29日午前10時30分、全羅南道珍島(チンド)のペンモク港防波堤。 黄色いリボンが翻る灯台付近に、京畿道安山(アンサン)の檀園高2年ファン・ジヒョンさんの18回目の誕生祝いの膳が整えられた。 男の兄弟がいない一人娘のジヒョンさんがとても好きだったゆで卵と生クリームのケーキなど好物をたっぷり準備した。 切ない気持ちで娘を偲んだ両親は、誕生日祝いの膳の前に掲げられた「一緒に暖かいご飯を食べよう」と書かれた黄色い垂れ幕を見て目がしらを赤らめた。
「天国で安らかに待っていなさい。お父さんが行ってあげるから…」
セウォル号事故から197日間、娘を待ち続けた父親のファン・イニョル氏(51)は、暗い海中からまだ帰ってこない娘に低い声で語りかけた。 母親のシム・ミョンソプ氏(49)は前日に娘の誕生日を祝うため安山から来た娘のクラスの友達の母親たちと共に心を込めてワカメスープを準備した。
ファン氏夫婦は前日、遺体が追加発見されたという消息を聞き、まんじりともせずに夜を明かした。 生存生徒たちの証言でジヒョンがいたと推定される4階の女性トイレから遺体が発見されたためだ。 夜が明けてくると急いで捜索救助現場に最も近いペンモク港を訪れた。 目に入れても痛くない娘のために、ご飯とワカメスープ、モチとピザなどで誕生祝いの膳を整えた。 両親は誕生祝いの膳にあげた食べ物を「好きなものを食べて頑張って必ず帰ってきなさい」と言いながら海に向かって撒いた。 ジヒョンは結婚7年目に生まれた大切な娘だった。
両親は誕生日を迎えた娘が奇蹟のように帰ってくるかも知れないという期待をよせている。 だが、今まで苦楽を共にしてきた他の行方不明者家族を考え、笑うことも泣くこともできない辛い境遇だ。 追加発見された遺体の身元を確認するには、船の狭い迷路を抜けて遺体を取り出した後、遺伝子検査を経なければならない。
行方不明者の家族たちはこの日午後2時、珍島郡庁で開かれた記者会見に先立ち、ジヒョンさんの誕生日を一緒に祝った。 ケーキの上にロウソク18本を立てて、誕生祝いの歌を歌って一緒に泣いた。 行方不明者家族代表を務めているファン氏は「このように多くの方々が娘の誕生日を一緒に祝っていただき、大きな励ましをいただいた」と感謝した。
行方不明者家族対策委員会は、捜索を13回行った空間から行方不明者の遺体が発見されたことについて「11月の捜索方案を全面再検討し、船内全区域に対する再捜索計画をたてなければならない」と促した。