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“MB政府, 政治退行 ファシズム兆候” 評価相次ぐ“

ブッシュ・サッチャーのように治安を前面に出し,インターネット検閲・マスコミなど統制”
チョン・キュチャン,イ・グァンイル教授など専門家 “疎通不在,警察国家”批判

イ・セヨン記者

イ・ミョンバク政府で全面化したメディア掌握と警察機構の浮上は英国サッチャリズムと米国の‘テロとの戦争’,イタリアの‘犯罪との戦争’に見られる‘治安ステート’の兆候という分析が出ている。写真左側からイ・ミョンバク大統領,ブッシュ米国大統領,ベルスコーニ イタリア総理,サッチャー前英国総理.

イ・ミョンバク政府に対する学界の批判が日増しに強まっている。 統治スタイルの一方性に集中していた初期の批判が、ろうそくデモ参加者に対する検察・警察捜査と放送・集示法改正案問題などを経て‘民主主義 力尽論’と‘政治危機論’にまで広がる形勢だ。 ‘民主化の一時的遅滞はあっても後退はない’との楽観論が優勢だった1年前とは温度差が明確だ。
こういう流れは最近刊行された冬号季刊誌などからも確認される。 イ・ミョンバク政府の歩みについて‘政治的退行’と‘ファシズム’の兆候を指摘する分析らがはっきり見えてきた。

まず注目されるのは、チョン・キュチャン韓国芸術総合学校教授が<文化科学>に書いた‘治安のステートと抵抗のステート’という文だ。 チョン教授はこの文でイ・ミョンバク政府の性格を‘治安ステート’と規定しているが、ここで言う‘治安’は疎通と合意が消えた‘政治不在の統制状態’を指し示すためにフランス哲学者ザック ランシエルから借りてきた概念だ。チョン教授によれば、労働柔軟化と実質賃金削減など反労働的蓄積戦略によって支えられる新自由主義経済体制は下からの抵抗を押さえ込むために武力と結びついた国民的同意メカニズムを必須に要請する。法治確立を名分に警察機構が統治全面に浮上し健全な世論形成を口実にメディアに対する掌握と統制が試みられるのもこのためだ。

チョン教授はこういう治安ステートの先例を英国サッチャリズムとジョージ・ブッシュ米国政府の‘テロとの戦争’,イタリア ベルスコーニ内閣の‘犯罪との戦争’に求める。これらの共通点は社会的恐怖を助長して安全と公益に対する虚構的合意を作り出すことにより、強圧的公権力が全面化する例外的統治状況を正当化するという点だ。チョン教授はしたがって「2008年韓国で目撃されるインターネット検閲とマスコミ統制,天下り人事と公営放送解体の姿も決して偶発的ではない‘新自由主義治安ステート’の兆候であり産物であるとみるべきだ」と強調する。

類似の議論をイ・グァンイル聖公会大研究教授の<市民と世界>寄稿文 ‘新自由主義,イ・ミョンバク政権と民主主義’にもみることができる。イ教授はここでイ・ミョンバク政府を新自由主義に対する社会的抵抗を粉砕するために治安機構の監視・統制機能を極端化した‘新自由主義警察国家’と規定する一方、ファシズムへの転換の可能性まで警告する。彼はこういう兆候を近代技術の合理性に盲目的に追従しながら‘民主主義過剰論’と‘左派摘出’のような極右的言葉を日常的に駆使する執権層の姿に求める。特に近代の産物である労働運動を社会的に包容しようとする一切の試みを否定する彼らの態度には、ファシズムの特徴である‘反動的モダニズム’の傾向まで観察されるというのがイ教授の分析だ。

<記憶と展望>に‘政治危機と社会運動の新しい周期’という文を発表したシン・ジンウク中央大教授は、今年夏のろうそくデモ局面を通じて形成された進歩・保守の ‘破局的均衡’ 状況に注目する。こういう均衡は「どんな社会政治的代表体も大衆の集団意思を代弁できない総体的なヘゲモニー危機」を反映するが、この危機が解消される経路は二とおりだ。一つは政党ではなく‘代表性’の制約が大きくない抑圧的国家機構が全面に浮上する方式であり、他の一つはカリスマ的指導者が登場して危機を収拾する‘シーザリズム(専制政治)’だ。しかしシン教授はファシズムと同じ‘反動的シーザリズム’の登場の可能性に対して懐疑的だ。イ・ミョンバク政府の統治方式は反動的形態を帯びてはいるが、韓国社会には1920~30年代ヨーロッパのように‘下からの大衆動員’基盤がぜい弱だから本格ファシズムに転換される可能性は低いという理由からだ。

パク・ミョンニム延世大教授は「権力資源の集中と政治の脱公共化に要約される去る1年は韓国の民主主義が世界史的普遍から‘経路離脱’していることを見せた時期」として「治安国家の登場は新自由主義国家の一般的特性というよりは短くは1987年体制、長くは韓国民主主義の社会的・制度的ぜい弱性と関連したことだけに、一層歴史的で精巧な議論が必要だ」と注文した。

イ・セヨン記者 monad@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/329659.html

原文入力:2008-12-25午後02:45:27
原文: 訳J.S