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進歩党解散審判 最終公開弁論、ファン法務部長官とイ党代表が激突

登録:2014-11-25 21:30 修正:2014-11-26 11:35
「進歩党は大韓民国の癌のような存在…手術を躊躇してはならない」
「政治的異見を敵対行為に追い立て…民主主義の危機」
統合進歩党政党解散審判事件の最終公開弁論が開かれた25日午後、ソウル市鍾路区斎洞の憲法裁判所大審判廷でファン・ギョアン法務部長官(左端)とイ・ジョンヒ統合進歩党代表(右から二人目)が請求人と被請求人として出席し、開廷を待っている。 イ・ジョンヨン先任記者//ハンギョレ新聞社

「統合進歩党は大韓民国を内部から崩壊させようとする癌のような存在だ。 政党解散という手術をもはや躊躇してはならない」(ファン・ギョアン法務部長官)

「政治的意見の違いを敵対行為に追い詰める行為自体が、民主主義を破壊するものだ」(イ・ジョンヒ統合進歩党代表)

 最後まで双方の激しい舌戦が続いた。 統合進歩党政党解散審判事件の最終公開弁論が行われた25日、ソウル斎洞の憲法裁判所でファン・ギョアン法務部長官とイ・ジョンヒ進歩党代表は「癌のような存在」という極端な表現まで使って衝突した。 今年1月、同じ大審判廷で最初の論戦が行なわれてから10か月が経過した。 その間に憲法裁判所裁判官の前に置かれた書類は大幅に増えた。 A4用紙で約17万ページに達する事件記録が山積みされた。 原告である法務部が提出したのが2907件、被告である進歩党が出したものが908件。 18人の参考人・証人尋問調書も含まれている。 単行本にすれば550冊余に相当する分量だ。

 この日は1年余にわたって繰り広げられた各自の主張を2時間に要約し、裁判官を最後に説得する場であった。 両者は政党解散の理由である「政党の目的や活動が民主的基本秩序に背いているかを巡り鋭い論戦を交わした。

ファン・ギョアン法務とイ・ジョンヒ党代表
1月に続き10か月ぶり再び激突
17万ページに及ぶ記録が山積みされ
「進歩的民主主義」綱領解釈に
イ・ソクキ内乱陰謀裁判の意味など
政府と進歩党が憲法裁判所説得に総力戦

■「進歩的民主主義」は北朝鮮式社会主義?

 政府の主張は要約すれば「進歩党は北朝鮮式社会主義を追求し、暴力的方法を動員して革命を追求している」というものだ。 進歩党の綱領に明示された「進歩的民主主義」が、北朝鮮の指令により金日成主席の進歩的民主主義の概念を導入したもので、北朝鮮の対南革命戦略と一致するというのだ。 政府側の代理人であるチョン・ジョムシク政党解散TFチーム長は進歩的民主主義は「北朝鮮式社会主義を追求するための前段階」と主張した。

 進歩党はこの綱領が2011年6月の政策党大会で「社会主義的理想と原則継承発展」を削除して挿入した字句であり、むしろ社会主義の色彩が薄くなったと主張する。 進歩党の代理人であるキム・ソンス弁護士は「当時、自主的、新しい、進歩的、という3つの価値を包括する意味で進歩的民主主義の用語を使うことになった。 進歩的民主主義のモデルとしたものは北朝鮮ではなく南米の左派政権」と反論した。 裁判官が進歩党の「進歩的民主主義」をどのように解釈するかが今回の事件の結論に重要な定規になるものと見られる。

■暴力的方法による執権を狙ったか?

 政府は進歩党が暴力的方法を動員して執権する意図があると主張する。 主な根拠としては、現在大法院(最高裁)に係留されているイ・ソクキ議員の内乱陰謀・扇動事件を挙げた。 イ議員は2012年5月、党員たちを集めて情勢講演をする席(いわゆる「合井洞(ハプチョンドン)会合」)で、参席者らと戦争勃発時の暴力革命を謀議した疑いで起訴された。 1審は内乱陰謀と扇動の両方を有罪と判断したが、控訴審では内乱扇動だけを有罪と判断し、“陰謀”については“実行合意”に達しなかったとし部分無罪を宣告した。

■統合進歩党解散審判事件の争点と立場の差

 これについて政府と進歩党は互いに有利な側に解釈している。 法務部は地下革命組織「RO」と民族民主革命党(民革党)残存勢力が進歩党に入り込み席を占め、暴力革命路線を追求したと主張する。 進歩党はイ議員事件の控訴審裁判所がROの存在を否定した点を根拠に、革命組織は実体がなく党がイ議員の行為を支持したこともないと主張する。

 政府はこの他にも進歩党の執権戦略報告書に「抵抗権」を明示した点などを根拠に、暴力的方法で執権を試みていると主張する。 反面、進歩党は選挙を通した執権を追求しており、抵抗権は暴力革命や古い法秩序を否定するものではないと反論する。

議員職喪失の有無が焦眉の関心
「良心・価値観を解散させられるか」
憲法裁判所裁判官の苦悩が伝えられている

■政党が解散されれば議員職はどうなるのか?

 法務部は政党解散だけでなく議員職喪失審判も共に請求したので、進歩党議員が議員職を維持できるかも憲法裁判所の決定にかかっている。 政党の生存が切迫した進歩党としては、まず解散決定を防ぐことに注力しているが、もし解散決定がなされた時には国会という活動の場を失い、勢力が急減することを憂慮している。憲法裁判所が議員職喪失請求を受け入れる場合に備えて、比例代表(イ・ソクキ、キム・ジェヨン、キム・ミヒ)議員の席を守れる方法として、3人をあらかじめ党から除名させる方法もあるが、可能性は低いと思われる。 党のアイデンティティと理念を守るために闘争すると言いながら、同時に党を捨てることは自己矛盾になるためだ。 ホン・ソンギュ進歩党スポークスマンは「比例代表議員を党から除名することは今議論するのに適切でない」と話した。

 政党法は憲法裁判所が党を解散すれば、同一もしくは類似した綱領・基本政策では政党を作れないよう規定している。だが、路線が類似した人々の自発的結社行為を禁止することは現実的には容易でない。 オ・ビョンユン進歩党院内代表は最近党大会で「解散すればまた作れば良い」と話したことがある。

 憲法裁判所はこの日弁論を終えたが、宣告日程は明らかにしなかった。 パク・ハンチョル憲法裁判所長は先月、国政監査で今年中に宣告するよう努力すると明らかにしたが、越年する可能性も排除できない。 大法院もイ・ソクキ議員らの国家保安法違反事件の上告審判決日を憲法裁判所の宣告日程を見ながら合わせる可能性がある。

イ・ギョンミ、イユ・チュヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/666128.html 韓国語原文入力:2014/11/25 20:31
訳J.S(2770字)

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