させて社会混乱を起こしたホン・ジュンピョ慶尚南道知事こそが従北ではないかと疑ってしまう」と話した。

 幼稚園生と4年、6年の3人の子供を持つソ・ヒジュさん(43)は「智水小学校は農村の小さな学校なので、1人当り一日の給食費が3080ウォンで都市の学校よりはるかに高い。 牛乳代まで合わせれば月に1人当り7万ウォン(約7500円)を越える。3人の子供の給食費で月に20万ウォンは、率直に言って大きな負担だ」と話した。

 父母会長のイ氏は「ほとんどの親たちが共稼ぎだったり農作業をしているので、ずっとこれを続けることはできない。どうせ給食費を出すなら、学校発展基金として出したり、地域同郷の人々の後援支援金を集める方案も論議している。 明日の夕方、父母が再び集まって議論する計画」と話した。

 イ・ホグン智水小学校校長は「父母が決めた事なので、『安全で衛生的な給食をしてほしい』とだけ頼んで、父母会に他の話はしていない。教育長と道知事が会って、一日も早く無償給食中断事態が円満解決することを望む」と話した。

晋州/チェ・サンウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/schooling/685002.html 韓国語原文入力:2015-04-01 16:23
訳J.S(2503字)

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