本文に移動

公務員年金 「上・下限制」改正案に労組は理解示す

登録:2014-11-02 21:14 修正:2014-11-05 17:56
1日午後、ソウル汝矣島公園文化の広場で開催された「100万公務員・教員総決起大会」に参加した公務員たちが、各所属団体の旗に従って入場している。 イ・ジョンア記者//ハンギョレ新聞社

キム・ジンス教授、新改編案を提示
最高350万ウォン、最低150万ウォンを支給し
所得のある人には年金支給を中止
“既存の案は既得権には手を付けず
新規公務員のみに苛酷な責任”
公務員労組側 肯定的反応
“職級・世代間の公平性に配慮
政府・与党案より合理的”

 公務員年金に上・下限額を設け、所得のある退職公務員には年金の支給を中断するなどの内容を盛り込んだ学界が出した公務員年金制度改編案に対して、公務員労組が「合理的解決法」だとして呼応し、社会的合意に至るかが注目される。

 キム・ジンス延世大学教授(社会福祉大学院)は最近、「公務員年金問題の核心と解決方案」発表文で年金に上・下限制を導入し所得のある退職公務員に対する年金支給の停止、年金支給年齢の早期下方修正などを主要内容とする公務員年金改編案を出した。 キム教授は先月22日、研究団体である先進福祉社会研究会が開いた「公務員年金改革と解決方案」という主題の討論会に発表者として立ち、「公務員年金が抱えている長期的な累積赤字と基金枯渇問題はすでに深刻な水準」とし「最近提示された年金改革案は、改革を試みるという側面では意味はあるが、内容面で種々の限界を抱いている」と指摘した。

 キム教授は、政府・与党案の最も核心的な問題として「公務員世代間の公平性破壊」を挙げる。 先月出された安全行政部とセヌリ党による改正案は、公務員年金制度の基本枠を維持したまま年金受給額と在職公務員が毎月納める年金納入額比率(寄与率)、年金受給年齢などに変化を与える方法を取っている。

 セヌリ党などは、この過程で既存在職者と2016年以後に入ってくる新規公務員の寄与率、及びそれに伴う年金支給率を別々に適用した。こうすれば現在在職中の高位職公務員の高額年金は‘小幅’に削られるが、2016年以後に任用される9級公務員の初年金額は70万~80万ウォン(1ウォンは約0.1円)水準に‘大幅’に下がる。 キム教授は2日『ハンギョレ』との通話で「政府・与党案は高位職・長期在職公務員の既得権にはほとんど手をつけない反面、何の発言権もない新規公務員には財政負担に伴う苛酷な責任を問うている」として「これは公務員世代間の葛藤と士気低下などの副作用を引き起こす」と話した。

 問題の核心は、予想される政府・与党案に種々の弊害があるだけでなく、公務員年金の財政健全性の確保に役立たないという点にある。 セヌリ党は27日に公務員年金法改正案を発表し、公務員年金に注ぐ政府財政を2080年までに442兆ウォン減らせると明らかにした。 一方、ユン・ソクミョン韓国保健社会研究院研究委員らは、セヌリ党改正案から抜け落ちている公務員退職手当の費用まで含めれば、実際の財政節減幅は147兆ウォンにとどまると主張する。 キム教授は「実際の財政効果も大きくない政府・与党案が公務員労組の深刻な反発を惹起する理由は、財政負担にともなう責任を公務員集団全体に分散していないため」と指摘した。

 キム教授が年金の上・下限制を公務員年金制度改革の核心として前面に出す理由はここにある。 現在在職している公務員は、毎月年金納入額を納めているが、その基準になる所得には上限がある。安全行政部案とセヌリ党の案は、基準所得をすべての公務員の平均所得の1.8倍(804万ウォン)から1.5倍(670万ウォン)に下げて、高額年金者の発生を防止するとしたが、基準所得上限額の適用を受ければ、それだけ本人の負担率も下がり所得再分配効果は全く期待できない。 セヌリ党が改正案を出して追加した所得再分配装置も、財政節減効果は殆どないという評価だ。

 キム教授が提案した年金上限制は、年金支給額自体を2015年基準で公務員年金平均受給額の1.5倍である350万ウォンで頭打ちにしようという内容だ。 2013年12月を基準として、350万ウォン以上の年金を受け取っている1万4807人が適用対象になる。 代わりに20年以上25年未満在職した公務員全体の平均年金額(141万ウォン)水準である150万ウォンを年金支給の下限として、適正老後所得の保障という公的年金機能を大きく傷つけないようにした。 キム教授はここから得られる財政節減効果は年間約600億ウォンになると主張した。

 退職した後に所得があれば、その間は年金の10~50%だけ削るのではなく、全額削減しなければならないという提案も目につく。 キム教授は「150万ウォンの下限は保障するものの、経済活動による所得がある退職公務員の年金支給は中断することが正しい」と指摘した。 また、既存退職者の年金額は15%ずつ一括削減しようという政策提案も出した。公務員年金改編と関連して政府が強調する財政安定化と公務員労働組合などが要求する適正老後所得保障などを全て満足させる代案として評価される。

 イ・チュンジェ全国公務員労組委員長は「既存の政府・与党案の最大の問題は、公務員世代間の連帯を根本的に破壊する差別的改編案という点にあったが、キム教授が提示した代案には職級間、世代間の公平性に対する考慮と配慮がなされている」として「ただし、年金支給開始年齢を来年からただちに段階的に一歳ずつ引き上げるという点は、再就職が禁止されている公務員の特性上、所得断絶に対する憂慮をもたらしかねず、もう少し議論が必要な部分と思われる」と話した。 オ・ソンテク大韓民国公務員労働組合総連盟年金委員長は「政府の密室改編に対して批判する公労総の立場として案の内容に対して具体的言及をすることは難しいが、種々の面で政府・与党案より合理的」と評価した。

チェ・ソンジン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/662564.html 韓国語原文入力:2014/11/02 20:02
訳J.S(2574字)

関連記事