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セウォル号惨事から8か月…檀園高校生徒達が初めて口を開く

登録:2014-12-06 06:50 修正:2014-12-06 07:58
セウォル号生存生徒3人にインタビュー

「西巨次島へ移送中に見た“全員救助”の字幕
それから一度もニュースを見たことない」
「海洋警察が『あなた達の友達はもう帰って来られない』といった」
「最も悔しいのは何も変わっていない現実」

インタビューに応じてくれたセウォル号生存者の檀園高校生たち。//ハンギョレ新聞社

12月3日午後7時、ソウル鍾路区(チョンノグ)大学路(テハンノ)にあるカフェ「バンカー1」の出入口に冬の制服を着た三人の生徒が並んで立っていた。彼らは檀園(タンウォン)高校2年生に在学中のキム・ドヨンさんとチョン・デジン、チョンㆍボッチン君である。同じ苗字の二人は同じ日に生まれた双子の兄弟。もう一人、彼らと一緒に来られなかったキム・ドオンさんがいる。四人(写真)は、中学の時から「四銃士」と呼ばれていた。セウォル号の惨事で友達ドオンさんを失い、かろうじて生き残った3人の生徒が、事故後8か月ぶりに勇気を絞り出して『ハンギョレ』とのインタビューに応じた。生存した生徒達がマスコミのインタビューを受けるのは今回が初めてだ。

 「時間が過ぎて人々の記憶の中からセウォル号が忘れ去られており、私達が船の中にいた時の状況とは違う内容が報道されることが多かったので、それを正したかった」

 キム・ドヨンさんが勇気を出した理由を語った。しかし、まだ3人の生徒は、だいぶ萎縮しているようだった。インタビュー途中何度もうつむいた。彼らは過ちを犯したわけでもないのに、依然として重い責任を背負って生きているように見えた。

 でも、セウォル月号の惨事の記憶を思い出す時は淡々としていた。3人の生徒の話をまとめると、4月16日の朝の状況は緊迫していた。事故当時、3階のデッキにあったキム・ドヨンさんは「水が膝の高さくらいになった時、友達と2人1組で肩を組んで海に飛び降りた」とし「海上警察に向かって叫んでみたが、結局海洋警察のボートがあるところまで泳いで行った」と話した。また、「救命ボートに座るところがなくてボートの下にかかったロープに捕まって大きな船に運ばれた友達もいた」と述べた。

 4階の宿泊施設にとどまっていたチョン・デジン君は船が傾くのを見て弟のボッジン君と一緒に廊下に飛び出した。胸まで水が上がった時、本能的に泳ぎ始めた。チョン・デジン君は「救命胴衣を着ていたから、うまく潜れなかったけど、なんとか潜りドアを二つ潜り抜けて海に出た」とし「水面に上がると目の前に漁船があって脱出することができた」と説明した。

 避難することが困難なところにいたキム・ドオンさんは、結局脱出できなかった。キムさんの死体は事故8日ぶりに親元に帰ってきた。チョン・デジン君は、救助されたから西巨次島(ソゴチャド)に向かう船の中でテレビを見た。今も鮮明に覚えている画面の字幕には「全員共助」、「170人の生存者を乗せた救助船がペンモック港に移動」と書かれていた。二人の兄弟は、沈没したセウォル号から脱出した最後の人だ。チョン君はその日からニュースを見たこともなければ、信じることもない。

 事故後、生存した生徒達が集まって話し合った目撃談の中には、また違う証言も出てきた。キム・ドヨンさんは、救助された生徒達を乗せてペンモク港に向かう船の中で、海上警察が言った言葉を伝えた。 「海上警察が、船内に入ることは不可能だから、あなた達の友達はもう帰って来られない、と言いました」。生徒達はこのように生き残った直後友達との永遠の別れを知った。

 生存以降は別の苦痛の連続だった。7月15日、生存した2年生の生徒達がセウォル号事故の真相究明を求めて檀園高校から国会まで徒歩行進に出た時だった。当時、ある市民が幼稚園児の子供を連れて応援に出ていた。キムさんが笑顔で子供に挨拶していた姿が撮影された。露骨な非難が殺到した。笑いながら子供たちに手を振ったというのが理由だった。悔しかったが、じっと堪えた。少しでも行動を間違えると、政治的に映りかねない。キムさんは「生存者の家族や犠牲者遺族、学校の先輩後輩に、セウォル号と関連があるという理由だけで悪口を言う人が多いけど、傷つけるようなことは言わないで欲しい」と訴えた。

 チョン・ボッチン君はある記者に訊かれた質問が深い傷として残ったと言う。 「救助されたばかりで珍島(チンド)体育館に行きましたが、ある記者が私に近づいてきて質問をしました。 『死亡したチョン・チウン君に何かいいたいことは?』って」。事故の初期、残酷だったメディアによって生徒達は一生の傷を負った。

 しかし、何よりも3人の生徒は、セウォル号の惨事以降、何も変わっていない現実が最も悔しいと話した。キムさんは「遺族が言うことはニュースに出ないのに、えらい人達の言葉だけニュースに出ている」とし「明らかなことは、より多くの学生が生き残ることができたという事実だ」と力説した。

 この日、三人の生徒とキム・ドオンさんのお母さんイ・ジソン氏は「ハンギョレTV」の時事探査ショー『キム・オジュンのパパイス」(演出イ・ギョンジュ)に出演した。放送は5日深夜にハンギョレTV(www.hanitv.com)を通じて見ることができる。

パク・スジン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2014/12/05 20:27

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/667785.html  訳H.J(2223字)

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