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[深層レポート] 自分の会社がない非正規労働者間接雇用の現実(上)

登録:2014-09-28 22:54 修正:2014-09-29 07:21
ブレーキがない質の悪い働き口
(1)伝染病のように広がった外注化
LGU+インターネット・ケーブルテレビ設置技士イ・ジョンフン氏(30)が4日ソウルの住宅街でインターネットとケーブルテレビの開通に必要な通信線連結作業をしている。 パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社

電信柱の上でヒヤヒヤ・顧客評価にあくせく
‘サービス技士は使用者を隠す“悪い雇用”に泣く

 現在、韓国社会における労働問題の核心は間接雇用だ。 労働力を安値で売っても、いざとなれば働き口を切られる既存の非正規職雇用の問題に加え、誰が本当の使用者なのか探すこともできない“使用者の失踪”までが重なったためだ。金を払って労働力を使うが問題が生ずれば誰も責任を負わない、人間を最も非人間的に扱う雇用形態だ。 間接雇用問題の解決が容易ではない所以だ。

現代と起亜自動車の社内下請け労働者1647人の本当の使用者がチョン・モング会長であることを最近になって1審で立証されるまでに何と11年もかかったことから分かるように、間接雇用は長期にわたり社会葛藤の元凶として作用している。 製造業中心だった間接雇用ウイルスは、電子・通信などサービス職種に飽くことなく宿主を広げている。 三回にわたり間接雇用の実態と問題点、そして代案を探ってみる。

 「お客様、こんにちは。 LGU+の技士です」。LGU+インターネット・ケーブルテレビの設置技士イ・ジョンフン氏(36)はこんな自己紹介から一日を始める。 この話の矛盾を知らずにいるのは電話を受ける“お客様”だけだ。

 イ氏はLGU+の制服を着てLGU+の指示を間接的に受けてLGU+の商品を設置する。 だが、彼はLGU+の職員ではない。 LGU+と請負契約を結びサービスセンターを運営し、イ氏に仕事をさせる協力業者が彼を職員として認定するわけでもない。イ氏は協力業者と勤労契約書はもちろん請負契約書も書いていない。 協力業者は、イ氏は設置1件当たりの手数料を受け取る個人事業者であると主張する。 “二重間接雇用”だ。 LGU+設置技士として仕事を始めて2年目だが、その間に協力業者は5回変わった。勤労契約書を作成し4大保険を適用されたのは最初の2か月だけだ。

 9月4日にもイ氏は「お客様、こんにちは。LGU+技士です。 今日訪問しても構いませんか?」という言葉で一日の仕事を始めた。 午前9時30分、九老(クロ)・光明(クァンミョン)・衿川(クムチョン)・陽川(ヤンチョン)サービスセンターで装備を取りそろえて出かけたイ氏が車のエンジンをかけた。 LG携帯電話にのみ設置される元請けのコンピューターシステム「U Cube」に接続して、今日の日課を確認した。 顧客がLGU+の代表番号101に電話をかけ、インターネットの開通・修理を申し込めば、元請けからの通知を受けた協力業者が1時間単位で技士に業務を配分する。 U CubeのIDがなければ業務の配分を受けることはできないが、元請けであるLGU+が協力業者の職員でもない技士に発行してくれるわけだ。 「IDを取得するためには元請けに行って入門過程教育を義務的に受けなければなりません。以前は4大保険に加入した技士だけにIDを与えたが、今はそうしたことは問いません」。イ氏の話だ。

LGU+設置技士のイ氏
元請けシステムに接続して仕事をするが
元請けも協力会社も“職員ではない”と主張
4大保険もなく、休日・夜間勤務は当たり前月の稼ぎはやっと100万ウォン(約10万円)

 約20分後、ソウル衿川区始興洞の住宅街にイ氏が車を停めた。 業務に使う車とガソリン代はイ氏が負担する。「インターネットとテレビを申し込まれましたね?」。笑顔で挨拶するイ氏に対して“お客様”は二言三言言って部屋に入った。それでもイ氏は笑顔で屋根と塀の上を行ったり来たりしながら通信線を引っ張ってきて、テレビとコンピュータに連結した。 手袋、はしご、ペンチ、(線を整理する)テッカー、インターネット光ケーブル線など、商品の設置に必要な装備は全て彼が買ったものだ。(続く)

キム・ミンギョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/657220.html 韓国語原文入力:2014/09/28 21:02
訳J.S(1906字)

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