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大手紙系「総合編成チャンネル」4局の加勢で深刻な韓国の“政言癒着”

登録:2014-12-29 20:30 修正:2014-12-30 06:58
総合編成チャンネル4局のロゴ。//ハンギョレ新聞社

問題提起せず権力の顔色伺いばかり
報道の独立性を求め、弱者に配慮すべき

 大統領に向けられた遺族の抗議を消し拍手を強調したニュース、真相究明を要求して断食闘争を行う遺族の私生活を暴き立て“父親の資格”を云々するニュース…。

 悪質なセウォル号報道で韓国マスコミの現実に対する深刻な反省が必要だとする指摘が多い。こうした現象に対する診断は簡単にはなされないが、多数の言論専門家は、“キレギ”(記者+スレギ(屑)の複合語)現象の背景に△“政言癒着”のため権力批判というジャーナリズムの本質が薄れている点、△総合編成チャンネル4局の加勢などと共に高まった報道の扇情性深化などを挙げた。

 キム・ソジュン聖公会大学新聞放送学科教授は「マスコミのセウォル号報道は、一方では“クリック数稼ぎ”のための商業性が席巻し、他方では政治的利益を優先し、原因の責任糾明は粗雑にして他の適当な生け贄を探し求めた」と語った。

 『YTN』解職記者のヒョン・ドクス韓国記者協会副会長は今年8月に開かれた災難報道準則制定のための公聴会で、「セウォル号報道乱脈の様相は最近数年間著しい“政言癒着の結果”と解釈できる」と主張した。 生きている権力に対する批判と社会的不条理に対する問題提起より“様子伺い”、“権力の意に合う報道”を量産したために起きた結果だというのだ。 実際にセウォル号報道で一部の報道機関は、ユ・ビョンオン前セモグループ会長一家やセウォル号遺族運転手の暴行事件などを過剰に報道し、セウォル号事件の本質を歪曲しているという指摘を受けた。 李明博(イ・ミョンバク)政権が発動した露骨なマスコミ掌握の試みは、現政権においても大きな変化はなく続いている。 キム教授は「マスコミが資本や権力から自律性と独立性を回復して、市民に存在理由を証明できないなら今後さらに大きな危機に見舞われるだろう」と話した。

 別の解釈もある。 イ・ジュンヌン ソウル大学言論情報学科教授は「言論人が金を受け取って企業報道をする行為などから“キレギ”と言われる。 (今年のキレギ現象は)市民が賢明になったために起きたと見ることができる」と診断した。 キレギ現象は新しいものではなく、マスコミの報道形態に対する一般人の理解が高まって生まれた批判意識の結果と見ることができるということだ。

 キム教授は悪質なセウォル号報道に対して「当事者優先の原則、社会的弱者配慮の原則、そのような原則に対する認識がなければならないのに、マスコミにそうした認識が不足していた。 当事者が二つ以上の場合には、弱者の立場を先に考慮するのが正しい。(セウォル号報道は)記者の報道倫理の問題」と指摘した。

キム・ヒョシル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/media/671229.html 韓国語原文入力:2014/12/29 19:47
訳J.S(1236字)

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