セヌリ党の依頼を受けて“より多く出し少なく受け取る”内容の公務員年金改編方案を用意した韓国年金学会は、大企業に所属する金融・保険会社が主軸になって設立した研究団体であることが確認された。 私的年金の拡大を一貫して要求してきた民間金融機関主導の研究団体に与党が公的年金の改編案を任せたのは、猫に魚を渡すほど不適切だとする指摘が出ている。 公的年金の支給額が減り私的年金市場が拡大すれば、これら金融機関が利益を得るという点で、年金学会が公的年金の改編に関与したのは“利害衝突”に該当する。
18日、韓国年金学会の「組織および役員名簿」を見ると、この学会の機関会員の大多数が退職年金など私的年金基金の運用を引き受けている保険会社や資産運用会社だ。 具体的にはサムスン生命引退研究所とサムスン火災、ハンファ生命保険、大宇証券、東洋証券、未来アセット引退研究所、韓国投資証券などだ。 サムスン生命は7月現在で約103万人の退職年金加入者(占有率14%)を確保しており、退職年金市場で圧倒的1位の保険会社だ。 サムスン火災(3.0%)とハンファ生命(2.6%)も退職年金市場で占有率が高い。
年金学会の役員陣は1年任期で毎年変わるが、今年の第4代役員名簿にはサムスン生命引退研究所とサムスン火災、ハンファ生命引退研究所関係者らが含まれている。 韓国保健社会研究院と韓国租税財政研究院など一部国策研究所関係者、大学教授なども役員陣に名前を上げている。
年金学会が一般的な学術団体とは全く性格が異なる点はこの団体も認めている。 2011年にこの学会の発足を主導したソン・ソンドン総務理事(未来アセット所属)は「一般的な学会は学者が主軸になり、よりアカデミックな(学術的な)研究事業を繰り広げるが、私たちは年金事業と関連して“産学協同”の趣旨でスタートした」として「年金は政府の制度と密接な関係があるだけに、政策サイドで活躍する複数の大学教授に参加をお願いして名前を上げた」と話した。 ソン総務理事は「民間金融機関が実務上で悩んでいる点について多様な学会討論を通じて共に議論しようというのが私たちの団体の設立趣旨」と付け加えた。
年金学会はこの間、国民年金・公務員年金・基礎年金などの公的年金と関連して財政の安定を強調して年金額縮小を主張する一方で、私的年金市場の活性化を強調してきたことは、この学会構成の特性と関係がなくはないという分析だ。
チェガル・ヒョンスク社会公共研究院研究委員はこの日、ハンギョレ社会政策研究所が用意した公務員年金関連討論会で「公務員年金の改編と関連して重要な主体に浮上した韓国年金学会には、多くの民間金融機関、財政安定化論理を名分に公的年金の縮小を擁護してきた研究者の相当数が属している。 この学会が公的年金所得保障構造の縮小を主張するのは、結局、私的所得保障構造を構築しなければならないという論理に帰結されるので警戒の必要がある」と指摘した。