本文に移動
全体  > 経済

一杯食わされましたね「ダイズ100%国内製造ダイズ油」

登録:2013-06-25 18:32 修正:2013-06-26 06:45
【ハンギョレ21】
米国産GMダイズで作っても表示義務ない現行食品法
「GMOの原材料入ったら必ず表示」ホン・ジョンハク議員改正案発議
遺伝子組換え作物(GMO)を食品原料に使ったとしても蛋白質として最終製品に残っていなければGMOとして表示する必要がない。 ダイズ油の場合、100% GM豆で作ってもGMO表示対象ではない。 100%輸入豆で製造されたのにGMO表示のない国内製品の姿。タク・キヒョン

 去る5月29日午後9時、農林畜産食品部の検疫政策課長に在韓米国大使館から電話が入った。 「米国のオレゴン州で栽培が禁止された遺伝子組換え(GM)小麦が発見されたという事実を30日明け方3時(韓国時刻)に発表する。」 それが通知の全部だった。 農林畜産食品部は、米国政府の公式報告書や声明書はなかったとパク・チュソン議員(無所属)に答えた。 我が国は米国から一番大量の小麦を輸入しており、オレゴン州産の小麦は国内に入ってくる米国産小麦の3分の1を占めているにも拘らずだ。 2010年以降オレゴン州から我が国に輸入された小麦は171万tに達する。 今回発見されたGM小麦(MON71800)は米国の巨大農業企業モンサントが1998~2005年に米国の16州で100件余りを試験栽培し承認を推進したが、否定的世論に押されて完全廃棄された商品だ。

輸入中断せずに自分の金で全数調査を行なった食薬処

 我が国と同様米国産小麦をたくさん輸入している日本は直ちにオレゴン州産小麦の輸入を暫定中断した。 だが、韓国の食品医薬品安全処はオレゴン州から入ってくる小麦と小麦粉の輸入段階検査を強化することにしただけだ。 未承認のGM小麦が出てくれば直ちに返送措置すると言った。 これに先立つ2012年4月に米国で狂牛病(牛の海綿状脳症・BSE)事例が発生した時も、政府は通商摩擦の素地があるとして検疫中断や輸入中断措置を取らなかった。

 去る6月5日食薬処(食品医薬品安全処)は国内の主な製粉業者7ヶ所と食品輸入業者2ヶ所で保管中のオレゴン州産小麦と小麦粉のサンプルそれぞれ40件と5件を回収して分析した結果を発表した。「未承認GM小麦は検出されなかった。」 食薬処は「米国産小麦に対してGMO分析を行なった国は韓国が唯一だ」と強調した。「日本も輸入中断に準ずる措置を取ったが、GMO検査はしなかった。」と。

一般ダイズが安全だからGMOダイズも安全だ?

お粗末なGM食品承認手続き

 遺伝子組換え作物(GMO)が食品として承認を受けるには、食品医薬品安全処(旧、食品医薬品安全庁)の<遺伝子再調合食品など安全性評価資料審査委員会>の審査を経なければならない。 この委員会の義務的な審査承認手続きを通過したものだけが食品であり、これを通過できなかったものは食品でない。 最初のGM食品承認は2000年6月になされた。

 1999年11月12日、モンサントコリアは食品医薬品安全庁長に「除草剤耐性遺伝子操作ダイズ(GTS 40- 3-2)」の安全性審査を要請した。 審査対象は“書類”であった。 モンサントが提出した書類を土台に、遺伝子操作食品の安全性を会社が十分評価したかどうかを審査するのだ。 別途の実験はない。 開発者が数年かけて安全性検査を実施するという点を考えてみれば、審査委員会が安全性実験を遂行することは現実的に不可能かもしれない。 GMO開発者が作成した書類の真正性を信じて審査するほかはない。 ならば、開発者であるモンサントは遺伝子操作ダイズの投与毒性実験をしたのだろうか?  そうではなかった。 「遺伝子再調合ダイズの安定性評価資料審査結果」報告書の15ページを読んでみよう。

 「現在の資料以外の単回投与毒性、反復投与毒性、生殖・発生毒性、遺伝毒性発ガン性、その他必要な毒性(消化器系毒性など)のin vivo(生体内)毒性資料の必要性はないものと考えられる。」

 それならば、どういう根拠でGMダイズが安全だと結論を下したのだろうか? 答は「実質的同等性」という原理だ。「人々が永い歳月食べてきた普通のダイズは安全だ。 審査対象のGMダイズは普通のダイズと実質的に異ならない。 したがってGMダイズは安全だ。」 1992年5月29日、米国ジョージ・ブッシュ行政府が米国連邦官報第57巻22984ページにこのような政策声明を出したが、我が国の食品法はこれを反映させた。

 GM食品を承認する審査委員会の構成はどうなっているのだろうか? 通商法専門家のソン・ギホ弁護士が『おいしい食品法革命』(2010)で国内審査委員の名簿(2001~2010年)を初めて公開した。 委員会は毎年20人内外で構成されるが、そのうち2人は10年間ずっと委員を引き受けてきた。 キム・ヘヨン、キム・ヒョンジン教授だ。 キム・ヘヨン教授はキョンヒ大GMO開発研究団団長であり、この研究団はGM食品技術を開発する所だ。 キム・ヒョンジン教授は韓国生命工学研究院に勤務しているが、この研究院は生命科学技術の研究・開発を目的に政府が作った研究所だ。 また、2001年から2008年までずっと審査委員を務めたシン・ヨンチョル教授は、同じ期間に株式会社アミコゼンの代表理事も務めていた。 この会社の法人登記簿を見れば、会社の目的は「生命工学技術を適用した酵素および新素材」の開発・生産および販売だ。 さらにこの会社は、遺伝子によって形質転換された微生物を利用した特許権を保有している。 もしGM食品が社会的に受容されなければ、この特許技術の価値は落ちざるを得ない。

 「遺伝子操作食品を開発したり特許を受けた人々、つまり遺伝子操作食品を承認し受け入れるのに職業的利害関係のある人々が、遺伝子操作食品の受容可否を決定する委員職をそのように長期間務めることが果たして正しいのか?」ソン弁護士は反問する。

 パク・サンピョ健康と代案研究委員はこのように反駁した。 「米国で未承認GM小麦が発見されたのに、我が国政府が国民の税金で調査するなんてとんでもない話だ。 米国が自国の予算で調査して遺伝子組換え小麦を取り除いてから輸出するのが当然だ。 それまで我が国は米国産小麦の輸入を暫定中断すればいいだけだ。」

 食薬処の検査法も問題だ。 普通GMOが農産物や加工食品に混ざっているかを確認するには「公認検査法」が必要だ。 検査法はGMOの品目別に各々異なる。 GMOに対する情報を土台に検査法を開発するのだが、この情報は政府の栽培承認を受けた品目に限ってのみ提供される。 だが、今までGM小麦は栽培承認を受けたことがない。 栽培承認を受けたことがないから検査法を開発する資料自体がない。 米国農務部が検査結果をまだ発表できない理由だ。

 なのに食薬処はどのように検査をしたと言うのだろうか? 答はGMO遺伝子と蛋白質を確認する食薬処独自の検査法だ。 その上で今後検査を続けると付け加えた。 米承認のGM小麦のサンプルをやっと米国から受け取ったし公認検査法も通報される予定だからだ。 公認検査法もない状態でオレゴン州産の小麦を全数調査するという“ショー”を敢行した理由は明らかだ。 GMOに対する否定的世論が拡散するのを遮断するためだ。 だがGMOは“熱いジャガイモ(ホット・イシュー)”として浮上している。

変形? 再調合? 用語からして混線

 GMOについて話すには先ず用語を整理しなければならない。 広く通用しているGMOの英語名は‘Genetically Modified Organism’だ。 我が国の法律が違った翻訳をしたのが問題だ。 食品衛生法は「遺伝子再調合食品」と呼び、農産物品質管理法は「遺伝子変形農産物」という用語を使う。「遺伝子変形生物体の国家間移動に関する法律」という長い名前の法律では「遺伝子変形生物体」という。 マスコミでは「遺伝子組換え」と書くのが一般的だ。 再調合より変形が、変形よりは組換えが否定的に感じられる。 GM食品の安全性を承認する食薬処は再調合に固執している。 どんな用語を使っても、事実はすべて同じことを言っている。 他の生物体の遺伝子を動植物の遺伝子に挿入して従来自然の修正を通じては発生しなかった新しい遺伝子を持つ動植物を創造する作業だ。

90日の代わりに2年間観察してみると…

GMO安全性論難

 遺伝子組換え作物(GMO)の安全性は論難の的だ。 安全性を否定することも、かといって確信することもできない状態だ。 ただし最近、GMOの安全性について深刻な憂慮を表明した研究結果が発表された。

 2012年9月、フランスのカーン大学のジル・エリック・セラリーニ教授が率いる研究陣は、モンサントの除草剤「ラウンド・アップ」に耐性を持たせたGMとうもろこしNK603とラウンド・アップをネズミに食べさせながら、身体機能の変化を観察した。 NK603は我が国も2002年食用(2004年飼料用)として輸入を承認した品目だ。

 研究陣は実験の結果、NK603とラウンド・アップを食べていない対照群に比べ、これを食べたネズミにおいて乳腺腫瘍と肝臓・腎臓の損傷が大幅に増えたという点を発見した。 実験対象は雄雌それぞれ100匹ずつ、全部で200匹だった。 普通NK603をはじめとするGMOの動物実験は最大90日を越えない。 だが、フランスの研究陣はネズミの平均寿命期間である2年にわたって観察し、雌の方が雄より異常症状が深刻だと発表した。 実験群で雌のネズミが早期死亡した比率が最高70%に達したためだ。 対照群の早期死亡率は20%に留まった。 研究結果が米国の専門学術誌『食品と化学毒性学』オンライン版に公開されるや、直ちに反論が提起された。 実験自体が科学的に問題があるのでその結果を信頼できないという内容だった。 これまで多くの場合、このように賛否攻防が続く中でGMOの安全性は迷宮に陥った。

 これに先立ち、2005年5月英国日刊紙<インディペンデント>がモンサントの非公開実験資料を入手して、GMとうもろこしMON863を食べさせたネズミの免疫機能と腎臓の大きさ等に異常現象が観察されたと報道した。 MON863もすでに我が国で安定性が承認された品目だ。 フランスのセラリーニ教授チームがモンサントの資料を検討した結果「危害性がある」と判定した。 だが、科学界の反論が後に続き、我が国もそれなりの検討過程を経て「安全だ」と発表した。

 1983年5月19日、世界的科学ジャーナル『ネイチャー』には新しく作られた花に関する論文が載せられた。 ベルギーとドイツの研究陣が抗生剤に抵抗する物質を花の遺伝子に植え付け、抗生剤抵抗性を持つ花を開発したと発表した。 それまでは植物の種を改良するには何代にもわたって植物を交配する“育種”が唯一の手段だった。 育種は生物分類学上似た種類、すなわち種(species)や属(genus)に属する植物同士を人為的に交配する方法だ。 ミニトマトと種なしスイカが代表的な事例だ。 だが、このような手続きなしで新しい植物を短期間に作ることのできる別の次元が誕生した。 種と属を跳び越え生物分類学上はるかに遠く離れた種類の遺伝子はもちろんのこと、動物と微生物の遺伝子も人為的に挿入されるGMOだ。

 30年経った現在、GMOは恐ろしく成長した。 モンサント、デュポン、シンジェンタなど多国籍種子・農薬会社とカーギルなど穀物会社が、世界の農業を思いのままにするほどだ。 全世界のGMO耕作地は1996年の170万haから昨年の1億7030万haに、16年目にして100倍に増えた。 我が国はGMO承認件数で見れば世界5位だ。 GMO栽培国の米国・カナダ・メキシコを除いて輸入国だけに限定すれば日本に続き2位だ。 2012年6月まで国内で承認を経て公式流通しているGMOの種類は七種類だ。 ダイズ・とうもろこし・綿花(木花)・アブラナ(カノーラ)・テンサイ・ジャガイモ・アルファルファだ。 このGMOに含まれた遺伝子は全部微生物からきており、機能は二種類だ。 除草剤をまいてもよく耐える機能(除草剤耐性または、抵抗性)、そして作物を害する病害虫をなくす機能(殺虫性または、害虫抵抗性)だ。

GMO原料使用しても含有量順位高くなければ表記せず

 2011年に我が国は食用GMOを187万5 千t輸入した。 全部とうもろこしとダイズだ。 輸入した食用とうもろこしのうち49%がGMOだった。 食用ダイズは4分の3(75%)でGMO比重がさらに高かった。 だがGMOはとうもろこしやダイズの元の姿のまま売られるのではない。 多様な過程を経て加工される。 GMとうもろこしは大部分、デンプン(澱粉)、そしてデンプンで作った甘味料を意味するデンプン糖(果糖・水飴・オリゴ糖など)に変わる。 一方、GMダイズはほとんど(99%以上)ダイズ油製造に使われる。 国内食用油市場占有率上位4社がGM農産物を独占する理由だ。 CJ第一製糖・サジョヘピョ・大象(テサン)・三養ジェネクスが去る3年間、我が国のGMO輸入量(565万7千t)の86%(486万8千t)を輸入したことが確認された。 これだけではない。 GM食品であることが明らかだが農産物ではないので最初からGMO輸入量統計に把握されない場合もある。

 キム・フンギ ソウル大基礎教育院教授はカノーラ油を事例に上げている。「カノーラ油はアブラナの一種で種を原料として作った食用油だ。 この時使われるアブラナは1970年代にカナダで食用に品種改良されたものだが、80%以上がGMOだ。 我が国はカノーラ油を種でない油の状態で輸入する。 農産物ではなくて加工食品なので政府はGMO統計に明示しない。」

承認されていない遺伝子組換え(GM)小麦が米国オレゴン州で発見されたがわが政府が米国産小麦輸入を中断しないので、消費者生活協同組合(iCOOP)の会員たちが去る6月12日ソウル市光化門(クァンファムン)広場で輸入中断を要求するパフォーマンスを行なっている。ハンギョレ パク・チョンシク

 経済正義実践市民連合(経実連)のパク・チホ幹事は6月12日、ソウルのある大型マートを訪れた。 ダイズととうもろこしの含まれた製品にGMOという表示がされているか確認するためだ。 去る4月にも100個余りを調査したが「国内製品でGMO表示がされているケースを見たことがない」とパク幹事は話した。 時々輸入製品においてのみ「遺伝子再調合とうもろこし含有可能性あり」という文面が発見された。

 GMOは表示しなければ、一般農産物の中に混ざっていても消費者は知る術がない。 それでGMO表示制は消費者の“知る権利”と“選択する権利”を保障する最小限の必要条件だ。 我が国でも表示制が施行されている。 GM食品自体には「遺伝子再調合(変形)食品」、GMダイズが含まれていれば「遺伝子再調合ダイズ含有食品」、正確ではないが含まれる可能性があれば「遺伝子再調合ダイズ含有可能性あり」等と表記する。 このようなGMO表示がなぜ目に付かないのだろうか? 二つの理由のためだ。

「消費者主権守るのが経済民主化」

 まず、不可避的に混ざってしまった場合だ。 あまりにも多くのGMOを生産していて流通過程で一般農産物にGMOが混ざり合う可能性がある。 このような現実的条件を考慮して国家別に「非意図的混入率」を採択する。 意図せずしてGMOが混入した場合、表示を免除するわけだ。 我が国は混入率を3%以下に決めた。 2007年になされたGM食品調査の結果、全4521件中1057件はGMO成分が3%以内と検出されてGMO表示なしで流通した。 2011年3月にはソウル環境運動連合が国内でGMO表示がないハムとソーセージ24個の製品のうち6個からGMダイズ成分が出てきたと明らかにしたが、非意図的混入率により避けていった。 ヨーロッパ連合(EU)は0.9%、日本は5%にしている。

 第二に、GMOを食品原料に使ったとしても加工食品は表示対象ではない。 現行表示制を見れば、GM農産物に挿入した外来遺伝子または、その遺伝子が作った蛋白質が最終製品に残っていなかったり検出できない場合には、GMO表示をする必要がないとされている。 例えばダイズ油の場合、ダイズから脂肪成分だけ抜き出したので遺伝子や蛋白質が含まれない。 したがって100% GMダイズで作ってもGM食品と表示しなくても良い。 その上、食品に使われた原料の中でGM農産物が全体の5位までに入っていなければ、やはり表示は免除される。 その結果、GMとうもろこしデンプンで作るパン・菓子・飲み物・スナック・ソースなどにおいてGMO表示がなくならざるをえない。 トウモロコシ茶・ポップコーン・シリアルも同じだ。 キム・ウンジン円光(ウォングァン)大教授(法学専門大学院)の指摘だ。 「旧食品法は主な原材料を含有量の多い順に5種類以上表示するようにし、GMO表示基準もこれを反映した。 だが、現在はすべての原材料を表示するように食品法が変わっており、GMO表示も当然変えられるべきだ。」  GMO栽培国であるため表示制に消極的だった米国でも、州別に義務表示制法案が可決され始めた。 米国バーモント州議会がGMO表示法を107対37で最近可決した。

 ホン・ジョンハク議員(民主党)が食品法改正案を発議した。 製品の主な原材料の含有量順位と残留の有無に関係なく、GMOが添加されたら全部表示するようにした。 EUと同じ方式だ。 また、政府機関別に異なって使われているGMO用語を「遺伝子変形食品」に統一し、国産食材を求める消費者のために「無遺伝子変形食品」(GMO Free)も明示することができるようにした。 ホン議員は「消費者の主権を守るのが経済民主化だ」と説明した。

チョン・ウンジュ記者ejung@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/592583.html 韓国語原文入力:2013/06/20 16:11
訳A.K(7563字)

関連記事