本文に移動

アジア大会の好機生かせず南北関係改善の見通しは一層遠のく

登録:2014-09-23 22:13 修正:2014-09-24 07:51
アジア競技大会の北朝鮮応援団で感情的争いに
今度は対北朝鮮ビラ撒布で神経戦
国連 北人権会議でも衝突憂慮
高位級接触 当分見込みが立たず
「韓国が先に誠意を見せるべき」との指摘も
9月19日に仁川アジア競技大会が開幕した。道中の北朝鮮国旗掲揚に保守団体が抗議すると政府は国旗使用を競技場と選手村に制限させた。写真は18日に仁川のアシアード選手村で開かれた北朝鮮選手団の入村式の様子。イ・ジョングン記者//ハンギョレ新聞社

 出口が見えない。 南北関係は仁川(インチョン)アジア競技大会という好材料を生かせず、悪材料ばかり山積している。その上、今後の日程を見ると、関係改善より悪化の要因が多く予定されており、今年の南北関係改善の見通しは一層暗くなっている。

 北朝鮮側は22日夜、祖国平和統一委員会(祖平統)スポークスマン名義の談話を発表し、民間団体の対北朝鮮ビラ撒布問題について韓国当局に強く抗議した。 祖平統スポークスマンは「(韓国当局が)“民間団体の行動を阻む法的根拠がないという政府の立場に変わりはない”と繰り返し確認することにより、ビラの撒布を助長してそそのかしている」として韓国側の対話提案を一蹴した。 ビラに対する北側の公式非難は今月13、20日の南北高位級接触北朝鮮側代表団スポークスマンの発表に続きこれが3回目だ。 ビラ撒布問題が影響し、先月11日に韓国側が提案した第2回南北高位級接触は実現の可能性が一層低くなった。

 今年下半期の南北関係梗塞は仁川アジア競技大会応援団問題から始まったといっても過言ではない。北朝鮮側応援団が使う北朝鮮国旗の大きさと応援団の規模、費用負担に対して韓国側が“原則的対応”を固守し、南北間感情の溝が深くなったためだ。 南北間に積もった感情をほぐす契機としなければならないアジア競技大会が、かえって困難に陥いらせた格好だ。

 以後、南北はあたかもピンポンをするように相手の要求を無視して一方的な提案ばかりしながら、互いに責任を転嫁するような姿勢を見せた。 韓国側は応援団問題を放置したまま教皇訪韓に合わせて第2回高位級接触を提案し、北側は「5・24措置」の解除と金剛山観光再開などを促した。韓国側は対話に応じさせるため国内外で“宣伝戦”に近い圧迫を続け、北側は対話再開の前提条件として今年2月の第1回高位級接触で南北が合意したビラ撒布など相互誹謗禁止を持ち出した。

 これに対し統一部は23日にも「民間団体の行動を阻む法的根拠がない」という既存の立場を繰り返した。 両者の攻防が接点なき平行線を走り続ける局面にあるわけだ。 キム・チャンス コリア研究院研究室長は「北朝鮮側はビラ問題で韓国側の対話意志を試しており、韓国側は正面から対抗している」として「このような態度では、朴槿惠(パク・クネ)大統領の“統一大当たり論”は実現できず、むしろ統一大当たり論の虚構性を見せるだけになる」と指摘した。

 問題は今年の日程の中で、南北関係を改善する契機が容易には見当たらず、葛藤要因だけが残っているという点だ。 23日(現地時間)ニューヨークで韓米外交長官などを中心に北朝鮮人権高位級会議が開催され、北朝鮮は会議への出席を公式要請するなどの神経戦を行った。 来月に予定された韓米安保協議会(SCM)でも、韓米が北朝鮮と中国に威嚇的なサード(THAAD・高々度ミサイル防御システム)配置などを議論する可能性が高く、協議結果によっては北側の反発が強まると予想される。

 ヤン・ムジン北韓大学院大学校教授は「北朝鮮が先に変わることを待っていてはならない。 ビラ問題に対して韓国側がある程度の誠意を見せた後、離散家族面会問題と金剛山観光再開問題など、南北が互いに望む議題を議論しようと提案するならば対話の門を開けるだろう」と話した。

自由北韓運動連合の会員らが21日午前、京義道坡州市にある統一展望台で対北宣伝物を入れた大型風船を飛ばす間(左)、同じ場所で進歩系団体が「南北間の緊張を高める」として中断を要求している。坡州/イ・ジョンア記者//ハンギョレ新聞社

チェ・ヒョンジュン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/656556.html 韓国語原文入力:2014/09/23 20:57
訳J.S(1630字)

関連記事